あかね噺

 ジャンプ新連載「あかね噺」、テーマは落語です。「昭和元禄落語心中」「じょしらく」「落語天使おゆい」…あとは時代劇コミック「乱」とかに古典落語のコミカライズがあったり…あまりたくさん作品があるジャンルではありません。掘り下げると面白いと思うんですけどね。

 主人公は女の子、朱音ちゃんの様ですが、第一話の主役はそのお父さん、落語家阿良川志ん太。前座、二つ目、真打と3つある階級の二つ目です。が、落語家には現代は厳しい時代です。通常落語は単独芸、派手な道具も使いません。むしろ扇子、手拭い、己れの身体くらいであらゆるモノを表現し、長時間の物語を展開するのが落語の真骨頂なのですが、TV等では長い噺はなかなかやれません。見た目の派手さでは漫才やコントにはかなわず、一部TVに対応した落語家さん以外は厳しい状況の様です。志ん太もご他聞にもれず、本人談

「おそろしいほど目が出なくて ろくな稼ぎもねえ」

 ほぼ奥さんに食べさせてもらっている状態だった様です。それをクラスメートにからかわれた朱音がガチギレしたり。朱音ちゃん、お父さん大好きですね。

 そんな志ん太が真打昇段試験を受ける事に。審査委員長は志ん太の師匠の兄弟子、当代一の落語家との呼び声も高い阿良川一生。いかにも昭和の咄家、という感じの一癖ありそうな人です。

 高座に上がってもガチガチだった志ん太ですが、妻子の前でカッコ悪いところは見せられない、と吹っ切れます。選んだ演目は「芝浜」。しかも芝の浜の情景を描写する場面を抜かし、魚屋勝五郎が魚河岸に出掛けたと思ったらいきなり財布拾って帰って来るw。

 自分の強み、演技力を生かすために風景を描写する場面を削り、人を語る道を選んだ。しかも勝五郎の女房の造形は奥さんの真幸をもとさにしていました。会場は大盛況。真打昇進は間違いないかと思われたのですが…審査委員長、一生が放った言葉は

「今日の出場者 全員破門です」

 志ん太以外にも4人の出場者が居たのですが、5人まとめて破門です。理由も明かさず。

「あんなもん”芝浜“とは言わねえよ」

とつぶやいていますので、志ん太が原因ではあるようなのですが…。

 こんなの現代はもちろん、それこそ大正昭和の勢いのあった落語界でも通らないと思うのですが、通ってしまったようです。阿良川志ん太、これで落語家としては終わった、と。これが因縁となって朱音が動き出すようですね。時間が飛んで高校生くらいになった朱音が阿良川一生独演会に乗り込むところで第一話了です。

 ジャンプがときどきお出ししてくる「変なジャンルのマンガ」ですね。「ヒカルの碁」「アクタージュ」など当たりもいくつかありますが、あまり打率が高いとは言い難いところではあります。え?「アクタージュ」は…脱落したのは作品外の問題ゆえなので…。

 落語自体は個人的に好きなので、是非続いてもらって面白いストーリーを見せてもらいたいですね。

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