黄金の獅子の旗の元、皇帝ラインハルトは帝国の改革を進めています。まさに為政者の鑑。
銀河帝国は加速度的に豊かになって行きますが、これは全てラインハルトの胸先三寸にかかった豊かさ。彼が心変わりするか倒れでもすれば頓挫する、非常に脆い豊かさでもあります。
そんな豪奢な銀河帝国とは対称的に自由惑星同盟を逃げ出さざるを得なくなったヤンたち。まさに「すべての旗に背いて」の夜逃げですね。自死してしまったレンネンカンプを生きてるように偽装して人質扱いしての逃亡。あらかじめ逃がして艦隊を維持していたメルカッツと合流します。
逃亡に合流したキャゼルヌ一家のエピソードが素敵です。まずアレックス·キャゼルヌ本人。ヤンたちがハイネセンから脱出する、と一報を受けた時、残業中だったキャゼルヌは脇目も振らずに辞表を提出。
「中将から大将に昇格させるから」
と慰留する上司を「ふん!!」の一言で一蹴!
更に家に帰ってみれば妻オルタンスと娘二人は荷造りを済ませて玄関に仁王立ちw。
「あなたむしろ遅い!!」
オルタンスさん談
「あなたが自分ひとり地位を守って友人を見捨てるような人なら わたしはとうに離婚しています!」
いい女ですね。
一方、レンネンカンプの遺体を返還された帝国。同盟側の責任を今追及するのは無駄に同盟市民の怨恨を買うだけである、と消極策を取ろうとするラインハルトに異を唱えたのはなんとビッテンフェルト。
「陛下がこれまで常勝を誇られたゆえんは 歴史を動かしていらしたことにあります!!」
「今回に限り御手をつかねて歴史に動かされるのですか!! 宇宙が『手に入る』ではなく『手に入れる』こそが陛下ではございませんのか!!」
「ビッテンフェルトの言やよし!!」
覇気を取り戻した皇帝ラインハルト。フェザーンへの遷都をその場で決め、同盟領への進攻と併呑及びヤン·ウェンリー討伐の開始を宣言しました。ここで更なるラインハルトの名言が出ます。フェザーンに城はない、との突っ込みに
「余のあるところがすなわち銀河帝国の王城だ!!」
当分はブリュンヒルトが玉座の置き場となる…まさにラインハルトと言う人間を表すセリフですね。
ヤンたちが拠り所を探しているその時に、なんとエル·ファシルが独立を宣言してしまいます。主席がフレデリカの元かかりつけ医、ロムスキー医師w。
アッテンボロー曰く
「こりゃ確実にノリで独立したな!」
…まあその通り。ヤンの到着を心待ちにしている様子で、地盤が欲しいヤンはこの「エル·ファシル自治政府」に参加する事になります。
ラインハルトはレンネンカンプの死の責を問う、として同盟領への進攻を開始。同盟の命運は尽きたかに見えます。
「イゼルローンに帰るか…」
呟くヤン。イゼルローンを奪還できればエル·ファシルからイゼルローンまでの領域を支配でき、帝国に対抗できる可能性も上がります。が、ヤンはエル·ファシル自治政府の精神的支柱になっています。今エル·ファシルを離れるのはよろしくない。イゼルローン奪還部隊の司令官はようやく地球教探索任務から帰還したユリアン·ミンツ!
ヤンはイゼルローン要塞を放棄するにあたり、トラップを仕掛けていました。
イゼルローン駐留軍、ルッツ艦隊を詐欺同然の通信で要塞外へ誘きだし、軍用通信回線にサラッと流された一文。
「健康と美容の為に食後に一杯の紅茶を」
その瞬間、要塞のシステムはダウン。最強兵器「トール·ハンマー」も沈黙します。フレデリカが残していた乗っ取りプログラムが起動したのです。ふざけたフレーズでしたが、ヤン本人は「軍用回線で間違っても使われない言葉を選ぼうと苦労した」らしいです…。考え方の相違、という奴ですね~。
ローゼンリッター連隊と共に要塞に侵入したユリアン。元々潜入していたスパイの部屋からキーワードを入力。
「ロシアンティーを一杯 ジャムではなくママレードでもなく蜂蜜で」
…で、その部屋のノートパソコンがイゼルローン要塞のメインシステムとなってしまうのですが…絶対暗号趣味で決めてますよねヤン提督?
その部屋の主ですが…要塞司令室をきっちり占拠してました。有能ですねバグダッシュ。
「トール·ハンマー」は異変を察知して要塞に接近してきたルッツ艦隊を襲います。
「まさか、こんなに早く…!」
魔術師ヤンの詐術が炸裂しているその頃、同盟最後の議長、ジョアン·レベロはある退役軍人の元を訪れていました。アレクサンドル·ビュコック。彼を司令官に据え、同盟最後の意地が通されようとしていました…。
この後の「伊達と酔狂」が全軍に広まったかのような同盟軍のおっさん共の悪足掻きはけっこう好きです。確かに悲惨な戦争には違いないのですが、ひとの生活にはどこでも喜怒哀楽がある…とでも言うのでしょうか。絶望的な状況でも人には笑う権利がある、と感じさせてくれます。
次巻「カッコいいおっさんの活躍」を楽しみに待つとしましょう。
コメントを残す