望郷太郎 61話

 文明が滅んだ500年後でも人類はやっぱり人類でした、な「望郷太郎」です。山田芳裕先生らしい、とんでもなく地に足のついた崩壊後世界。なろう系ってこんなんだったっけ?

 選挙に勝つため紙幣を発行する、と言う一国の経済をひっくり返す策を始めた太郎。工場の建設で準備金はどんどん減って行きます。太郎とハッタがマーの追い借りの相談をしているのがパルは気に入らない様です。

「国の代表者になるんなら…なりたい者が皆に強さを見せつければいいだけだ」

 これまでそれで上手く行っていたのだし、確かに一理あるのかもしれません。

 対して太郎は、人が大勢いる場所ではマーの量が強さの基準になる、パルの村の「大祭り」と同じだ。どれだけ民衆にマーをばら撒けるかで国の主導権を握れるかが決まるんだ…と反論。

 太郎さん買収する気満々です。嫌だ嫌だ言いながら昔のやり方を踏襲してしまう辺り、根は現代人ですね。

 上級市民になって選挙に出るのを尚も渋るパルに、ハッタは言います。マリョウにも祭りがある、馬車を使った命懸けの競争が一番の催しだ、これに勝てば皆パルに票を入れるかも…。

 パルさんその気になった様です。自分に出来る事で影響を与えられるのが嬉しいのでしょうか。今までの話がよくわからなくて駄々こねてただけかな?

 そしてついにマー札の見本が完成。技術的に偽造の心配のない見事な出来です。

 このマー札を広める為の太郎の策とは、リョウ教の教会コミュニティを利用する方法でした。教会のサービスをマー札で利用出来るようにして信者のマーをマー札に交換、更にネズミ講のシステムを応用して、友人知人をマー札が使えるよう紹介した者には紹介料をマー札で払う…。紹介料は太郎たちが負担すると確約し、教会の担当者に承諾させます。

 確かにこれなら相当なスピードでマー札が浸透して行くと思われます。しかも、ネズミ講は大抵どこかで利用者数が頭打ちになって、末端が大損して終わるのですが、これはマー札が浸透し切ったら目的達成。その頃には太郎たちはマー札刷りまくってウハウハ…。まぁやり過ぎるとデフレとか別の問題が出てきますが、太郎には大儲けする気はないようです。あくまでもこれは選挙に勝つための手段である、と。

今の自分は結局金勘定よりも、パルのように身体で感じる事の方が重要になってきてるのかも…。と独白しています。

 う~ん、太郎本人の意思とは別に、非常にヤバい事をしてる感をひしひしと感じます。

 これマー本位制から信用経済に移行する訳で、金回りの自由度が上がって、マリョウの経済力がドカンと上がるんじゃないでしょうか?詳しい計算はできませんが、今でも強力なマリョウの国力がさらに上がると、議員になった太郎たちでも、ブリでも制御できない巨大国家が出来たりしませんかね?それこそパルの故郷の村まで押し潰す勢いの。

 …この辺はただの妄想なので、ハズレても全然かまわないのですが(てか9割ハズレだと思いますw)、次回辺りそろそろ選挙が始まるでしょうか。いや立候補からの選挙運動かな。カネ撒く方の。

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