新九郎、奔る! 70話

 姉伊都の嫁ぎ先、駿河今川家の内紛を一旦は抑え、伊都とその子ふたり連れて京へ戻った新九郎。今川の家督を嫡子龍王に継がせたいところですがなかなかうまく進まず…。

 伊勢家を盛頼が訪ねるところからお話が始まります。借金の取り立ての帰りのようです。金貸しが出来る、という事は掃部助家は新九郎の伊勢家よりは首が回っているようですね。所領の荏原がひどい凶作なので所詮五十歩百歩ではありますが。

 伊都や龍王と盛頼が面通ししたりしていると盛定が文句をつけに来ます。障子を張り替えろ、と言ったのに破れたところだけ修理して見苦しい。松下禅尼かお前は、という少々難しいフリをしてきました。

 松下禅尼とは北条時氏の正室だった人のようですね。自ら障子の切り貼りをしてみせて倹約の心を伝えた…とか。それだけ新九郎たちの懐が苦しい、と言う事ですね。

 とはいえこの時代、人をもてなそうと思えば酒を振る舞うくらいしかありません。盛頼をゲストにささやかな酒宴を開いていると貞宗(伊勢家当主)が小笠原政清を伴って訪ねて来ます。小笠原は足利義尚の弓馬指南をしているそうで、おそらく今川の家督の件で伊都たちと顔を合わさせておくつもりだったのでしょう。

 人が増えて酒宴が進んだところで、那須の頼朝公の下文の話になります。新九郎の見立てでは後世の造り物ではないか、と。

 いちいち尤もな疑問点を上げていく新九郎。礼節に詳しく学問にも明るい(なにせ小笠原流の源流です)小笠原も感嘆。

「新九郎殿はすぐにでもお役目につけるべきですぞ」

 新九郎激押しです。こう言う些細な事を見逃さずに検証できる性格は事務仕事に向いてますからね。

 小笠原が帰った後、残ったメンツで悪企み…龍王家督相続作戦会議が始まりました。

 何か龍王の正統性を補完してくれる文書のようなものがないか、と貞宗。亡父上総介の譲状でもあれば、と盛定。

「いっそのこと 那須の下文みたいに上総介の譲状 作っちゃいますか」

「それだっ!!」

 野郎3人一致です。さらに新九郎にそれ作れ、とw。バレれば当然タダじゃ済みません。

「新九郎の性格でそんなことできるはずがありません!!」

 伊都は止めますが、誰か他の人にやらせて、と偽造自体には乗り気w。

「だって戦だもの!」

 この少し前のやり取りで正論だけではやっていけない、と盛頼に諭されたのもあるのでしょうか、新九郎覚悟を決めました。

「了解りました やります!」

「完璧な譲状を偽造って御覧に入れます!!」

 ちょっと暴走入ってますが、後の北条早雲の片鱗って奴ですかね。やべぇ方に変わり始めました。

 小笠原に気に入られた、と言う事は仕官の道も無いではないと思いますが、なにしろ新九郎ですから。宮仕えでいい事はほとんどないはずw。

 今川の家督はどうなるのか?つるさんの思惑どおり、那須家は伊勢家に取り込まれてしまうのか?そして新九郎はこのまま暗黒面に堕ちてしまうのかw?

 弥次郎あたりに「お兄さま、あなたは堕落しました」とか…言わないか。

 

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