よふかしのうた 10巻

「だがしかし」でコメディ方向の評価は確定していたコトヤマ先生、シリアスに舵を切った本作も切れ味良く仕上がっています。吸血鬼の少女と不登校から夜に出歩く少年のボーイ·ミーツ·ガール…になるのか?

 ハロウィンの夜、ナズナと探偵、アンコの対決はコウの乱入で止められます。曰く、アンコの目的は吸血鬼を滅ぼす事。自分の死とその時の映像を公開する事で吸血鬼の存在を公にし、人間が夜、街を出歩かない様にする。食事が出来なくなった吸血鬼は時間を掛けて餓死して行く…。命を賭けるには随分雑な計画です。うまく事が運ぶ可能性はほぼないでしょう。ただ時間をかけただけの自殺、なんて作中でも言われてます。ナズナがアンコを殺す事は既になく、父の復讐の手段を失ったアンコは拳銃による自殺を図ります。やはり止めに入るコウを、アンコは誤って撃ってしまいます。致命傷を受けたであろうコウは、倒れはしたものの最終的に回復。アンコによれば、感情がバグを起こして「愛」に近い状態になった事で一瞬だけ吸血鬼になったのではないか、と。

 一瞬でもなれたと言う事は、続けて吸血鬼になれる可能性もある、と言う事で、コウ君眷属化のフラグ成立と言えるかも知れません。

 これでアンコの憑き物は落ちた様です。だからっていきなり二人と居酒屋入ったり、飲み過ぎて介抱されたりはちょっと馴染み過ぎな気もしないでもないですがw。

 3人の気持ちの整理をつける為、アンコのお父さんを吸血鬼にした親吸血鬼に会って話を聞く事になります。その親吸血鬼は星見キク。ナズナの仲間です。

 七草の皆さん、長く生き過ぎているせいか(パッと見はともかく)メンタルヤバげな方が多いのですが、この星見さんもかなり危険なようで…。

 吸血鬼に魅了されて身を持ち崩す人がいたり、何だかそれなりに上手くやってる人もいたり、吸血鬼自身の方が人間に引っ張られてメンタル壊したり…。吸血鬼の方もあんまり超然としていなくて、等身大の人間がたまたま長命種になってしまった感じなのが「よふかし」の特徴ですね。「人魚の森」が同じような感じだったでしょうか。逆に精神が人間と全く違っていたのが「ジョジョの奇妙な冒険」の柱の男たちですかね。「人間はあっと言う間に成長する!」とか言っていました。「鬼滅の刃」の無惨様もこの範疇…いや違うか。あれは単に人格がクソなだけですw。

 アニメ化も決まった「よふかし」、ストーリーもこれ迄よりさらに深い段階に行きそうで、まだまだ面白くなりそうです。

コメントを残す