異修羅 新魔王戦争

 魔王を殺した勇者が名乗りでなかったので強い奴を“本物の勇者”にしてしまおう、と言うわかるような気もするけどよく考えると「ん?」となってしまう方針から始まる異世界マンガ、「異修羅 ー新魔王戦争ー」です。

 前回のヒキからソウジロウ対レグネジィの一戦が始まるかと思いましたが、そっちはおあずけ。新たな修羅へ焦点が移ります。

 黄都二十九官のひとり、赤い紙箋のエリスが本性を隠し上覧試合に駆り出そうとするのは、エルフ、世界詞のキア。この世界の魔術(詞術)は、対象を深く理解し、それぞれ特別な言葉を編まなければ発動しないもの。だがキアの詞術はその過程を全てすっ飛ばす。彼女が一言つぶやけば敵は死に絶え、自在に大木が育ち、一面の曇天も瞬時に晴れ上がる。故に「世界詞」と号します。

 まさに神にも等しい力です。キアを自分の手駒にするため、エリスはあらゆる手を尽くします。黄都に対してはキアの情報を伏せ、リチア側で世界詞の情報を知った兵を謀殺して情報漏洩を防ぐ。一方自分は無害な家庭教師を装い、キアを自然に上覧試合に導こうとします。

 しかしその仮面をかぶって過ごした日々は、キアたちエルフの里、イータ村の人々との絆は荒んだエリスを少しづつ変えていったのでしょうか。最後の涙がそうであってくれるといいと思います。

 この辺の心理描写でキアを手駒扱いするのか、友として扱うのか、揺れ動いてくれると面白いですが、どうもそこまで余裕のある状況ではないようで…。上にも書いたソウジロウ対レグネジィもすぐにも始まりそうですし。

 恥ずかしながら原作未読なのですが、これ上覧試合始まらずに全員潰しあって終わったりしませんかね?

 ただ、それでも充分面白くなる気はします。緻密な世界観の組み立て、修羅か修羅でないかによらず魅力的に作り上げられたキャラクターたち。要素多すぎになりそうなところを現時点まではキチンと纏めています。このまま暗闘が連続して上覧試合は不成立、とか黄都対リチアの戦争勃発でうやむやとか…。

 どうなっても、彼ら魅力あるキャラクターたちをしっかり描き切ってほしいですね。

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