Fate Grand Order -turas realta- 13巻

 第五の特異点·北米神話大戦最終盤です。ケルト側に残るのは女王メイヴとクー·フーリン·オルタの2騎のみ。カルナの宝具をまともに受けたクー·フーリンは満身創痍。それでも戦場に出ようとする彼をメイヴは止めます。

「私が彼らを抑えます 貴方は傷が癒えた後に堂々と殺しにいらして」

「…わかった 俺はお前が願った王としてあり続ける 何があろうと」

「…ん クーちゃん愛してるわ」

 この特異点において聖杯を使ったのはメイヴでした。

「クー·フーリンを王とします 私と共にあるような邪悪な王に そして今生こそ彼を私の“もの”に――」

 生前のメイヴは自国コノートを切り盛りする為、数多くの王、勇士を手玉に取って行きました。時には己の肉体も使って。その自由さとタフさでゲームでは女性人気も高いのですが、そのメイヴがついに己のものに出来なかったのがクー·フーリンでした。最後までメイヴに靡きもせず、命のかかった選択に一笑して死を選んだこの男に、彼女は恋したのでしょうか。共にありたい、と聖杯に願う程に。

 ホワイトハウス前での戦闘、カルデアはマシュ、ラーマ、ナイチンゲールを投入。メイヴは数の不利を覆せるサーヴァントではありません。ラーマの致命の一撃はメイヴを切り裂きます。

 滅び行くメイヴの前に戻って来たクー·フーリン。

「クーちゃん…回復したのね じゃあ私…間に合ったんだ…」

 メイヴはもうひとつ切り札を用意していました。かつてメイヴが産み出したとされる集合戦士「二十八人の戦士(クラン·カラティン)」。この枠組みに魔神柱を詰め込んだ魔神柱盤「クラン·カラティン」!

 誰も止められない怪物を解き放ち、メイヴはクー·フーリンの腕の中で消えて行きます。

「聖杯を…私の全てを貴方に捧げます…」

「さようならクー·フーリン ――大好きよ」

 「…寄り道が過ぎるのは俺の起源かね…いい女になった瞬間 満足気に消えちまった…」

 メイヴか消滅した事でクー·フーリンの魔力も弱まったかと思いましたが

「弛緩してんじゃねぇよ ダラダラしてると北部は貰っちまうぞ? 大体なぁ 女一人死んだくらいで俺が変わると思ったか?」

「――は 来な 小僧ども 俺がこの大地の”王“だ」

 クー·フーリンがただ一人立ったころ、魔神柱クラン·カラティンはケルト軍と共に攻勢をかけ、合衆国北部方面軍は潰走しつつありました。ヘクトールやエリザの宝具も通用しません。再生力が強過ぎて倒しきれないのです。それでも兵士が逃げる時間を稼ぐために踏みとどまるサーヴァントたち。ネロが、ジェロニモが守りたかったものを守る為に。

 死んで行く兵士たちを前に動揺する大統王エジソン。

「カルナ君…!!私は一体どうすればいいのだ…!?」

 少年までも戦場にいる事に衝撃を受けたエジソン。兵士たちを逃がす為に体を張ります。助っ人に来たロビン·フットのトラップで一時的に攻勢が止まり、

「ジェロニモが守りたかったのは国じゃなくて人でね」

 兵士たちは答えます。守られているだけではいられない、俺たちは怒らなければならなかった!

「あんたらが守ってくれたら俺達は逃げられる!だけどあんたらがあのデカブツと戦う方がこの戦争に勝てるかもしれないんだろ!?」

 未来を掴む為に出来る事を…。エジソンとエレナはクラン·カラティンに対します。

 電気檻でクラン·カラティンを封じるエジソン。「凄いわね」と賞賛するエレナに「チッ!」大きく舌打ちするエジソン。

「電力の同調を完全に丸投げ 私がこの場にいなければ 少しでも同調に失敗していれば辺り一面焦土と化していたところだ」

 つまりそこにいたのは…ニコラ·テスラ!エジソンが電力の調整をしてくれるのを見越して全力の放電をしていたのです。何その息の合い方w。お前ら絶対仲良しだろw。

「凡骨との共同作業など吐き気がするが!」

「こちらこそ だが!!」

「「『あの少年』には借りがある!!」」

 …ハモってるし。

 檻を維持する電力はそう長くもちません。ですがテスラには秘策がありました。

 「多くの戦いがあった 多くの死があった 多くの愛 多くの悲劇があった」

「その果てに今 人々が自らの意思で戦うならば 英雄の時代がここに終わると断言してみせよう」

「だが 禍つなる者が!大いなる理不尽が! なお人々の意志を呑み込むのならば!!我が『大雷霆階段』が大峡谷より彼の者を呼ぼう…!!」

「雷霆の子!戦争を終わらせる者!“輝く王冠”…!!」

「さぁ ”英雄“が 来るぞ!!!」

 そこにいたのは…アルジュナ!

 カルナとの戦いに生き残り、しかし魔力を使い切り、あとは霊基を崩壊させるだけだった彼に、テスラは自分の魔力を分け与えて生きながらえさせました。

「“人理の敵”になった その行いは償わなければなるまい?」

 …ロンドンの話でしょうか。

「だが奇しくも私達には英雄としての責務を果たす機会を『授けられた』」

「そのような言い回しは趣味ではないがね 目的もなく消え去るだけならば――その意味を己に問うてからにしたまえ――」

 アルジュナはずっと疑問に思っていました。カルナが自分に後を託した理由を。あの時微笑んだ理由も。

 魔神柱の攻撃に曝されながらながら、英霊として召喚されながら己の因縁を優先し、召喚した少年の願いにも答えられなかった…その償いを!

 檻の中で圧縮された魔力は解放されればクラン·カラティンだけではなくアルジュナ本人をも焼き尽くす…。

「覚悟の上です 私は”アーチャー“アルジュナ この大地に 人々の嘆きに喚ばれた“守護者”として 今こそその責務を果たしてみせよう――!!」

 宝具”破壊神の手翳“!クラン·カラティンと共に消滅していくアルジュナ。その刹那に彼が見たものは…大地に根差す当たり前の人々、生まれる新しい生命。

「カルナ 私は 今になってようやく――」

 残るはクー·フーリンのみ。

「あなたは病気です」

「愉悦を抱けない…いえ“愉悦を抱かない”」

 ナイチンゲールは断言します。

「自らを”邪悪な王“と規定し、そう在る為に本来持っている人間性を捨てた」

「極端な言い方 彼は“英雄”と言うより”王“という“システム”」

 かつてナイチンゲール自身が”医療“という“システム”に身を捧げた者だったからこそ到達した結論でした。

 あの時、世界には医療を広める事が必要性だった。今、クー·フーリンの闘争に必要性はあるか?

「ないでしょう だから貴方と私は違う」

「私の血は夢のために熱く滾る! 貴方の血は野望の為に冷えて濁る! それは病です 治療させなさいクー·フーリン」

 無茶苦茶な様なそれなりに筋が通っている様な…。

「あんまりにも突拍子ないんで聞き入っちまったが 俺は殺す お前は治す それでいいか?」

 オルタになってもクー·フーリンです。ややこしい話を単純化するのは得意w。

 戦いとなりますが、クー·フーリンはまさに戦の名手。霊核にとどく攻撃のチャンスはおそらく一度だけ。それを最も攻撃の可能性が低いシールダー、マシュに任せる!

 冬木で出会ったキャスター·クー·フーリンと同一霊基への全ての逡巡を越えた迷いなき一撃は核を捉えます。

 それでもクー·フーリンは最後のあがきを見せます。聖杯起動。魔神柱ハルファスを召喚して自身と合体。

「魔神 クリード·コインヘン」

 まさに最終戦、死力を尽くした戦い。死の槍が周り全てをなぎ倒す中、立ち上がるマスター·藤丸。

「令呪を以て俺は誓う”俺達は負けない“!!!」

 ラーマの宝具が飛びます。

「余の名はラーマ!!シータの夫!!藤丸立香のセイバーである!!『偉大なる者の腕』!!」

 追撃をマシュが防ぎます。

「仮想宝具『疑似展開/人理の礎』!!」

「マシュ·キリエライトは!!この盾は!!貴方には破らせません!!」

 ナイチンゲールが突進します。

「――覚えている 戦争が 差別が 貧困が 社会に蔓延るあらゆる“病”が 人々から健やかなる人生を奪っていく」

「私はそれが許せない だから――病よ去れ…!! 千度万回死のうとも私は!!!」

「諦めるものか!!!」

 魔神柱の外郭が砕け、クー·フーリンの素顔が見えます。

「封じたモノを思い出した であればもう邪悪な王ではいられない」

 お前以外に目を奪われるなんぞ我慢ならんだろうに

「お前を失って現れた女があまりにも 同じ在り方の遠い同胞があまりにも」

「美しいな お前は」

 血塗れのナイチンゲールに向かってそう言うとクー·フーリンは消滅して行きます。

「愉しめたぜ シールダー マスター ソルジャー そしてナース」

「…ええ、治ったのなら何よりです さようなら クー·フーリン」

 北米が終わったら6部飛ばして終局特異点でしょうか。ようやく第一部のケリがつきますね。あと…1~2年w?

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