食戟のサンジ

「ONE PIECE」スピンオフです。麦わら一味のコック、サンジが主役のストーリーを描くは附田祐斗先生、佐伯俊先生の「食戟のソーマ」コンビ。出てくる料理出てくる料理めっちゃ旨そうですw。おはだけもあるでよ。

 エピソードはほぼ時系列通りに並んでいます。最初がメリー号がレストラン·バラティエに着く直前の話。美食家サヴァランに目を付けられたバラティエの名誉を守る為の一皿を作りあげるサンジ。

「あんたの言う贅を凝らした華美な皿も…作ろうと思えば作れんだよ だがこの店はそのために在るんじゃねェ」

「長く厳しい航海に一時の安らぎを提供すること “食いたい”と辿り着いた奴の想いに応えること それがこの海にこの店が在る理由だ!」

「お前の薄っぺらい舌ごときに語れる店じゃねェんだよ!!」

 オーナー·ゼフの意志を最も強く受け継いだ男は、海賊王を目指す少年と冒険に繰り出す事になります。長い腹を一気に裂かねば破裂する龍鮭を、犬猿の仲のゾロから借りた刀で捌いたり、アラバスタでバロックワークス撃退後の宴会で手の足りなくなった厨房にさりげなく助太刀に入ったり。正直この本でここが一番緊張感あります。なんたって敵がルフィ(の胃袋w)!

 カマバッカ王国のバイタルレシピ争奪戦ではサバイバルクッキングまで対応して耐久戦を耐え抜き、その癖レシピを手にした途端に

「今夜の食事当番は誰だ!? 頼む!!おれと代われ!!」

 勝負そっちのけでレシピを試し始めるサンジ。あまりの無邪気さにおねェさん方もメロメロですw。

 ワノ国。レジスタンスの侍たちを探すべく料理で人を集めようとするサン五郎。ヤクザバックの悪徳そば屋と立ち食いそば対決となります。いや目立っちゃダメなんだってばw。

 最上級そば粉の買い占めなどテンプレな手を打って来た悪徳そば屋に知恵と工夫と技術で危なげなくサン五郎が勝利。無事サン五郎必殺「十八番そば」出店と相成ったわけですが、この時点で狂死郞親分と敵対する流れになってたらどうなっていたのか、ちょっと興味がありますw。

 最後はぐっと時間が戻って、サンジがバラティエで初めて料理を出す話。ジェルマ66から逃げ出してバラティエに下働きとして転がり込んだサンジ。ついに客に料理を出すチャンスを得て、様々な障害を越えてキッチンに向かいます。

「おれはあの場所を捨てた…!逃げ出した! だけど…厨房からは絶対に逃げ出さねェ」

「ここがおれの戦うべき場所だ!! 手放してたまるかよ!!!」

 …腕を認められた少年はやがて海上レストランの副料理長を任される身となり…。

 女には死ぬほど弱いが料理に臨む時の真摯で地道な姿勢は本物。これまでの積み重ねは確実にサンジを世界有数の料理人に仕立てました。それだけに精神からジェルマ化し、全てが意味をなくしてしまう事が彼の最も怖れるところなのでしょう。

「ONE PIECE」最終盤、彼の魂の行方も気になるところです。

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