Dr.STONE 26巻

 おはよう世界。石化によって崩壊した文明は再度歩み始め、ついに宇宙を再び窺うまでになりました。月を目指す「Dr.STONE」最終巻です。

 「また宇宙でラーメン食えるとこまで辿り着くぜ人類は 絶対な…!!!」

 打ち上げ時のリスク回避の為の石化から一足先に復活した千空。ゼノのちょっとした気遣いですね。スタンリーとコハクも復活させて、フランソワ謹製宇宙食ラーメンで腹ごしらえ。彼らは知るよしもありませんが百夜の願いを叶えた形ですね。

 次々打ち上げられるロケットをドッキングさせていくスタンリー。ですが地上の声が届いていない事に千空が気付きます。更にモニターもおかしく…。半分も画像が映りません。

「スタンリー、君の腕一つでできるのか?」

「ああ できるね」

 有言実行できっちりドッキングを成功させるスタンリー。プロの姿ですね。

 電装を開けてみたところ、基盤に石化した髪の毛が挟まっていました。出発直前に石化光線を使ったときに…!

「石化してから移動中が正解だった 失敗の理由なんざいつも後からわかる――」

 破損する基盤。電装系が止まってしまいます。接近してくる4号機。交換する部品は…ない!

 しかし4号機は自ら姿勢制御し、ドッキング体制に入ります。

「はっはーー!!飛び出たぜついに!!!宇宙は俺のものだ!!!!!」

 龍水!もしものために訓練を続けていたのですね。コスチュームが「キャプテン·ハーロック」風な辺り、狙っていたとは思いますがw。状況を把握していた地上班から受け取った交換部品を使い修理し、乗組員4人となった探検チームは月へ向かいます。

 目的地はあらかじめ観測していた月面の「黒い染み」。こちらの切り札は石化装置メデューサを気密カプセルに入れ、無線で命令を入力できるようにした「カプセルメデューサ」。

 目的地に近付いた頃、千空の声が。

「コハク カプセルメデューサを開封してください」

 指示に従ってカプセルを開けるコハク…を止めようとするスタンリー。

「コハク テメー何の話だ?」

「今千空はなんも言ってねえよ」

 時既に遅く、カプセルから空気が抜けて行きます。

「開いてくれて ありがとう」

 咄嗟にカプセルを遠投するコハク。メデューサは石化光線を放っています。命令なしで!

「ずっと ずっといたんだな 俺らのすぐ側に――」

「テメーだったのか ホワイマンは…!!!」

 そこにあったのは大量のメデューサ。ホワイマンとは機械生命体、メデューサ自身の事だったのです。

 メデューサは知的生命体に石化による永遠の命を定期的する代わりに自身のメンテナンスと複製をさせる、いわば機械の寄生生物だったのです。ですが人類には少し早すぎた。脳の活動によって復活時間が決まるのですが、復活に3千年もかかるのはホワイマンにも想定外。人類はホワイマンの求める基準に達していない…つまり「ハズレ」だったのです。

 彼らにとって惑星の大気内は重力操作も出来ず、体が酸化していく地獄。人類に気付かせる為に多くの仲間を犠牲にしたホワイマンは人類に見切りをつけ、新しい宿主を探す旅に出ようとしていました。

「つうわけでだホワイマン テメーとサシで交渉がしてえ」

 千空はホワイマンにある「唆る」提案をします。人類&ホワイマンの科学タッグで「とんでもねえもん」がクラフトできるかも知れない、と。

「その達成確率は約0%だろうです」

「あぁほぼ0かもしんねえが 0じゃねえ 俺らならな」

「なんもねえストーンワールドのツルピカ猿が たった10年で月まで辿り着いたんだぞ」

 最終的にホワイマンは人類を見捨て、他の星を目指して飛び立つ事になります。

「ただ 私一人だけならば連れて行けです」

「この体を壊してもいい 殺してもいい お前の話した『とてつもない科学クラフト』はそれだけ唆る」

「ほぼ0%だとしても――私一人 お前がたに賭けるます」

 千空たちと一緒に来たメデューサでしょうか。ただ一人、人類と共に残ってくれました。そしてもう石化光線の恐怖はありません。

 地球に戻った千空とホワイマンが作り始めたのは…タイムマシンw。重力制御が出来るなら確かに可能性はあります。

「過去に戻り 地球への突撃を止めれば 私たちの仲間も大量死を免れるます」

 地球の犠牲者もなくせるかも知れませんね。

 「千空ちゃんなら いや人類ならやっちゃうでしょ 作っちゃうでしょタイムマシンくらい 一歩一歩楔打って 何十年何百年 いや何千年かかってでも…!!!」

 ゲンの独白からいつもの千空の決めゼリフに繋げて「Dr·STONE」グランドフィナーレです。

「唆るぜ これは!!!」

 科学万能なんて言われた時代ははるか昔。自然に対して人間は無力、てテーマで作られた作品も多くあります。ですが科学は人間が生きる為に身に付けた武器であり、泥まみれになりながら積み上げて来た「歴史」でもあるのです。「Dr·STONE」はその辺を説得力たっぷりで描き出してくれました。地道な作業もきっちり描写し…ついでに言えば運任せの場面では大半ハズしてますw。

 サルファ剤の件で顕著ですが、たまたまで抗生物質を見つけたりしない。確かな知識と地道な積み重ねがあれば確実に成功する道が取られている。だからこそ最後のタイムマシンも説得力を持たせられるのだと思います。

 科学はきっとあらゆる問題を解決できる、そう信じさせてくれる「人間讃歌」。それが「Dr·STONE」だったのではないでしょうか。

 

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