• 黄泉のツガイ 7巻

    「陰陽ちゃん やっちゃって」

     …アサのなんだか洒落にならない宣言で…異空間に放り込まれる偽アサとアザミ。 まぁ滅多なことはしないよなぁw

    「言いたい事は山ほど! 山っっっっほどある!けど!! とりあえずおとなしくここにいて 私の仕事が終わったら出してあげるから」

     ユルにちゃんと説明しろ、と言い残して外へ出る。

    「…お願いだから兄様には嘘をつかないで」

     …複雑なところですね。

     制圧の方はもうゴンゾウさん一人でお釣りがくる程w

    「無理無理無理!! こんなの勝てないって…」

     その様子を見守るダンジとリトルグレイのところに合流するユルとデラさん。

    「ユル…来てくれた…」 ガン泣きダンジ。

    「ばっ…ばかおまえ…べべべべつにおまえを助けに来た訳じゃないからな!!」

    「消去法でこっち来ただけでおまえを助けに来た訳じゃ  な人間笑ってんだデラさん!!」

     わかりやすいツンデレだなw

     アサとも合流。 アザミと…片割れである偽アサを保護している事を知ってダンジは

    「アサちゃん!ありかとう!」

    「べっ…べつにあなたのためにやった事じゃないし!! 兄様のためにやった事だし!!」

    「ユルとアサちゃん似てるよな」

     …その通りw

     一方、夜道のチカンこと与謝野イワン。刀のツガイを使っているとはいえ左右様を相手取って一歩もひかない! コイツも大概バケモンだな。

     アサたちと一旦離れて再度戻ってきたユル。新郷が影森に潰された事を宣言し、

    「おまえらの取り引きに乗ってやる義理はもう無い 俺の両親の事 何か知ってるんだろ? 洗い浚い吐け」

    「OK 俺ももうあのおっさんに義理立てする必要が無くなったから話してもいいかな ーーて言うかユルの両親の事 新郷さんは全く無関係だから ミネとナギサを斬ったのは俺だ 首を刎ねた」

     動きが止まるユル。

     一瞬の隙に小刀を左様に投げる!

    「ユルがすんなり『封』を手に入れられるように 死んどいてくれ左さん!」

     …刀は確かに左様の胸に刺さったけど…それで左様…死ぬか?

     一時怒りのままに矢を射たユルでしたが父の忠告(死は心の乱れの隙を突いて襲ってくるぞ)、そしてアサの姿を思い起こして抑える。

    「この目で確認するまで信じない」

     取り囲まれたイワン。

    「しょーがない これあんまり使いたくなかったんだけどな」

     大刀を自分の首に当てる。左様の胸の小刀から泡のようなものが出る。同時にイワンの首にも!

    「左の!! そいつを放せ!!」

     小刀を弾き飛ばす左様。しかしそのまま倒れ込み…。

    「少しまずい」

     逆に動きが鋭くなるイワン。ユルの矢を切り裂き、左右様を同時に圧倒し、デラさんのライフル弾さえ弾く! 精気を吸収して自分のものに出来るのか、そのまま逃げ切ってしまう…。

    「僕が新郷のスパイだとばれると父に殺されるので…目撃者のこいつは口封じに殺しましょう」

     ニッコリ笑って物騒なこと抜かすアスマさんw これだから誤解されるんですよw

     新郷を襲ったツガイ使いを始末する振りを見せて…風神雷神が離れた隙を狙って夜桜が新郷を抑える!

     新郷はアスマの母方の実家らしい。…で、お母さん実家で大分雑に扱われたようで。

    「貴方たち新郷一族に粗末に扱われた僕の母にとって影森家は天国だった 救いだった その影森家を双子の力を手に入れて乗っ取ろうとしている貴方を僕個人として許せないだけです」

     新郷に入れ知恵した者がいるはず、と問い詰めるアスマ。 そこへ転移で現れたイワン。

    「あー 状況把握 だから言ったろ新郷さん 甥っ子に油断しちゃだめだって」

     軽〜い物言いで近付いて…そのまま夜桜と新郷を一緒に叩き斬る! 風神雷神も細切れに!

    「おまえらがフユキのツガイに捕まったら情報取られちゃうからな ここで死んどけ アスマさんさぁ 新郷さんから何か聞いた?」

    「ーーいえ 何も聞いていませんが 誰か入れ知恵した人がいるのではないかと思っていてですね どうやら伯父さんより貴方を問い詰めた方が話が早いようだ」

     ナイフ投げたりするアスマですが…ツガイと渡り合うイワンには分が悪い。しかしイワンの方も調子悪そうで。

    「…すごいな…左さんの精気は…とんでもない反動だ…」

     そこへゴンゾウたちも到着。不利を悟ったイワンは撤退…アスマの方が助かったのか。

    「峰山 今どこだ」

     イワンが呼んだ助けは…女子高生?コスプレ?

    「がんばってくださいね 肉団子になったイワン様を『西の村』に持ち帰るとかかんべんですよ」

     …新ワード出ましたね。「西の村」。東村の対抗勢力でしょうか。東村や影森はその存在をしっているのか?

     さて、陰陽ちゃんの中はユル、アサ、ダンジ、偽アサの四人水いらず…やべえw

     偽アサの本当の名は「キリ」。二人で「ザシキワラシ」。家族をいっぺんに亡くしたキョウカの心の支えに、とデラさんの父ロウエイが引き合わせた。 しばらくは平和な日々を過ごしていたのですが、ユルとアサが生まれ一気にきな臭く…。

     キリは父母と一緒に逃げ出したアサの代わりに座敷牢に入り、ダンジはさりげなくユルの護衛兼監視役に。

    「でもずっとユルは優しくて…毎日会いに来てくれて…たわい無い話するの楽しくて…この関係がずっと続けばいいなって…ずっと…ずーっと頭の片隅で思ってた…!! ごめんなさい ごめんなさい ごめんなさい」

     …ひとりになったユルにとってダンジとキリが心の支えだったのは間違いない。

    「たとえそれが偽者だったとしても生きる力を与えてくれたのはあいつらなんだ もう俺はこれ以上あいつらを責められない」

     とりあえずザシキワラシたちは許す方向で。

     更に与謝野イワンが父母の情報を何か持っている事もアサに話します。イワンが彼等を斬った、と聞いて動揺するアサ。

    「信じるな!! この世は信用できない者ばかりだ!! 自分の目で見るまで信じるな!! 父様も母様も元気に生きてるっておまえ言ったろ!」

     イワンから情報を引き出すにしてもまずは彼から刀のツガイ…大凶小凶を引き離さなければ。

    「兄様 次に見つけたらそいつを私の近くにおびき出して」

     「解」で無理矢理契約解除する気か。

    「視界に入りさえすればどんなに遠くにいても仕留めてみせる」

    「おう 左右様が奴の血のにおいを覚えた 狩り場に追い込むのは俺たちに任せろ」

     さあ第三勢力「西の村」が出て来ました。イワンはここの所属の様子。ユルとアサの親…ミネとナギサをおさえているのはここ…いや違うな。おそらくナギサさんの故郷・沖縄に網を張ってるのが「西の村」であるならミネとナギサの身柄はここにも無い事になります…。3勢力の捜索を掻い潜って逃げてる?まさか。

     しかしこのお話、いわゆる“諸悪の根源”が見当たらないですね。「鋼の錬金術師」の”お父様“みたいな。

     紛うかた無きヤクザな影森家もアサをはじめとする行き場のないツガイ使いたちを保護してる事になるし、東村が裏で相当えげつない事やらかしてるのは作中で描写されてます。西の村も良い面悪い面あると思われます。

     誰かが全ての糸を引いているわけじゃなく、いろんな組織の思惑がからまって惨事が起こっている感じ。言ってしまえば現実と同じ事態の進展の仕方をしているのではないでしょうか?

     各キャラクターが何考えているのか、どんな方針で動いているのか、それが設定できていればこその力技ですが、物語上「こいつ倒せば終わり」というキャラがいない事になります。非常に物語の進め方、終わらせ方が難しいと思いますが、どうするんでしょうか…?

  • スパイダーマン:オクトパスガール 2巻

     スーペリア・オクトパスに乙葉の肉体や日常を壊される事を恐れ、非常警戒モードのドク。

     実のところ乙葉の家まではバレてはいなかったのですが、騒ぎが起きればそこにオクトパスがいる、と見当を付けてやって来るであろう事は明白w なのでできるだけ静かに潜伏するのが良策なんですが…。

    「見つけた…! マリカァァァアアア!!」

     丸児真里加の幼馴染、倉辺桐香。小さい頃にマリカと一緒に芸能活動…見込みのない子供にお遊戯だけさせてレッスン料をせしめるプロダクションの小遣い稼ぎ…をやっていて、見切りをつけたマリカはキリカを残して引退。でもキリカは諦めきれなくて、メンタルが成長しないまま大きくなった…。

     誤解して乙葉を襲うキリカ。その騒ぎを聞きつけて現れるスーペリア!

    「ふむ…暴力事件の現場か しょせん子供の喧嘩 …と言いたいところだが凶器が振るわれるようでは見過ごせん」

     キリカの異常な運動能力を自己暗示による危険な域の強化である、と見切り拘束するスーペリア。

    「我が発明品を用いて頭脳を操作する 心配は無用だ 異常行動の原因となる記憶を消去すればこの娘も落ち着くだろう」

    「助けてマリカちゃん!約束したでしょ! いっしょにアイドルになろうって」

     尚も暴れるキリカをおとなしくさせようとスーペリアのアームが飛ぶ…それを抑えるもう一本!

    「乱暴はいけません!」

     乙葉が自分の意思で動かした? いや、それよりスーペリアにバレた?!

    「その比類なきメタルアームを操るーー君は何者だ!?

     しかし反射的に防御しているだけの状態の乙葉では押し切られる! 髪飾りを落としてしまった乙葉はドクと入れ替われないまま捕らえられ

    「今は一刻も早く我が拠点にてこ少女を検分し 適切に処理しなければならん」

     神経スキャナーでドクを消去するつもりか。

     アジトでスキャナーにかけられる乙葉。逃げ切れず、アームから姿を投影させるドク。

    「だが貴様の出る幕はない なぜならここに最新にして最高のスーペリア・オクトパスがいるのだからな!」

    「”最新“のオクトパスはこの私!貴様こそが我が過去の亡霊なのだ!!」

    「猿まねなどではない!負け犬は黙っていろ!」

    「負け犬は貴様のほうだ! 劣等感まみれの“劣った”オクトパスが!!」

     理屈っぽいのがダブルで、セリフが多いなw

     消去プロセスを開始しようとするスーペリア。しかしそこに割って入って来るマリカたち! キリカが匂いを追って来たらしい…すげえな自己暗示w

     マリカが渡した髪飾りでドクと乙葉の入れ替わり完了。

    「よくも私を虚仮にしてくれたな若造が!! 今から貴様をタコとクモの合い挽き肉にかえてやるぞ スーペリア・オクトパス!!」

     乙葉の身体を盾にスーペリアの攻撃を防ぐドクw ヒデェw

    「それがヒーローの限界だ 倫理と良心に縛られ…結局何も守れはしない」

     緊急再生システムを起動しろ、と宣告するドク。それでスーペリアは自分に統合される。

    「こ…っ 断る! 貴様のような薄汚い悪党に戻るくらいならこの場で消滅したほうがましだ!!」

    「…だろうな おまえは私の”ヒーローの夢“だ …純粋な夢のままに消え去るのもいいだろう」

     ドクも悩み、揺れながらここまで来たんですね。 ジョーカーとかのような芯から狂っているヴィランとはちょっと違う、悩める一人の人間としての面です。

     しかしそこに割って入った翼を持つヴィラン!

    「おまえら ひとンちでなにやってんだ」

    「その声は…当麻!?」

    「タカちゃん!?」

     そう、それは当麻多華の変わり果てた姿でした。

     鳥型ドローンを背面に装備した多華。そのままスーペリアを引き上げ、倉庫を破壊して脱出します。

    「全部 消えちまいな」

     …とりあえず乙葉たちも退散。一旦騒ぎは沈静化。

     この騒ぎでマリカとキリカのわだかまりは解けた模様。ドクは神経スキャナーを取り戻し、NY帰還の準備を進める事が出来る。スーペリアが狙うのはドクだけなので、ドクがいなくなればスーペリアが乙葉たちを襲う事はない。多華は既に一線を踏み越えてしまった。一般人が関わるべきではない。総じて乙葉たちにとって事件は終わった…。

    「ただ…ちょっと ちょっとだけ…丸児さんとキリカさんが楽しそうだな…って思っただけて もう私とタカちゃんがそんなふうにはなれないってことは ちゃんと分かってます…」

     涙を流す乙葉。マリカ、キリカ、デンコが声をかけます。

    「なんとかしようぜ 当麻のこと あいつ…やべえ怪人みたいになっちまって なにやらかすか分かんねーけど ほっとけねーんだろ奥田宮 おまえの友だちなんだから」

     乙葉のやってきた事が皆をつなげたんですね。

     以後、「多華を取り戻すこと」がチームオクトパスwの目標となります。

     そもそも乙葉と多華の出会いは…タコヤキでした。乙葉の伯父さんの焼くタコヤキが縁で仲良くなった二人とその家族。多華のお父さんは大型のドローンを開発していた発明家なんですが、その技術を“アクロス・カンパニーが丸ごと取り上げてしまった。裁判で争うために多華父と乙葉の伯父さん(元弁護士!)が協力し始めた矢先、交通事故で二人一辺に…。

     …神経スキャナーの横流しもアクロスでしたね。どうにも胡散臭いな。

     親戚に引き取られていった多華は、数年後には人が変わったようになっていたそうてす。

     伯父譲りのタコヤキで皆をもてなす乙葉。

    「どうぞおふたりとも 焼きたてを

     成り行きでその場に現れたスーペリアと多華にもふるまう。

    「タカちゃん 少しお話をーー」

    「さっきも言っただろーー あたしとおまえはもうなんの関係もねえんだ」

     飛び去る多華。 父のドローンを改造した翼で…。

     説得は無理じゃないか、とマリカ。

    「…いいえ 大丈夫です」

    「タカちゃんは昔からアツアツが苦手ですっごくフーフーするんですけど さつきのお話の最中もフーフーしながらしっかり食べてくれてました タカちゃんはやっぱり私の知ってるタカちゃんでした きちんとお話すれば きっとまた仲よしになれます!」

     乙葉が最初と比べて大分積極的になってきました。ドクの無茶に付き合ううちに本来の性格が顕になってきた感じですかね。ちょくちょくドクの方が引っ張り回されているのは、実はこの二人がコンビとして相性いい証拠かも知れませんw

     そしてどうにも暗躍している気配があるのがアクロス・カンパニー。いろんな技術を集めている様子ですが、スパイダーマン本人にもちょっかいをかけているようで…。単に金儲けの為ならまだマシです。 何だかろくでもないこと考えていそうなんだよなぁ…。 

     最終的に乙葉、スーペリア、スパイダーマン連合でアクロスwith多華と対決…とか?

  • 暗号学園のいろは 7巻

     最終巻です。キャラクターと情報と仕掛けの洪水が最後まで押し流します!

    「徐さん 今何周目?」

     チームいろはにメタバース攻略情報を渡す徐綿菓子。その情報はワープゾーンを駆使して地下250階までを周回して集めたものでした。

    「『死んで覚える』はビデオゲームのいろはのいでしょう?」

     しかしそれはメタバースにログインすることで受けるダメージを周回分受けることでもあります。

    「おっ…徐さん! 暗号バトルを申し込む! ボクが勝ったら今すぐ退役(ログアウト)して!」

     綿菓子の体を慮ってゲームを降ろさせようとするいろは。星座を五十音にあてはめた暗号で…。

    「理想のチアがアンヴィシャスなら理想の暗号兵はあなただよ 地下(いま)だって星のように見上げてる たからお長い徐さん あなたみたいになれるチャンスを頂戴 あなたの戦略(ゆめ)を引き継がせて」

     暗号学園で最初に綿菓子が出題した星の暗号に絡めた星座の暗号。「享楽に夢をつなげる」の意味も添えて。

    「今思いついたような適当な嘘をーーつけばいいのにその愚直さ 確かに私が悪い見本になってしまったようですね」

     『暗号を解いた上で』負けを認め、綿菓子がログアウトしていきます。ある意味1巻からの伏線回収ですかねw

     そして問題の250階、法廷フロア。いろはの過去、野盗に捕まり、チア部の男子を銃殺する様子を応援させられた…事実を「民間人殺害の事後従犯」の罪状で告発されます。 …なんかおかしくない?と思わないでもないですが、法廷戦術によって議論がネジ曲がるのはままあること…かなぁ?

     いろは本人が洗いざらい話してしまったので弁護の余地がない。悩む縁沙。しかしこのままいろはを守っても彼を救えない、と気づく。

    「被告人が有罪とされるなら私は 一緒に死にます ひとりじゃ死なせないしひとりじゃ生きさせません」

    「判決ーー被告人を無期限の執行猶予とする! 身元引受人は被告人と生涯添い遂げるように!」

     AIがバグったw まあ実質無罪を勝ち取ったので良しとしますか。縁ちゃん責任取りなさいよw

     地下499階。円卓フロアに揃った13人。

    「スタート地点がバラバラだった割には最終的にはいいようにならされて ほぼ同着でケツが揃うとは座りが悪いわね」

     享楽もツッコミますがまぁそれは創作の都合と言うことでw

     地下500階に進めるのは二人だけ。その二人を選ぶためのゲームが「円卓電卓フラッシュ暗算」!

     三桁の自然数を順番に言い合い、16番目のプレイヤーがそこまての合計値を答える。誤答したら退室。一度出た数字を言っても退室。これを…ずっと踊りながら行う。

     …最後の条件で相当面白い絵面になりましたが、ゲームとしてはかなりキツい。

     それでも残ったのはやはりこの二人。いろは坂いろはと東洲斎享楽!

     最終階、地下500階死体置場フロア。暗号皇帝になれば何をしても人が死ぬ。それを忘れないように、という意味か。

    「さて、骸骨ゆえにってわけじゃないけど私達の決着はこれでつけたいの」

     享楽が出してきたのは「自己紹介Xワード」改め「ぶっ違え哨戒戦争」。

     要するに暗号学園初日で作ったXワードで相手の紹介を作れ、と。「私達の出会いを思えばこれしかないってラストゲームでしょう?」とか言ってます。 …ずっと気にしてたんですね。プライド高ぇな享楽さんw

    「これ 作られたX間違うとるって言い張れば勝てへんけ?」

    「そこも含めてプライドなんだよ」

     まさに相手の全てを飲み込まなければ勝てない究極の勝負。

     享楽の方が先に完成。「とてもあざやか」がヨコのカギに残っていたり、一方「重要な一文字」というカギで「い」(いろはのい)を入れていたり、完璧と言っていい出来!

    「…ボクのもできたから一応見てくれる?」

     いろはが出したXは…出鱈目?いやこれはシーザー暗号!

    「えっと…自己紹介ならともかく 友達の内心を書くんだからぼかさなきゃって思って…」

    「企みを暴くためではなく 偽りで塗り固めるためでもない 真実を守るために暗号を行使するとはね」

     負けを認める享楽。

    「敵と呼んだ私をそれでも友達と言ってくれた 決まり手はそれだけでも十分なのよ いろりん」

     初めていろはを愛称で呼び、初めての笑顔をみせながら東洲斎享楽は退室していきます。

    「戦災の暗号資産 500億モルグの発掘者は暗号皇帝いろは坂いろはくーん!」

     メタバースの最奥に待っていたのは…洞ヶ峠凍。

    「始めようぜいろは 最後のワンポイントレッスン」

     『凍が世界の戦争を二倍に増やした』のココロは…精度100%の嘘発見器を販売した事、でした。

    「結果 世界の戦争は二倍に増えた みんなが正直ならなんにも問題なかったのに」

     みんな嘘ばかりだから戦時でも平時でも悲劇は起こされる。A組のほぼ全員にある悲惨な過去がその証拠。

    「戦争をなくしても悲劇はなくなんねーんだよ ゆえに重要なのはダイヤルをひねるがごとく戦争を持続的にコントロールすることだ」

    「…だから『終わらせる』じゃなくて『停める』なんだね」

     最悪のテロリストの正体は、現実を見続けて心が軋みを上げながらも夢を追う、究極のリアリストにして夢想家でした。

     対してひと呼吸していろはの答え。

    「平和をコントロールすれば?」

    「なれるよそうすれば 戦争(たたかわ)なくてもヒーローに」

     虚を突かれて狼狽える凍。たしかにできる、時間も予算も人数ももっとかかるが、でも今更黒幕の自分にそんなこと…。

    「最後のなんて言わないで 正直なんかじゃなくていいから いろはの果てまで聞かせてよ 理想(ゆめ)のあるホラ話を」

    「一緒に戦争 なくそうぜ!」

    「…どこの馬鹿だ そんなお寒いセリフを大きな声で言ったのは」

     差し出したいろはの手が凍の手を掴む。凍の手袋が地球型だったりするのは…メタファーでしょうかね。

     3年後…『初代』暗号皇帝東洲斎享楽の元、暗号学園は500億モルグを元手に世界に戦争を停める活動を…逃げたないろはw

     とりあえず「戦場の踊り子」は助け出され、勿忘草和音の名を与えられて暗号学園に。 …良かった。

     現場で一兵卒バリバリやってるいろはは塹壕学園の卒業生と共同作戦を。

    「夜鳴鶯アンヴィシャス! そっちは?」

    「暗号学園のいろは!」

     暗号資産を使い切っても、目標に到達できなくてもまったく諦めない暗号学園の強さは、この1年のあれやこれやで培われた絆の強さでもあるんでしょう。 …こいつらなら資産とかなくても結構いいところ行くんじゃないかな…w

     「化物語」もコミカライズは終了したし「新本格魔法少女りすか」も終了。「いろは」も終わると西尾維新先生関連漫画がついに無くなる事になりますね。 仕事量的には冗談みたいな涼介をこなしている西尾先生なので、仕事の総量としてはこのくらあでは変わらない気がしますが…やっぱり漫画階にも存在を示し続けてほしいですね。具体的には次回作をお願いしますw

  • あかね噺 11巻

    「存外悪くねぇぞ 鎬を削る仲間がいるっつーのはょ」

     ちょう朝から朝がおへの助言。勉強会には仲間を誘ってやれ、と。その言葉に従い、朝がおはあかねとからしを誘いらくご喫茶を満員札止めするまでになりました。…まぁキャパ50人なんですがw

     朝がおが得たものは多く、それはあかねにも波及します。

    「師匠から開口一番の人選を任されててな お前に頼みたい」

     朝がおの二ツ目披露興行。 トリは朝がお、華を添えるのは師匠のちょう朝と…阿良川泰全。阿良川一門の大看板、阿良川四天王の一人。つまりあかねの二ツ目昇進の推薦票を出せる一人…というか事情を考慮すると推薦を貰えそうな唯一の人物!その泰全が参加する会の開口一番をあかねに任せたい、と。

    「兄さんの大一番!! バッチリ盛り上げてみせます!!」

     よくよく人の縁に恵まれるあかね。真っ直ぐさ故に皆助けたくなるんでしょうか。そしてそれはちょう朝も同じで…。

     泰全を呼び出したかと思えば

    「二ツ目昇進の推薦 コイツにやっちゃくれねえか? 四天王なら出せんだろ モチロン開口一番の出来次第でな」

     言いづらい事をさらっと…。「気に入ったヤツにゃあデカく張る 博徒の性よ」とか吹いてますが…根本的に面倒見いいんですね、ちょう朝兄さんw

    「…阿良川の二ツ目は 一生師匠の御目に触れる身分 分かるか?その意味が 御目汚しは認めんぞ」

     見た目通りの重厚な物言いの泰全。

    「…その意味は誰よりも分かってるつもりです 二ツ目への大一番 全力で挑ませて頂きます」

     しかし泰全にも無視出来ないしがらみがありました。泰全の師匠、同じく四天王の阿良川全生。

    「何があっても志ぐまの弟子に推薦を出すな お灸を据えてやらないとねーーあ!! コレ師匠命令 絶対だから」

     志ぐまに一方的に敵意を持っている全生。下衆な横槍ですね。

     泰全は例の志ん太破門事件の直前に真打昇進を果たしており、昇進はしたけど華もなく奮わない自分のせいで一生が幻滅し、受験者全員破門の暴挙に出たのではないか、と気にしていて…(全生もきっちりその辺をついてくるのが嫌らしい)。 彼の方にも引け目があるんですね。

     事情をどこまで知っているのか、あかねはちょう朝に動物噺『狸賽』を教わります。披露目での披露を目指して。

    「嬢ちゃん お前は俺に似てる 嬢ちゃんなら俺の演り方がきっとハマる」

    「…もしかして 狸賽が私の“十八番”になると…」

     ”十八番(おはこ)“…その落語家の代名詞になる演目。「俗っぽく言えば“必殺技”みてぇなもん」。

     得意な動物系の噺で”陽“の芸。あかねが落語家としてこれからやっていく武器になり得る!

     「江戸弁なしでやれ」などの試練を受けつつも披露目に向けて『狸賽』をおろし…披露目当日。

    「泰の字が遅れるぅ!?」

     泰全は少し遅れて楽屋に入る、出番には間に合うから…つまり開口一番は見ない?

    「頼まれた仕事はキッチリやるが嬢ちゃんとの勝負は降りると!!」

     芸への誠意と師への義理で板挟みになり、公園で立ち尽くす泰全。

    「随分と苦しそうじゃないか 悩み事があると緑のある場所に行く その癖変わってないな」

     泰全の前に現れたのは…志ん太!

    「阿良川志ん太…か その名前久しぶりに呼ばれたな でも…もう死んだよ 阿良川志ん太は 俺は桜咲徹 ただのコンクリート屋だ」

     ちょう朝、泰全、そして志ん太は前座時代からつるんでいた仲間でした。その仲間が自分のせいで破門になったとなれば…。

    「道は違ってもちゃんと前に進めてる かわいそうとか思ってたんなら御門違いだよ」

     泰全を慰めつつ披露目会場へ誘う。

    「お誂え向きだろ 悩んでる時はパーッと笑うのが一番だ」

     会場。あかね、朝がお、ちょう朝が待ち構える前に現れる泰全。

    「オウオウオウオウっ!! 泰の字!!テメェどこほっつき歩いてやがっ 志の字…」

    「まぁ…お前の役目だわな」

     三人の関係性が窺われる一言です。怒るちょう朝もどこか嬉しそうで。

     そのまま客席に戻ろうとする志ん太。あかねの方をちょっと向いて

    「着流し 随分 様になったな」

     あかねも気合が入ります。

     …事態は何も解決していないんですが、全てが良い方へ向かっているような…。 志ん太がちよっと出ただけでこれです。影響力が大きい。志ん太がこの物語のキーキャラクターですね。

    「さァて!! 湿っぽいのはここまでだ!! なんにせよ場は整った!! こっからは楽しい楽しい落語の時間よォ!!」

     あかね勝負の一席。『狸賽』が始まります。

     罠にかかっていた子狸を助けた男。恩返しがしたい、という子狸にサイコロに化けさせて博打で儲けようとしますが…という噺。

    「…ん? 転がされたら目ぇ回って吐いちまう? 何言ってやがんでぇ!! お前賽子だぞ!! 転がさねぇでどうすんだ!!」

     それはこれまでのあかねの「端正な落語」とは違った自由奔放な落語。マジメなだけではないオリジナル、「阿良川あかね」の高座。 ちょう朝がやらせた「江戸弁禁止」の理由がこれでした。 基礎は既に充分。ならばここからは自分を出していく。

    「もう基礎だけじゃなくていい テメェがやりたいように遊べばいいんだ そこで垣間見える“仁”に人は惹かれ その遊びが”芸“を際立たせる」

     更に一段成長を見せるあかね。現落語界のトップの動向に関わる話も出てきて話の規模がデカくなって来ました。

    「“志ぐま”を継ぎたいんだ」と呟いていた志ん太。

     一生、志ぐま二人の師匠、先代志ぐまが残した未完の演目”志ぐまの芸“。

     己の“仁”に合った芸こそが極められるものであるのなら、その”志ぐまの芸“に到達できるのはおそらく志ん太のみ。一生と志ぐまもその芸を目指したが叶わず、一生は”志ぐまの芸”を否定する方に行ってしまった。 そして到達しそうな志ん太をも否定し、破門してしまった…という事でしょうか。

     …ってことは物語上、志ん太の高座復帰がある?

  • ドラゴンクエスト ダイの大冒険 勇者アバンと獄炎の魔王 10巻

    「相手にとって不足無し!」

     初めて自ら勇者を名乗ったアバンに堂々と勝負を挑む地獄の騎士バルトス。その6本の腕はそれぞれ剣の達人の死骸から奪ったもの。バルトスはその能力を鍛錬によって更に高めてきた!

     彼の凄まじい技量に構えを変えるアバン。

    「…どうした勇者?」

    「いえ 一瞬の気の迷いです」

     ハドラーとの決戦のために力の温存を考えていたアバンですが、バルトスの剣技はとても抑えて対応できるものではない…また純粋に己の全力をぶつけてみたい!

    「それが敵に対しても正々堂々挑んできてくれたあなたへの礼儀です!」

     凄まじい剣技の応酬!

    「…足りん!足りん!足りん足りん足りん! 腕が6本では…足りんっ…!!」

     全ての剣を見切る勢いのアバン! 見る間に成長していく彼に対しバルトスは剣を両手持ち3本に絞りカウンターの構え。

     不動地獄剣!! 相手の剣を一刀で受け、2本で同時に反撃を入れる完璧なスタイル!

     対するアバンは大きく剣を振り上げ…大地斬の構え! …ただの剛剣なら一撃で弾かれ、二撃目三撃目を食らうのみ!

    「あいにく私には手が2本しかありませんからね できることはこれしかない!」

     アバンが突っ込む!

    「こちらの攻略法はひとつ! 二、三撃目まて束ねるほどの超威力を込めて押し切ること! それ以外にないっ!」

     重ねて受けるバルトスの三刀をまるごと吹き飛ばすアバン!

     覚悟を決めたバルトスに、しかしアバンは剣を収め。

     バルトスが首にかけていた星の飾りを見て

    「それは明らかに子供が作ったもの… まさかとは思ったのですがあなたにも家族が と …一瞬そう考えたら…斬れなくなりました…!」

     それ故に、邪気を断ち確実にバルトスの息の根を止める空裂斬を使わずわざわざ力勝負に持ち込んだのか。

    「…ワシの…負けだ! 力だけじゃなく…心においても!」

     あぁ…「ダイ大」でも描かれた、後のヒュンケルに繋がるエピソードです。これ自体は非常によいシーンなのに悲劇に繋がってしまうのは…辛いですね。

     魔王と共に滅ぶであろう自分が後に残す息子ヒュンケルの事をアバンに託し、アバンを通すバルトス。

     仲間との信頼の元に命を賭けて勇者を進ませてきたアバンたち。力と恐怖で配下に犠牲を強いた魔王軍。その魂の差で我らは勇者に敗れるのではないか…。崩折れるバルトス。

     魔王の間。待ち構えていたハドラーは己のために戦った配下たちを「不甲斐ない」と斬って捨て、

    「…勇者よ …オレの部下になれ そうすれば世界の半分を与えてやるぞ」

     アバンは人間という種族の枠を超えた存在だ。自分と同じように!

     突然変異的に強く生まれた自分は支配する側の者である、と主張するハドラー。自分が魔の者たちを、アバンが人間を支配することで地上のすべてを手に入れよう…そう提案します。

     …魔王を名乗る者のこれまでに受けた仕打ちと孤独を思わせる言葉ですね。神に見捨てられた魔界でただ一人、地上を目指し戦いを始めた男。

     対して幾多の人々との繋がりが自分を育て、強くしてくれたと述懐する勇者。力の支配を真向から否定します。

    「私も今この場で理解したぞ おまえとは決して相容れない…!!」

     始まった最後の決戦、勇者対魔王!

     “魔界の神”が密かに見守る中、初手から猛攻を続けるアバン。人間と魔族の根本的な体力、魔法力の差を埋める為、ハドラーの回復力を超えるダメージを重ねて一気にとどめを喰らわせようとしている…あの未完の奥義を!

     …ついに決まるアバンストラッシュ!しかしハドラーにとどめは刺せない!

     そして追いつめられると覚醒するハドラー!魔界の底で地上の魔王を目指し始めた頃の決意を思い出した! 凄まじい反撃!

    「オレの魔王としての決意を思い出させてくれた! たとえ我が物にならずともそれだけで! おまえには何にも代えられぬ価値があったァッ!」

     その纏う火炎呪文はまさに地獄の炎…獄炎の魔王!

     …しかしアバンの狙いは別にありました。彼の目的はハドラーの超回復能力を測ること。その結果、ハドラーは全力の攻撃を放った直後には肉体の治癒が止まる事が分かった…つまり奴が渾身の一撃を放った直後にアバンストラッシュを叩き込めば…!

     だがそれにはハドラーの必殺の攻撃を受け切った上で反撃せねばならない! もうそんな力は…。

     その時光り始めるアバンの”カールの護り“。フローラ姫からもらったこのアイテムの効果か、ロカとレイラ、マトリフの姿が見える…。瀕死の重傷のはずの彼等の魂をだけが飛んできたのか。

    「立てよ親友! オレの…オレたちの誇り!」

    「…ええ やってみせます必ず! だから…ほんの少しでいい あなたの力と! マトリフの技と! レイラの心を! この一瞬! 私に分けてください!」

     立ち上がるアバン。まさに皆の心を力にする勇者の姿。

     ハドラーは獄炎の拳で勝負をかける!

    「一撃で決着をつけてくれるわ!」

     …アバンは剣を捨て、無防備に立つ!

    「バカめ!勝負を捨てよったかああーーっ!」

     しかし、叩き込まれた拳にはほとんど手応えがない!

     そう、これは殺気闘気をゼロとし己を無とすることで、攻撃で受けるダメージを最小限にとどめてカウンターを決める…!

     後に「ダイ大」でヒュンケルが受け継ぎ、実践する技。

     後にアバンがつけた名は…アバン流究極奥義 無刀陣!!

     剣を拾い、逆手に持って斬りかかる!

    「この一撃に! 仲間たちの想いすべてを込めて!」

     アバンストラッシュ!!

     魔王ハドラーとの決戦のほぽ最後まで一気に描かれました。

     …いや、無刀陣まで拾うとは思いませんでしたw 「アバンの書」に記述があったとは言えヒュンケルをして習得は無理(てか自分には無理)と言わしめた幻の技!

     フューレを倒したときの「ダメージを最小限に攻撃を受け流す技」を元に編み出した技ですが、個人的にロカが使った武峰・豪破一刀も元にある気がします。カール一刀流がアバンの剣の基本に生きている…と考えると最高にエモいじゃないですか。

     さあ、もう描くべきことはほぽ描き切りました。次巻で完結でしょう。あとはヒュンケルとどうケリをつけるのか…と最後にはポップと出会って終わりなんじゃないでしょうか。

     最後まで「結末がわかっていても興奮」させてもらいましょう!

     

  • アンデッドアンラック 21巻

    「私からもお願い 闘おう 3人で」

     苦しみながらも力強く言葉を放つライラ。

     足を斬って付ける古代遺物ブレードランナーを片足づつ分けて付けたリップとラトラ。

    「ここでそんな物騒なもん両方つけたらもうアンタは止まらない ならせめて私にも一緒に闘わせて!!」

     ラトラの涙ながらの訴え。 二人で闘う覚悟を決めたところにライラは囮として同行。 人の病を喰らうUMAシックなら、この病院で一番強い病の持ち主…ライラの元に必ず導かれる。 …ならいっそあの場に突っ込む!

     しかしシックに近づけばライラは保たない…。

    「わかってます ライラさんは私が手術します」

     …この時のために訓練した風子の医療技術…その期間、実に100年!

     ユニオンメンバーが防御するなか、リップの不治がシックに決まれば勝てる! 襲い来るシックジュニアの集団も何故か外れ…。

    「私の信じた占いはもう当たらない でもアンタは私を信じてくれた なら受け入れるわよ 100%外れる占いも悪くない」

     UNTRUST -不信- 発現

     ラトラの否定能力! 最高のタイミングでの発現です。

     「裂けやがれ!! 新月斬」

     巨大なブレードでシックを真っ二つ!しかし消えないシック。

    「まだです!!まだコアをやれてない!!」

     斬られてなお歩みを止めないシック。ユニオン総出での攻撃でも止めきれず、ライラの周りの不変バリアを破る攻撃! 庇った風子の髪がちぎれ、サポートに入っていたリップに触れる…不運が発動! 隕石が来る…!

     ライラは動かせない、風子は手が離せない、シックを抑えながら隕石への対処…手が足りない!

    「各員 民間人を壁際へ!! ビリーさん不変のバリアでみんなを包んで!! 一心さんはガレキでできる限りのシェルターを!!衝撃に備えて!! ジーナちゃんも中に入って!! リップさん!ラトラさんをここへ!!」

     矢継ぎ早に指示を出す風子。しかし到底間に合わない!

     その時、シックに向けて飛んで来る腕! 「DEADEND」の刺青が刻まれたその腕はシックを抑え込みながら再生し…。

    「悪いな この体は分身だ 一分ともたねぇ 命令を ボス」

     そこにいたのは懐かしい姿。

    「アン…」

     泣き出しそうになるのを堪えて

    「私はオペを続行!! あなたはシックを!!左右どちらかにあるコアを破壊し上空の隕石を新たな不運で迎え撃つ!!」

    「一分じゃあ釣りが来るぜ!!」

     シックの操る”病気“に対してほぼメタが張れる不死。これまでが嘘のようにシックを翻弄、拘束系能力を束ねて自由を奪った上で全身叩き潰す!

     シックがコアごと潰されそうなその時、助けが。

    「ツマラン オレが見たいのは命一つの否定者共の最善最速のぶつかり合いだ」

    「仕切り直しだ どうせここを逃せば奴はもう現れまい」

     UMAムーブ。こいつこれが理由でユニオンに手を貸してたのか…。

     ムーブの亀裂の奥に消えるシック。時を同じくライラの手術が終了。シックの消滅に気付いた風子が何かに気付く。

     アンディに一声かけて走る風子。阿吽の呼吸で走り出すアンディ。 タッチして互いに走り抜ける。アンディの体が消え始める。首だけで

    「リップ ラトラ!! 思いっきり頼む!!」

     ブレードランナーで生首を蹴る! …なんかこれも懐かしいw

    「くるよ! 不運が!!」

     アンディ(の生首)は隕石に向かって飛び…更に飛来した彗星と衝突!互いに崩壊していきます。

    「ハッ いいね 最高だ」

     これでシック戦は終了ですが、風子はシックの消えた亀裂に更に飛び込みます。

     そもそもユニオンの総力を上げての捜索でも見つからなかったアンディ。風子のピンチにも分身しか来られなかった。 …つまりアンディは普通には来られないところで何かしている! そしてそれは間違いなくUMA絡み!

    「私達の調査で見つからない所なんてもうこの世界にはない あるとすればこの世界の裏面!」

     シックが逃げた先にあったのは…黒い円卓。

    「初めてだね ここに否定者が来るのは ようこそマスタールームへ」

     そこにいたのは上位十理。第一席のUMAに気に入られた風子はアンディの居場所を聞く事ができました。

     不死は魂で上位十理を抑えている。

    「キミ黒点って知ってる?」

    「太陽の表面にある温度差で見える黒い…」

    「そうそれ それが不死 現在彼は太陽にいる」

     マスタールームは太陽の中にあり、アンディの魂が邪魔して上位十理が外に出られない状態。唯一クエストに選ばれ転送されない限りは…。

     アンディの魂が弱ってきてようやく十理が出られるようになった。だがそれはユニオンにとって不利ばかりではない。上位十理を倒していけば必ず神に辿り着く!

    「いいね 上等だ!!」

     新たな目標を得たユニオン。 地球に戻された風子はアンディ救出の手段を探り始めます。

    「不燃(アンバーン) 物の燃焼を否定する否定者 その能力があれば太陽に辿り着ける!!」

     NYでラーメン屋台やってた不燃・番場円陣に食戟(おあがりよ!)を挑んで仲間にし、ユニオンは太陽へ。

     発現した不燃で太陽の炎を止め(!)、ほぼ炭化しているアンディを発見…火傷は再生に時間がかかると聞いていた風子はアンディの耳を撃ち抜きw

    「大丈夫です!頭撃ったの2回目なんで」

    「いっつも無茶なことしてごめん でもこういうのも全部アンディから教わったんだよ」

     無茶苦茶ながらも熱烈な愛の言葉。

    「人んちの上でノロケてんじゃねーよ」

     現れた女性型UMA。メンバーの着ている耐熱スーツを変形させ…ジーナの不変で対抗。

    「へぇ…そう… アナタが私の器なのね」

     つまりこいつがUMA・チェンジ!

     しかし立ち上がったアンディ。

     部位弾 魂再生 指運(パーツバレット ソウルブースト フィンガーズ)

     撃ち出した指はUMAをかすめ、そのまま地球へ向かう!

     その隙にユニオンは離脱。UMAにはアンディの魂の鎖が繋がれ…。 至れり尽くせりだなアンディ!w

     アンディの置き土産はもう一つ。

    「イチコさん 今からそっちにアンディの魂の弾丸が5つ向かう!あなたなら捕捉できるハズです!! 着弾地点を予測して!!必ずそこに 今の私達に必要な…最高の仲間がいる!!」

     残る否定者はアンディの指し示す先に。まずは十理特効・不正義をもつジュイス!

     怒涛の展開で終盤へ雪崩込みます。ちょっと出ただけで全て持って行くアンディ、流石のスパダリっぷりw

     ただ、まだアンディが門番していないと十理があふれてしまうので本格合流は最終盤でしょうか。ユニオンの強化は緊急課題ですね。…ネットのネタですが、UMAラックに対抗してボイドさんが先代不可避除津さんのくじ当て能力を駆使する…ってのがあってw これ見たいなw

     あ、リップさんライララトラと同時婚おめでとうw それが彼らの愛の形ならば野暮は言わず祝福しましょう!

  • 明日の敵と今日の握手を 4巻

     駐ブリタニケ大使ウィルマン子爵…辞表を提出!

     …あー、あと2年ハラルドの相手をするのは無理…と判断されたんですね。無理もないw

    「やはり異郷の地というのは気づかぬところで心身に無理をかけるのやもしれんな 諸君も体調には気を付けることだ」

     その心労の元凶が何か言ってますが。

     後任の大使、ノーランド子爵の到着を待たずハラルドはガリアへお忍び出張。皇帝同盟系の外交官に知れるとややこしいことになるから…。

     新任大使の出迎えはアメリアとモーリッツで。

     …で、これが着任する大使からどう見えるかというと…。

    「これは何? 外交官はトップが来てるのに軍人は下っ端…この落差は何?」

     大使ノーランド子爵本人はともかく、娘のエナの方はいろいろカカってる感じで…。

     軍機を盾にハラルドとの面会をのらりくらり躱す中尉がやってることと言えば…高級品のパイナップル缶詰を大量に入手しては食いまくっている、とw

     通商環境の調査とか言われてもお嬢さんに理解できるわけもなく、「外交のフィールドで軍人がデカい顔して機密費をちょろまかして贅沢している」となってしまうw

     トドメに例の国際関係研究院のお茶会にエナをホストとして迎える事になったのですが、彼女手際が悪く…アメリアが助け舟を出すつもりがホストの顔を潰すタイミングになってしまった…あぁめんどくさい。 結果エナを泣かせてしまい…。

    「大使閣下がご令嬢をホスト役と見なされる以上 彼女がボスだ 必要もないのにボスをけなすな」

     戻ってきたハラルドはお冠ですが、ちょっとポイントが違いまして…何故泣いたのかさっぱりわからん、と。

    「泣けば単に役目に不釣り合いだと自ら露呈ではないか」

     …感情の暴走とかわかんないんだろうな…。

     で、苦手意識を持たれているエナとの関係修復も兼ねて二人で社交術を教わろう、という話に。 教師役はツテを辿ってブレタニケ元皇太子秘書官のジェームズ・アンリーノ氏。

    「社交の真髄とは…ざっくり言うとパーティーでうまくやるコツです そう大したものでもないのですよ実のところ」

     気さくな人なんですがアメリアなんかは「絶対裏がある!」と神経を尖らせて…まぁハラルドだからw

     これは大して問題にはならないんですが、この流れでエナとジェームズ氏の子息が接近。なんかいい関係に。

    「ケース・ブリジッジ! ケース・ブリジッジ!」

    「浸透工作ないし影響力獲得を目的とした最悪のハニートラップの可能性は否定出来ないだろう!」

     息子君とエナの関係がなんだか公安が動くような案件に…なんで? 言っても王室にコネのある貴族の子女と外交官の娘でしょ? 多少面倒な関係かも知れませんがそこまで問題になるようなものでもないのでは?

     ジェーンやアボット父はハラルドの差し金まで推測に入れています。あーっと…。

    「今なお宮中と大変親密な元皇太子秘書官殿が 公式には素性の知れない子供を実子として偽っている理由を深堀りしたいと本気で思うのかね?」

     …ご落胤?! ここにハニトラ疑惑とかそりゃヤバい。お家騒動のガチネタです。

    「本件はロイヤルファミリーとは一切関係がなく 私個人の付き合いから職権乱用をしているにすぎないのだから公式に何かあればそのように証言してもらう よろしいかな?」

    「私は極端に外国人嫌いなんだ 友人の子供に悪い虫がつこうとしていると勝手に騒いでいる そういうことになるからね? よろしいね?」

     アボット父とジェームズがジェーンに念を押します。いざとなったら自分たちが詰め腹斬って事態を闇に葬る、と言ってます。 ジェーンが「うわっ そのレベルか!」と冷や汗かく状態。 二人を別れさせれば丸く収まるのですが…。

    「は? ハニートラップを仕掛けさせた? この私が? は?」

     ハラルド怒り心頭です。彼は彼なりに恋愛というものに敬意を持っていたらしく、話を切り出したジェーンに珍しくブチギレです!

     呼びつけたアボット父と表面上はにこやかな…実質殴り合いの交渉w

    「今回の件は大変遺憾に思います 双方にとって望ましい解決を諦めないつもりですが いずれにせよ今後ともよろしくお願いいたします(譲れよ少しぐらい譲歩してさ? 長期的な付き合いになるんだから)」

    「歴史が対話の正しさを証明してくれることを願うばかりです(てめーが因縁付けてきたんだろ?そっちこそ引けよ)」

     大人の話し合いの裏でそのへんのヤンキーみたいな意地の張り合い…。

     衝突防止のための『配慮』なら期待できた、話の切り出し方を間違えた…とアボット父とジェーンが悩む中、二人を帰した後のハラルドは怒りの表情を即座に戻し…。

    「ポーズだポーズ 不快の念というのを露骨に示しておくだけのな」

     あの間抜けども、話の切り出し方を間違えた…と期せずして同じ感想を漏らす。

    「さて事情説明ぐらいしようかオーメロッド中尉」

     …ハラルド、なんだかんだ言って事情をほぼ把握しているようで。コネを辿った情報やら当時の新聞記事やらで隠された事実まで到達してました。

     もし仮に事故死した皇太子に隠し子とかいたら、匿うのは腹心だった皇太子秘書官…とか口走ったアメリア。

    「オーメロッド中尉 沈黙は金と言うがね?」

     ただ、この辺をハラルドが理解したのは流石に事件後のことらしい。知っていればそれ相応に配慮した、とか白々しい事言ってます。 しかしそれはそれとして譲る気はない、その上で二人の恋は邪魔させない…。

    「我々は恋を見守ろうではないか 邪魔させない 勿論おせっかいもなしだがね 国家の面子にかけて自由恋愛させるのだ」

    「あの 二人の恋愛が国家の面子になるんで…?」

    「人の恋路を遮る奴を蹴り飛ばす馬となろうではないか 恋愛の成就も国家間の戦争も似たようなものだよ 君 『恋と戦争においては全てが許される』とね」

     …こいつ、協商側と組もうと言ってるのは自分なのにブレタニケと揉め事起こす気か…。 ここまで含めて駆け引きの可能性もあるのですが、余人にはとても信じられなくても愛と情を大事にする部分はある、とするとハラルド行くとこまで行っちゃう可能性も…いやいやいや。

     渦中の二人にはまるで他意がないのですが、何の行き違いかエナがハラルドに絶大な信頼を寄せているのでハラルドから言えばワンチャン素直に別れる可能性も…あるのかなぁ?

  • 怪獣8号 12巻

    「刀(これ)だけは負けるわけにいかん」

     怪獣12号対保科with怪獣兵装10。二刀から一刀に変えて12号の虚を突く保科。

     保科流抜討術 1式朧抜き

     戦法の変更に対応できない12号。胸のど真ん中を貫かれる!…が、手応えなし。

     10号とは核の位置が違う?

    「そういうことなら捉えるまでーー」

    「斬って斬って斬り拓くのみ」

     切り刻み続け、核の位置が「首」と見当がついた頃…12号が斬撃を止めた!?

    「対応してきた…もう!?」

    「戦闘センスの塊みたいな奴や」

     型を変えて変化をつけ、攻め続ける保科。強引に作った隙に…

    「抜討術6式ーー… は?」

     12号が取る居合の構え! …学習した?

    「なにしとんねんこいつーー… ふざけんな 見よう見真似でやれる芸当やないーー…」

    「防御だホシナ!!」

     12号の斬撃が先に届く! 保科の腕が…斬り飛ばされる!

    「嫌や やめたくない 手放したくない 刀は 刀だけはーー… 嫌や… 嫌やーー…」

    「ガハハハハハハ!! どうだ防ぎきったぞ! 褒めろ!!」

     10号のバカ笑いで意識を取り戻す保科。腕も切れていない!

     10号が尻尾を犠牲にして保科を守った…。

    「さあ 次はどうするホシナ!!」

    「せやけどお前…もう今の僕らにあいつに通用する技は無いーー…」

    「関係ねぇ!! あんな強ぇ奴が目の前にいるんだぜ 最高じゃねーか やめたくねぇんだろ? 俺は拳 お前は刀 死ぬその瞬間まで好きなことして楽しもうぜ」

     ただの戦闘バカ発言ですが、保科には響くものがあったようです。自分はなせ刀を振ることをやめなかったのか。何故戦うことをやめなかったのか。

    「兄貴に勝つため」

    「違う」

    「それが唯一の僕の取り柄やから」

    「違う!」

    「副隊長としての勤めを果たすため」

    「カッコつけるな」

    「刀を振るのが楽しいから」

    「そうだ やめたくねぇんだろ!? 手放したくねぇんだろ!? そりゃお前 楽しいからだ!!」

     思わぬところで自分の根源に気付いた保科。

    「しっかし…僕の原動力が『楽しいから』? そんなん単細胞すぎてホンマに10号(おまえ)みたいやないか」

     戦力値が83%から上昇していく。似た者同士であることに気付いたからか。

    「それでも五分… 奴の能力ならこの状態の僕らにも順応してくる チャンスは1度や しくじれば今度こそ死 ええか10号ーー…楽しむぞ」

    「無論だ」

     …戦力値100% 識別怪獣兵器10 完全解放

     尻尾にも太刀を持たせた三刀流で12号に斬り掛かる!

     6式 八重討ち

     8連撃の三連!それでも核の露出までは行かない…保科ここから更に重ねます。

    「完全開放状態のおまえとなら実現できる 超高速12連撃の一点集中」

     保科流 刀伐術7式 十二単

     核が見え…しかし保科の小太刀は12号の尻尾で止められ…。

    「怪獣 僕の勝ちや」

     切り離された10号の尻尾が上から襲う。

    「結局僕は繋ぎ役が性に合っとるようやな」

     尻尾が核を貫く。斬られた腕を再生し、尚も戦おうとする12号でしたがついに力尽き…。

    「怪獣12号 敵ながら天晴やった」

     12号討伐成功!保科宗四郎の勝利です!

     怪獣14号。不規則に転移しながら広範囲をビームで薙ぎ払う、移動砲台とでも言うべき存在。シールドも強力で遠距離攻撃ではダメージを与えられない…!

    「私が 必ず射抜く」

     亜白ミナ隊長。砲撃に特化した現防衛隊最大戦力。

    「もし私が外したら… もし私の攻撃力が足りなかったら… この人たちの犠牲が無駄にーー…」

     彼女は大きなプレッシャーに怯えながら戦場に立っていました。

    『そん時ゃいつだって俺が隣にいる!』

     そう言っていたカフカは居らず。

    「しくじれない 皆の頑張りを無駄にするわけにはいかない」

    「必ず応える!」

     ひとり恐怖を押し殺し、砲を構える。

    「大丈夫…! だってこの街には 亜白隊長がいるから…!!」

     14号を一撃のもとに葬り去る! 終わってみれば亜白ミナ圧勝!

    「あー… テステス」

     防衛隊の無線に割り込んで来たのは…9号!

     配信ていうのをやってみたかった、とふざけたことを言う9号。

     こんなに早く怪獣たちを倒してしまうとは驚いた。

    「それてもね 想定は超えなかった この戦いはボクの勝ち」

     14号の残骸からエネルギーが放たれる。

    「ボクの計画は 彼女の力を得て成就する」

     14号の身体は…転移ゲート? 9号が現れる…亜白の目の前に!

    「さあ 仕上げに入ろうか」

     保科が、キコルが、鳴海が駆け出す。 カフカも8号に変身して走る!

    「あの時と…長官の時と同じだ…!! ミナ…そんなこと絶対させねえ!!」

    「8号 オマエは ここに来れナいよ」

     都内各地に降りてくる見慣れない白い怪獣。

    「観測データきました!! 形状 波長 共に過去のデータにない新種です!! フォルティチュード 8.0…!! クラス『大怪獣』です!!」

    「そこをどけええええ!!」

     つくづく悪知恵が働く…いや功隊長の知略恐るべし、というところでしょうか。

     外伝の描写も合わせると、防衛隊の戦法は格闘から遠距離攻撃にメインが移っていっており、それによって隊員の消耗も抑えられるようになった、とか。(それが保科のコンプレックスの一因でもあるのですが…)

     それが怪獣側に強力な遠距離攻撃能力が渡る事になると、防衛隊の優位が覆される事になる訳で…人間と怪獣のバランスが一気に怪獣側に傾く事になると思われます。 たしかに『あの力を奪えば終わり』です。

     ミナを助ける事がカフカの最初の目的だったのだし、ミナを巡っての9号とカフカの攻防がラストバトルとして描かれるかと思います。 …アニメ放映中に盛り上がる展開を合わせてくるなぁw

  • シャングリラ・フロンティア 〜クソゲーハンター、神ゲーに挑まんとす〜 17巻

    「前のラウンドではちょっとカッとなっちゃったよ!ゴメンネ!」

    「心配無用!人間をやめた動きには慣れてる…!!」

     GGCエキシビションマッチ最終戦。シルヴィの「ミーティアス」対ケイの「シルバージャンパー」。ケイオースキューブ奪取の為、両者ケイオースタワー最上階を目指します。

     ゲージMAXでないとキューブ確保は出来ない仕様上、ケイは迂闊にゲージ技は使えない。対して倒してしまえば問題ないシルヴィ。シルバージャンパーのHPを削り、超必殺技一撃で終わるところまで持っていきます。

    【ミーティア・ストライク】!

     タワーごと破壊され、二人と共にキューブが落下!

     しかしわずかに残るシルバージャンパーのHP。

    「【銀の足】のお陰でクリーンヒットは免れたかな?」

     ゲージ技使用でかろうじてHP0を免れたが…ゲージが減ってる!

    「はっ!何も問題ないね!」

     No Face…サンラクが呟く。

    「なんにしても…アイツは賭けに勝った」

     タワーに避難していたNPC市民が一緒に落ちてくる…これを救助し、ケイは再びゲージMAX! 賭けとはタワーに市民が残っているかどうかでした。

    「そっちこそ!その体力で私を突破出来るとでも!?」

     シルバージャンパーのHPがわずかなのは変わらない。

    「攻撃を受けなければ問題ないでしょ」

     救出した市民をシルヴィに向けてぶん投げるw

     反射的に受けてしまうシルヴィ。彼女ならNPCを助けた上でケイにトドメを刺す術を探してしまう。

    「何故ならキミはプロゲーマーであると同時に『正義の英雄(リアル・ミーティアス』だから!!!」

     その術とは、NPC救出によるゲージ回復でゲージ技【スターロード】を使う事…しかしゲージの増加量が少なすぎる?!

     …街破壊によるゲージ増加ペナルティ?!

    「ケイ…!! あなた…!! タワーの破壊も…初めから…!!」

    「気付くの遅過ぎ 番組ももう終わりだよ」

    「こっ…この外道おーー!!」

     最初からここまで策を仕込んでいた?

    「ははっ おいおいシルヴィさんよ その台詞…俺達には」

    「誉め言葉だよ」

     嗤うNo FaceとNo Name…とわかってなくて並んでいる夏目w

    「言ったろシルヴィ いつまでも力に頼ってるようじゃ…『置いていく』ってさ!!」

     シルバージャンパー、ケイオースキューブ確保。ケイ、全米一に勝利です!

     …何ていうか、格ゲーじゃないところでいろいろ詰めて辛勝を得た…どっちかというとペンシルゴンが引っ掻き回して勝利を掠め取った第一戦に近い試合だった気がします。

     シャンフロエンジンでやれる事を熟知しているサンラクたちがシルヴィたちの裏をかいた…と言えるでしょう。 もちろんそれでも負けは負け。彼らもプロなんですから。

     そして実はもう一戦…大将戦があったのをすっかり忘れていて、集中力切らしたケイがストレート負けするのもまた受け入れなければなりません。プロなんですからw

     で、GGC打ち上げパーティーでも謎のプレイヤーとして話題を振り撒きながら撤収…内輪の打ち上げの場で悩むサンラク。

    「良きタイミングで切り出さなければいけない この外道2人に『シャンフロ』での俺の現状を…!!」

     …2人に黙って結構進めてますねぇ…。

    「急に静かになってとうしたのサンラク君 悩みがあるなら言ってよ? おねぇさん蟒蛇だからいくらでも聞くよ?」

    「もしかして『シャンフロ』…関係ある?」

     …気付いてやがるペンシルゴンw

    「お前が『シャンフロ』で妙なムーブかましてんのは インベントリア見てればわかるんだよ」

     カッツォ…お前もかw

    「その…実は…ユニークモンスター「深淵のクターニッド」のEXシナリオを現在攻略中です」

     詰められて洗いざらい白状するサンラク。

     …が、その過程でこの状況を作る原因とも言える「SF-Zooがリュカオーンの捜索に躍起になる状況」を作った奴…つまり「ラビッツ行きのイベントのカギがリュカオーンにある」という情報を流した奴がいる、とサンラクが気付き…そんなんペンシルゴンしかいないw…この件は有耶無耶にw

     更にユニークの情報漏洩に対応するため、「ルスト」「モルド」「秋津茜」の3人をクラン「旅狼」に引き込むアイデアをサンラクが出し、打ち上げは散会…こいつらが話してるとどうしても悪巧み気味に見えるのは何故?w

     自宅に戻ったサンラクは早速「シャンフロ」にログイン。深淵都市ルルイアスの時限イベントを進めます。

     「四隅の塔」にいる封将を倒す事が当面の目標ですが、魚人アラバが愛刀を探している…という事でそれを手伝う事に。

     その愛刀「大海峡」がどこにあったかと言うと…周りのあらゆる物を取り込んで己の身体とする喰纏種(キメラ)の…股間w

    「愚弄するかぁ!! 断じて愛刀は恥部ではない…!!」

     サンラクとエムルの協力の元、精霊ネレイスの宿る愛刀「大海峡」を無事取り戻すアラバ。

     そのまま「魔法を全て無効化する特性」を持つ封将に挑みます…!

     なんかサンラクはやたらNPCに好かれますね。メリットを見込んで好かれるように動いているのも確かなんですが、きちんと彼らを一人格として相対しているから…も理由のような気がします。

     相当優秀な思考エンジンを積んでいるのは間違いないですし(忖度とか人間でも出来ない人もいる!)、ちゃんとコミュニケーションを取っていれば好感度が上がるのも無理からぬ話でしょうか…。

     いやギャルゲーの好感度管理のつもりでやってるのかもしれませんがw

  • 超音速の魔女 2巻

    「うちの台所事情が解っていてどうしてもう一人メイドを雇おうとお決めになったんですか?」

     もう一人の魔女、ボッコをメイドとして雇ったオガル。

    「ボッコ君には二人だけの秘密と言っちゃったのでワヤに正体を言うわけには行かない それにまだマーカス君のスパイの線も捨てきれないのでワヤとの秘密をボッコ君にぶっちゃけるのも無理」

     …つまりワヤにはボッコの事を一切伏せたまま雇い入れた事に…。

    「奥様もいらっしゃらないうちから気が早くないですか?」

     ワヤにはとんでもねえ勘違いをされるしw

     せめてワヤには因果を含めてバラしとけばいい気もしますが…オガル君生真面目ですねぇ。

     ついでにツッペも何か勘違いしてメイド風の格好して来たりするしw

    「あの娘みたいなのが好みなんでしょ 人前でひそひそ話とかバレバレよ」

     あんた仮にも仮想敵国の高級将校だろ?大丈夫なのかいろいろ?w

     謎の飛行船の出現で飛行機に興味を持った海軍。話を聞きたい、とオガルを呼び出します。 ただ、如何に将来性があろうと現状飛行機はオガルの妄想。まともに取り合うとは思えない。

    「坊っちゃんに声を掛ければ現れるとされている 誰も見た者はいない飛行機を持っている坊っちゃんの友人を引っぱり出したい そんな思惑なのでは?」

     …図星です。海軍はどうにか飛行機を手に入れたいだけ。

     すねるオガル。しかし「飛行機の使い方を誤らせない」事が自分の仕事だ、と再認識。

    「兵器にはしたくないんだ」

    「空を飛ぶことは人間の可能性を広げて 未来を豊かにするものでなくちゃ」

     その心配は当たります。将軍は最新鋭戦艦を出してきて

    「君ならこの戦艦 どう攻める?」

     飛行機は軽くて脆い、戦艦を撃ち抜く砲など積めない…。 戦いにならない、と主張するオガルに

    「鳥のようにひらひら飛ばれたら撃ち落とすのは至難の業じゃないか?」

     居合わせた少年自動車王マーカス。航空戦力の重要性に気づいています。

    「独占はずるいなあ 見せておくれよ 飛行機の力を」

     …オガルと飛行機の関係に確信を持っているなぁ…。

     飛行機は誰のものでもない、と主張するオガル。

    「今はまだ憧れで目標でしかないけれど僕はそこに自力でたどり着かなくちゃならない たどり着くんだ! それを彼は空からいつも見ている!」

     ワヤの力を借りないと飛べない自分に言い聞かせるかのようなセリフ。

     そしてそれでも諦めない将軍に

    「もしこれ以上何か得たいのなら 実際の飛行機を見て御自分の頭で考えてください」

     戦艦の上を通り抜ける…飛行機!?

     …実はボッコに示し合わせて飛んでくるよう頼んでいた!…のでワヤのときと同じ、中身は箒にハリボテ被せただけw

     飛行機(?)はオリーブの枝を一本落として去っていきます。 ノアの方舟の故事に合わせて、空は平和の為に使うべき…という話にしたかったと思いますが。

    「そうだよ 飛行機に大砲を積む必要はない 砲弾だけ積んで落とせばいい! 砲弾である必要もない 専用の爆裂弾を作れば…」

     マーカスには要らぬ気付きを与えてしまったようです。受け取る者によって出来事の意味は変わるものですねぇ…。

    「本当の敵は案外身近にいるのかも知れんぞ」

     これにショックを受けたかのようなワヤ。空を飛ぶ、という特権が自分だけのものでなくなったせいなのか、とワヤを元気づけようとしたオガルですが…。

    「あれたけ打ち込んでいた飛行機の発明を他の人に先を越されて 落ち込むのかと思っていた坊っちゃんが平気な顔をされているのが一番心配でした」

     あー、ワヤから見るとそうなるのかw 事実と人間関係が最悪の絡み方してる。

    「あの飛行機は僕の技術で作られているんだ」

     ものすごい事言い出しましたオガルw まだ飛行機として完成していないので限定的な状況でしか使えない、だから本物の飛行機はまだ飛んでいないし自分は悔しくもない…。

     嘘ではないけど本当の事も言っていない…詐欺のお手本みたいなw

    「目が泳いでいて言ってることは怪しいのに なせだか本当のことしか言ってない雰囲気…とてつもないどす黒さと一点の曇りもない真っ直ぐさの共存 感じます いつもの坊っちゃんです」

    「何を言ってるのかはさっぱりわかりませんが 確かにいつものワヤのよく知っている坊っちゃんです」

     褒められてるのか貶されてるのかよくわかりませんが…とりあえず誤解は解けた…いやうまいこと騙せた? オガル君詐欺師の才能あるんじゃ?w

     迷っている間にワヤが「音速を超えた魔女」を探しに行ったりもしましたが、彼女が音速を本当に超えたのかどうかは不明…。

    「超音速」とタイトルになってますが、オガルとワヤが音速に挑む理由はいまのところないんですよねぇ。飛行機に空戦性能を持たせるにしても当面音速は要らないですし。 ワヤの方に何か動機があるのかな?

     そして謎の飛行船。新興国、帝国双方から調べても運用拠点も割り出せないとか、よほどバックボーンが大きいのか、うまいこと隠れているのか…。今いるキャラクターで関連が疑われるのは…マーカスかなぁ。飛行機械に並々ならぬ興味を持っているようだし。