ONE PIECE エピソード エース 1,2巻

 「ONE PIECE」のスピンオフ小説「novel A」のコミック化と言う結構ややこしい経緯を踏んでます。更に作画がBoichi先生なんですが、この時期「Dr.STONE」がっつり連載中でしてネーム構成としてもう一人、石山諒先生が噛んでます。「三ツ首コンドル」「歪のアマルガム」の方ですね。尾田先生のアシスタント経験者の様です。

 お話としてはエースが自分の海賊団を作り、四皇「白ひげ」と出会い、自分の「スペード海賊団」を解散するまでですね。 

 海流の関係で入る事は出来ても出る事は出来ない「海の蟻地獄」で出会ったエースとマスクの男。たまたま流れ着いていたメラメラの実を分けあい、わずかなタイミングの差でエースがメラメラの能力者となります。で、マスクド”2(デュース)“はこの火を吹き出す能力を利用してジェットボートを作り、「蟻地獄」を抜け出す事になります。エースがルフィに会いに来た時に使ってたボートはこいつが作ったんですね。

 二人で結成した「スペード海賊団」。順調に仲間を増やし、成り上がる道として白ひげを的に掲げました。

「狙うは白ひげ!エドワード·ニューゲート 駆け上がるぞ この大海の頂まで!!」

「海賊王を…おれは越える…!!」

 七武海ジンベエを始めとする多くの障害を超えてエースは白ひげの前に立ちます。

「おれは一人で構わねェ」

 白ひげ一人の“覇気”でスペード海賊団は全員動けません。

「仲間たちは逃がしてもらう…!!!そのかわり…おれが逃げねェ…!!!」

 海賊王を越えなくていいから今は逃げよう、と叫ぶデュース。

「おれは負けねェぞ」エースは嘯きます。

「それにな いいんだよ…欲しいもんが手に入んなら命ぐらい…賭けられる…」

「生きてていいって理由が見つかんなら 死んだって悔いはねェ」

 ここがエースの行動原理なんですね。ロジャーの息子として生まれ、生きる事を否定され続けた人生。存在意義を証明する為にはロジャーを越える…海賊王以上の存在になるしかなかったのでしょう。しかしついてきてくれる仲間が増え、彼らに対する絆と責任を感じ始めたところでエースは白ひげに完膚なきまでに負けてしまいます。

 スペード海賊団まるごと白ひげ海賊団の虜囚となり、しかしエースは懲りる事なく白ひげに挑み続けます。いつしか「百回負けたら白ひげ海賊団に入る」と言う話になり、「冗談じゃねェ」とか言いながらも強くなる自分に喜びを見いだしているエース。

「心湧くだろ男なら 認めた男に挑む時にはよ」

 デュースに図星を刺されるエース。そこに彼は、白ひげの体調が思わしくない事を聞いてしまいます。

「だが気に入った若僧一人に胸も貸せねェ そんな男をお前らオヤジと呼べんのか!?」

「放っといたら死にに行くあの生き急ぎを おれァ無視なんざできねェ…!!」

 百回目の決闘を見守るデュース。

「思ったんだ…お前のあの時の顔を見て」

「この男ならお前の理由になれるんじゃないかと…」

 エースは「ロジャーの息子」と言う呪いから逃れたいだけで目的と言えるものが無い。その目的に「白ひげを海賊王にする」か入るんじゃないか、という事ですね。

 渾身の炎を受け切られ、ついにエースは負けを認めます。元スペード海賊団のメンバーの前で自ら海賊旗を燃やし、背中に白ひげのマークを背負い、エースは白ひげと親子の契りを結びます。「火拳のエース」の誕生です。

 時が経ち、白ひげとエースの没後。デュースは一人海賊団を抜け、”モルガンズ“の記者としてルフィたちを追って行く事になります。“炎貝”でエースのボートを動かして…。

 人は生きる理由を知る為に生きているのでしょうか。ならばそれを自覚したエースの生涯はきっと幸福に満ちたものだったのでしょう。そして新時代の四皇、麦わらのルフィを作る為の欠くべからざる「ワンピース」となった彼は忘れられざるキャラクターとなりました。

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