タコピーの原罪 上巻

 超話題になってます、「タコピーの原罪」。タコピーのやる事がすべて裏目に出る、まさに裏ドラえもんですね。

 食べ物をくれたしずかちゃんの為にハッピー道具を使おうとするタコピー。ですがしずかちゃんは道具を使おうとはせず、そしてちょっと小学生レベルとは思えないひどいイジメに会っている事が示唆されていきます。

 心の拠り所であった愛犬チャッピーと引き離され、常より更にズタボロになってタコピーの前に現れたしずかちゃん。「友達とケンカした」と説明するしずかちゃんに、タコピーは「仲直りリボン」という道具を薦めます。貸して、と興味を示すしずかちゃん。

 しかしハッピー道具にはひとつの掟がありました。道具を使うときは必ずハッピー星人の目の届く範囲で使う事。決して異星人の手に道具を委ねてはならない…。

 しずかちゃんに笑顔になって欲しいタコピーはリボンをしずかちゃんに渡してしまいます。しずかちゃんは…そのリボンで首を吊ってしまいました。リボンを貸した事がしずかちゃん自殺の直接の原因かどうかは正直なところわかりませんが、タコピーはやり直しを決意します。二人が出会って2日目に使ったハッピーカメラ。一枚だけ撮れる写真を再度カメラに読み込ませると、写真を撮った時間に戻る事が出来る。しずかちゃんが自殺したのが6日目。4日間で運命を変えるべく、タコピーはタイムリープを繰り返します。

 ですが悪意と言うものを全く理解できないタコピー。どうにも上手く行きません。更にイジメの首謀者のまりなちゃんとしずかちゃん自身の家庭環境の複雑さも絡み、タコピーは空しくリープを続けるばかり。

 追い詰められたしずかちゃんを助けようと勇気を奮ってまりなちゃんの前に割って入ったタコピー。勢い余ってまりなちゃんを殴り飛ばし、まりなちゃんを死なせてしまいます。運悪くハッピーカメラが当たってしまい、同時にカメラがこわれてしまいました。

 …取り返しがつかない状況になってますが、しずかちゃんは大喜びです。どうも家庭環境のせいか倫理観がおかしいようで。しずかちゃんに好意を持っている東君も巻き込み、殺人の隠蔽に走ります。遺体はハッピー道具で腐敗を防ぎつつ地中にかくし、まりなちゃんにはとりあえずタコピーが化けてしのぎます。で、その間に離婚したしずかちゃんのお父さんの所に連れて行かれたというチャッピーを迎えに行く…。

 うまく行くわけありませんが、いろいろ誤魔化しつつしずかちゃんのお父さんが暮らす東京へ行く計画を練る3人(しずかちゃん、東君、タコピー)はすごく楽しそうなのが何ともやりきれません。しずかちゃんなんかこことチャッピーの前にいるシーンしか笑ってないんですから(泣)。

 いちばん最初の破綻は、やっぱりタコピー。姿かたちは完璧でも、中身でバレますよね。おそらく虐待していたまりなちゃんの母親から「まりなを返して下さい」と力なく懇願される。その複雑な思いに触れ、自分が何をしたのか思い至るタコピー。もう一度しずかちゃんと話し合おう、と決意した同じ頃、まりなちゃんの遺体が見つけられてしまいます…。

 なんというか、主要人物3人とも精神的に壊れているんですが、特にしずかちゃんが悪女として覚醒していく過程を見せられている気分です。まりなちゃんが死んだ事でスイッチが入っちゃったんでしょうか。その辺りから東君とタコピーをたらしこんでいいように使っている様にも見えてしまうんです。

 連載分には目を通していないんですが、上巻時点ではハッピーエンドは見えないですね。不安しかない…。

「しずかちゃんをものすごい笑顔にしてみせるっピ!」

 タコピーはこの言葉を本当に出来るのでしょうか?

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