無能力の少年が突然ヒーローになれるギフトを受け取り、紆余曲折ありながらヒーローになっていくサクセスストーリー…と言うには紆余曲折がかなりキツい「僕のヒーローアカデミア」33巻です。ストーリーも大詰めに向かっていますね。
ダツゴクや野良ヴィランの活性化とヒーローの減少で無政府状態の日本。皆を巻き込まない為に緑谷は雄英を離れて一人戦い続けます。その姿は既にボロボロです。緑谷を止める為に立ち上がったA組メンバー。歴代OFAの個性を習得しつつある緑谷は簡単には捕まりません。だが幾つもの修羅場を越えて成長しているA組も負けてはいません。口田が、瀬呂が、耳郎が尾白が佐藤が緑谷を止めに飛びかかります。一人一人では届かなくとも徐々に追い詰めて行きます。
「雄英に戻ろう」「とりあえず一緒に風呂入ろな?」
皆が心配してくれているのはわかる、害意や危険を捉えるはずの個性「危機感知」が全く反応しないのだから!
しかし「次は君だ」の言葉が緑谷を縛ります。呪いのように。OFAとAFOの戦いに皆はついて来れない、と。自分は一人で戦わなければならない、と。
そんなことはない、と蛙吹が、峰田が、空に逃げる緑谷を追います。芦戸が、お茶子が、轟が爆豪が次々と連携して飛ばした飯田が、ついに緑谷の手を取ります。
「よけいなお世話ってのは、ヒーローの本質なんだろ」
地上に下ろされ、尚も逃げようとする緑谷を止めたのは、なんと爆豪。自らの焦りと劣等感を認め、
「今までごめん」
…謝りました、あの爆豪が。そして緑谷の足りないものは自分たちが補う、それで雄英の避難民も街の人も、すべて救って勝つのだ、と。ようやく緑谷もおとなしくなります。
個人的にこの一連のシーン、グッと来ました。リアルタイムでも涙出そうになりながら、コミックスで見返しても胸が熱くなります。肉体的にも精神的にも入学時からの着実な成長を感じさせるA組メンバー…自分の弱さを認めた爆豪は勿論、メンタルの脆さがあった梅雨ちゃんの見せた粘り、峰田の見せた新技と気合い…。少年少女が成長し、強くなって行く姿はいいですね。
そして改めて描かれる仲間の大切さ。緑谷一人でどうにもならない事も仲間がいればなんとかなる。そもそもオールマイトだって一人で何でもやってた訳ではなく、サイドキックやら協力者(塚内刑事とか)やら居た訳ですし。
ヒーローの孤独に対する答えもここにある気がします。かつて「武装錬金」で提起された「俺が皆を助けるから、誰か俺を助けてくれ」にも通ずる、ヒーローを支える者たちの存在の大切さ。その絆はヒーロー含む全員の強さへと変わります。そのあらわれが続く雄英受け入れを巡る、お茶子の演説と洸太くん、異形のお姉さんの一歩なのでしょう。
その絆はオールマイトとステインの間にも存在し(かなり歪んだ形ではありますが)、逆転への細い糸の一本になります。
今巻はAFOへの逆襲に転じる為の足場固めが始まった感じでしょうか。これ以降の連載分を見ても堀越先生容赦なさすぎて、読者視点でも逆転の目無いんじゃないか、と思わないでもないんですが。
作者の悪意に負けず、最高のヒーローになってもらいたい!とかメタな応援をしつつ、稿を締めたいと思います。
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