冒険王ビィト 16巻

 「ドラゴンクエスト ダイの大冒険」の三条 陸、稲田浩司両先生の作ですが稲田先生の病気により中断…なんと10年後に再開。完治ではない模様で生産ページ数こそ少ないですが、変わらぬ達者な線を見せてくれています。まさに不屈の男ですね。

 「ダイ大」再アニメ化には「ビィト」復活も後押しになったものと思います。

 七ッ星魔人ヒスタリオの差し金で、元ゼノン戦士団の槍使いライオはゾンビとして魔人側についてしまいました。ヒスタリオの幽霊船の強烈な砲撃でライオと戦っていたビィトと翼の騎士、応援に来たポアラの3人は生き埋めになってしまいます。ビィトたちを探す為、キッスはグランシスタの牢獄を脱獄し、王様の制止もふりきって飛び出します。

「ぼくは情けない人間ですが ただ一つ」

「ビィトのために命を懸けることに関してだけは年季が違いますから!」

 グリニデの元で卑屈に過ごしていた頃の彼はもういません。一皮も二皮も剥けた姿はグランシスタ王も(嫌々ながら)認めざるを得ませんね。本人の知らないところでミルファとのフラグが着々と立ってますw。

 地底湖に落ちて一命を取り留めたビィトたちは、出口を探すうちに幽霊船の停泊地を探し当てます。ビィトはヒスタリオの得手は奇襲や乱入であり、逆に後手に回ると弱いのではないか、と予想を立て、3人での幽霊船への奇襲、という手に出ます。果たして予想は当たり、ビィト捜索に人手を出し、手薄になった幽霊船を炎上させる事に成功します。更に煙で自分達を探しているであろう味方に位置を知らせる一石二鳥の作戦でした。

 ライオと一対一で対峙するビィト。ライオが死んだ事が受け入れられず、半端な戦いをしてしまった自分を恥じ、正面からぶつかってライオを超える事を決意したのです。その為にわざわざライオの才牙、バーニングランスまで返し、槍同士の勝負を挑みます。

 幽霊船の医務室では、捕らえられたスレッドが目を覚ましていました。船医ドクターギリリによれば、彼にはヒスタリオや他のモンスターを参考にした強化細胞が移植されており、限りなく不死身に近い状態になっている、とのことでした。ライオにも同じ処置がされており、更にヒスタリオの冥力の詰まった義眼を移植する事で洗脳状態になっており、ライオは自分がゾンビでヒスタリオの仲間だと思い込んでいる、と…。

 前提がひっくり返りましたね。ライオは義眼さえ摘出すれば仲間になる目まであります。

 聞くだけ聞いたスレッドは義眼移植前に拘束を破壊し、船医もその強化されたパワーで粉々にして脱出します。ちょっと仮面ライダー入ってますねw。

 槍の勝負で何とかライオに競り勝ったビィトですが、ヒスタリオがそのまま襲い掛かって来ました。ビィトも生きたゾンビにするつもりです。しかしそこに待ったをかけたのが…スレッド!

「オレは地獄からの使者」

「そしてこのビィトの…腐れ縁の相棒だ!」

 キッスたちも狼煙を便りに幽霊船にたどり着きました。ビィト戦士団集結ですね。次巻ヒスタリオとの決着となるでしょうか。

 正直、稲田先生の健康状態が気掛かりです。あまり長く続けるとまた病気が悪化して連載中断、なんて事も…。このところ作者が亡くなって連載打ち切り、の例が何件かありましたからね。

 「ビィト」終了をキチンと見届けたい気持ちもありますが、続けられるなら続けて頂きたいのも本音でして…難しいなぁ。