銀河英雄伝説 23巻

 あの「銀英伝」コミカライズ2度目の正直、「封神演義」の藤崎竜先生の独特のセンスが爆発してます。どこかでエタるかとハラハラしてましたが、バーミリオン星域会戦まで無事消化。自由惑星同盟はローエングラム朝銀河帝国の保護領として存在を許されている状態です。

 ユリアン、ポプラン、マシュンゴの3人が地球教総本山たる地球に潜入し、食事に最悪の麻薬、サイオキシン麻薬が混ぜられている事に気付く辺りからですね。総本山で下働きしている一般信者とのエピソードが追加されたりして、後の帝国軍の襲撃時の悲惨さが増します。エレベーター係さんが全て察して、データコピーに向かうユリアンを通すシーンとかいい味出してますね。

 今回調べ直して思い出しましたが、ワーレンにユリアンが自分の素性を明かすシーンは藤崎版オリジナルだったんですね。原作ではユリアンは身分を偽ってフェザーンの商人としてワーレンと別れ、後に皇帝ラインハルトと謁見する時に再会してワーレンが驚く、と言う流れだったかと思います。

「もう親切にしてくれた人に嘘をつきたくないんです」

 非常にユリアンらしい物言いで、納得の改変です。前述の一般信者たちに真実を話せなかった事が影響して来ているのでしょうね。細かい改変を上手く繋げてます。

 改変と言えば、可哀想な事になっているのがフレデリカさんw。ヤンとの新婚生活、原作では下手ながらキャゼルヌ夫人に料理を教わって、真面目に美味しい料理を作ろうとしていたのに、藤崎版ではただの無能ですw。

 レンジぶっこわして、散らかった部屋を片付けもせずに二人してキャゼルヌ家にメシをたかりに行く…。しかもこれを常習的にやっているらしい。

「ヤンおじちゃまとフレデリカお姉ちゃまが またきたよ~」

 キャゼルヌ家の娘シャルロット·フィリスのこのセリフが証拠です。

「なつかしの我が家で迎えるのがは若夫婦の栄養失調死体」

 のキャゼルヌの心配は、よりリアルなものとなったと言えるでしょうw。

 そんなヤンの暢気な年金生活も終わりを告げます。「ヤンに叛意あり」と冤罪(とも言い切れないのが辛い)をかけて高等弁務官レンネンカンプは彼の捕縛を命じます。同時に第13番艦隊の問題児、シェーンコップとアッテンボローにも捕縛の手が伸びますが、ローゼンリッター連隊と合流、逃亡します。フレデリカも連隊に合流し、一度は拉致されたヤンをなんとか奪還。逆にレンネンカンプを人質にとり、ハイネセン脱出を謀ります。

 が、ここで利用される事をよしとしないレンネンカンプは自ら命を絶ってしまいます。ラインハルトが想定した最悪のシナリオ、オーベルシュタインが誘導したシナリオが実現しました。レンネンカンプの死の責任を問う事で同盟の命脈を絶つと共にヤンを追い詰める一手。ヤンの休暇は終わり、初めて彼は一切の拘束のない立場になります。戦略家としてラインハルトと対等にやりあえる貴重な期間が始まります。そんなに長い訳ではありませんが…。

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