京の都を満喫する逃若党一行。ですが状況は容赦なく進展し、乱の開始は刻々と近づいて来ます。
「…うんっ 良かった 清原卿がお元気になられた」
前巻ラストで尊氏に何か飲まされていた国司·清原。…元気と言うか痙攣してるんですが、大丈夫?
このヤバい状態の清原に、更に佐々木道誉が朝廷で見つけた何かを持たせる…とか。
その佐々木道誉も、もう見た目からヤバいw。何たって真っ昼間でも顔だけ影がかかっていて真っ黒w。表情がまるで読めません。で、例の魅摩の父親。親子仲は…ごく良好らしい、意外な事にw。いやまあ仲良い事自体は良い事なんですが、晩餐の席で
「見所のある侍の子と会ったの!」
…とか話してます。さすがの道誉もこれだけでは感づいてはいませんが、「もしその子が敵方の諜者だったら?」と注意喚起は欠かしていません。油断も隙もないですね。
泰家の計画とは後醍醐帝の暗殺計画でした。西園寺公宗卿の別荘に帝を招き、仕掛け床に落とす…!
「ここで帝を弑し奉る それが我等の戦の開始の合図だ」
もちろん大逆罪であり、問答無用で逆賊認定されてもおかしくないですが、帝から睨まれている西園寺家が日の目を見るためには帝をすげ替えるしか…。
「この計画を続けると…この場所に金ぴかのお寺が建つ気がします」
雫の予言です。これを西園寺家が栄える予言だ、と捉えた泰家と公宗はもう計画が成功したような騒ぎですが…金閣寺を建造するのは足利義満。室町幕府の地盤がためが成った証明みたいなものなんですが…。
しかし時行は出発前に頼重から
「泰家様の計画は絶対に失敗します」
…と聞いていました。しかしこれで京が大混乱に陥る事は間違いなく、その混乱が大戦の開始に最適なのだ、と。
逃若党の任務は計画失敗後、最速で泰家を連れて信濃へ逃げ帰る事…。
逃走の準備を進めている中、時行はヘンな侍に出会います。時行に匹敵する逃げ上手!
「この男と本気で逃り合ったら 逃げ負けるかもしれない!」
読んでも何が言いたいのかさっぱらわかりませんが、ともかく同じコンセプトの人間ではあるようです。この男こそ「軍神」楠木正成でした。鎌倉幕府軍を打ち破り続けた後醍醐天皇の天下取りの原動力!
この男に通じ合うものを感じた時行はあえて正成に尋ねます。弱者が強者に勝つ秘訣を。
それは「囚われない事」
「固定観念と言う囚われの檻から逃げる事にござる」
「弱者は檻に囚われるべからず 卑怯や臆病と言われようが自信を持って逃げるべし!」
「逃げる事は生きる事 この正成の信念にござる」
時行は正成の使用した軍略の記録まで譲り受けました。下書きなので字がクッソ汚くて、解読に時間がかかる、というオチがついてましたがw。
それより別れ際、たまたま聞いてしまった「尊氏が正成の屋敷で開かれる宴に参加する」という情報。尊氏暗殺のまたとないチャンスです!
逃若党は帝暗殺と同時に尊氏暗殺を計画します。片方でも成功すればよし、両方失敗しても現政権に破壊的な混乱をあたえられる!
宴の当日、尊氏と護衛を引き離し、孤立した状況を作り出すまではうまくいきましたが孤次郎、吹雪、時行3人の同時攻撃をあっさり捌き、尊氏は時行を捕らえ覆面も剥がしてしまいます。ですが…尊氏は時行の顔を覚えていませんでした。
「薄い関係の者はすぐ忘れてしまうんだ」
元主君の嫡子にこの扱い…異常にドライです。そして
「やはりすまない この尊氏を殺しに来たと言う事は… 君を…殺さねばならないのだな」
その瞬間溢れ出る殺意!切り替えが早いとかそういうレベルではありません。周りの状況に的確に対応…的確過ぎて自分の意思がないんじゃないか、とさえ感じます。
正成が途中で矛先を変えさせなければ、時行はこの場で殺されていたでしょう。
同じ頃、西園寺邸に帝は来ず、公宗は捕縛、後に処刑。泰家は何とか逃若党と合流、信濃へ撤退となります。宿敵尊氏と対面し、しかし手も足も出なかった、という大きな悔恨を抱えて。
頼重は戦の準備を万端に整えていました。逃若党が帰り着いてほんの数日で進軍が可能になる程に。そしてそれを受ける小笠原貞宗も準備を整えていました。武将として、領地を任せられ地頭の地位を与えられた瘴奸もまた。
敵味方共に準備が終わり、ついに「北条」の名を使った戦「中先代の乱」が始まります。時行が表舞台に出ますね。
しかし出る度コワいのが尊氏です。本人が深く考えている様に見えないのが恐ろしい。
もしかすると、この人歴史のうねりのようなものに乗せられているだけなんじゃないだろうか?目の前の事に反応しているだけでここまで来たんじゃないか?人の力ではどうにもならない類のものなんじゃないだろうか?
さて、どう決着を着けるのでしょうか。
コメントを残す