ゾミア 1巻

 西暦1215年。モンゴル帝国と女真族の国、金との戦争から始まります「ゾミア」。原作は浅村荘平先生、作画は「テロール教授の怪しい授業」で胡散臭いキャラクターをたっぷり描いてくれた石田点先生です。

 西暦1210年。モンゴル帝国は金国へ進軍開始。しかし金国の首都、中都は籠城戦で徹底抗戦。4年間の包囲戦の末モンゴル軍は撤退します。更に半年後の1215年。文官耶律楚材の提案で城壁の撤去控除が進んでいました。モンゴルとは和解が成立し、中都での疫病の発生が危惧された為です。

 その作業員の中に契丹語、西夏語、ウイグル語を操り、各民族に工事の指示をする少年がいました。ネルグイ、モンゴル語で「名無し」と呼ばれるその少年と、異様に強い契丹人の少年バートル。二人は奴隷商人から逃げ出して中都に入り込み、耶律楚材に見出だされて壁の工事を手伝っていました。

 壁に穴が空き、道が繋がった日、耶律はネルグイたちを自分に仕えるよう誘います。バートルは金国人を嫌って士官の話を蹴ってしまいます。

「ハーンは絶対に戻ってくる 俺はこの国でそれをグズグズ待つ気はない」

「モンゴルに渡り 奴らと共に戦い…モンゴル軍の将軍になる!」

「そして やがてはハーンをもブチ殺し 俺がモンゴルの王になる」

 共に行こう、とバートルはネルグイを誘います。

 答えが出せずに城壁まで歩いてきたネルグイ。耶律がそこで鼻歌を歌っていました。その歌はなぜかバートルが歌っていた旋律と同じもので…それが文字を持たない遊牧民の記憶術“謡”であると気付きます。

 ―すべての言語は塵と消えた 後に残るは我が王への賛歌のみ おおハーン 偉大なる全土の王―

 「モンゴルの間諜か…!」

 ネルグイは気付きますがもう遅い。

「その比類なき言語の才覚 やはり私は君が欲しい」

「だから生き残ってくれ 君だけは この全てを焼き尽くす業火から」

 モンゴル軍は燕に油を染み込ませて火をつけ、中都に放ちました。

 壁が壊され、遮るものの無くなったモンゴル弓騎兵は混乱する都に突進します。

「フレーーーーッ!!」

 鬨の声を上げ、殺戮と略奪を欲しいままにするモンゴル軍。

 逃げ惑うネルグイがバートルと再び合流した時、彼は血刀を提げていました。

「こ…殺した…のか…金国人を…」

 「…お前のせいだ お前が俺に言葉を教えたから…」

「金国人(こいつら)を見捨てられなくなったじゃないか…!!」

 かつて中都内に閉じ込められ、食糧危機に見舞われた金国人は難民を…バートルの妹を喰っていたのです。それでも言葉を交わした者は助けずにいられなかったバートル。不意を打たれたバートルをかばったネルグイは負傷し、混乱の中二人はまた離ればなれに。虫の息のネルグイは奴隷商人に拾われ、連れ去られます。

 西夏の興慶へ向かうキャラバンの中で(トラブルも利用して)自由を得て行くネルグイ。かつてバートルに言われた「自由が欲しければ戦え」に答えるように呟きます。

「…やってやるよ バートル」

 はるか西の強国ホラズム王国の王子マイスール、名前不明の山の民の少女(ネタバレですら言葉がわからない!)、西夏の将軍、李泰然等仲間にしつつ到着した興慶はモンゴル軍に包囲されていました。

 ネルグイたちは西夏からの投降兵「外千戸」を装って近づき、司令官を討ち取って興慶の城壁内に入城する事に成功します。

 その頃、増援で興慶に向かうモンゴル軍部隊の中にどこかで聞いた歌を歌う男の姿が…。

 「ゾミア」を調べてみると東南アジアから中央アジアにかけての山間部、丘陵地帯の事、転じてそこに住む少数民族を指す様です。日本で言う「まつろわぬ民」と言うやつでしょうか。モンゴルが平原を高速で移動する狩猟民族ですから、対抗する概念としてはちょうどいいところかも知れません。

 で、作中でこれに当たるのがまだ言葉が通じてない山の民の女の子ですね。彼女を通じて、ネルグイの語学の才能でゾミアの民を対モンゴルに巻き込んで行く感じでしょうか。

 するとバートルはどういう立ち位置になるんでしょうね?モンゴル軍に入り込んだのは間違いないようですが…。

 「テロール教授」の時からキャラクターの追い詰められた表情がいい感じだった石田先生ですが、「ゾミア」で斬った張ったがダイレクトな場面が多くなったので余計にいい表情wが出るようになって来た気がします。

 腕っぷしはまるでない主人公、ネルグイくんの行く末を楽しみに観ていきましょう。

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