ビッグコミックスビリッツにて一度完結しましたが増刊号にて復活、贋作画廊「ギャラリーフェイク」健在です。
このコロナ禍の中、各マンガ作品の対応はざっくり二つに別れます。すなわちガン無視するか反映するか。大半の作品はガン無視の方ですね。それぞれの作品のテーマがブレてしまうかも知れないし、創作の中までコロナに悩まされたくない、と言うのはもっともな理由です。
もう一つ、反映する方はやはり青年マンガ以上の対象年齢の作品が多いですね。「ゴルゴ13」なんかガッツリエピソードに入れ込んでいて、流石の風格です。「エチカの時間」は構成上どうしてもコロナに対応せざるを得ない感じでしたが、考え方の変化を作中で消化しきれずに中途半端に終わってしまった感がありました。
本作もコロナ対応型です。まず作中人物がきっちりマスクしてます。藤田もサラも三田村館長も。そしてコロナでキャラの運命が結構変わってます。藤田の得意客、イタリアンマフィアのカルロス親分なんかコロナで亡くなってます。その跡継ぎを巡る御家騒動に藤田が巻き込まれたりするんですが。
今巻では、コロナで勤め先が倒産した旦那の暴力から逃げる為に藤田のアパートに引っ越して来た親子の母親をギャラリーで臨時雇いする事になったり。自分も父親が居なくなって苦労したからでしょうか。この手の不憫な親子に藤田は弱いですね。
他には瞬間記憶能力がある贋作画家の絵が、少女誘拐事件の解決の決め手になる「LOST GIRL」。
知人の認知症の父親の収蔵品を巡る人情話「コレクターの宝物蔵」。
ミャンマーで、かつて関わったブローカーが発見した明赤絵の大壺を探す…と言う話だったはずがどうも違って来て…「ミャンマー共和国混沌紀行」。
自称令和のモーツァルトのピアニストと三田村館長の父母のややこしい関わりを一枚の絵を通して整理する「モーツァルトの肖像画」。
外伝として、少年時代の藤田が人間国宝の祖父の陶器の横流し事件を解決する「少年フジタの鎌倉事件」。
変わらずキレキレのストーリーですね。容赦なく誰でも悪役にするのもストーリーに良い緊張感を与えています。
逆に言うと誰でもいつでも物語からドロップアウトする可能性がある訳で…。ほら、カルロスさんがああなっちゃったもんですから。正直藤田、サラ、三田村館長の3人以外はいつ使われてもおかしくない、と言うか…。
なんて気の抜けない作品なんだw。
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