なんかオビに錚々たる名前が並んでますが…。読んでると国際情勢が掴める「紛争でしたら八田まで」10巻です。
エロディへの百合の提案は「ぶどう畑を買う」でした。修道院のぶどう畑を買収し、ブラッサンス家の名前を使って売る…「厳格な歴史を纏う修道僧が育てたブドウ」でブラッサンスのイメージアップを図る。ワインの増産の為にユセフたち団地の子供たちを受け入れる…。宗教の違う者同士ですが、移民を受け入れるフランスの風土、そして子供の頃から修道院に通い続け、黒人の夫と息子を失う失敗を経て更に移民の息子を得たエロディが居ればきっと間を取り持つ事が出来る。
ユセフの「嬉しいですよ 母さん」の一言が駄目押しになった様です。エロディは今までの悪名をも利用して事業に乗り出していきます。バカリはジョンケに「母さんに会いたいか?」と…。エロディさん子供増えたなw。
イランではかつてアイスランドで機密情報入りカバンを落として大騒ぎしたw杉村と、イランからの事業撤退を考えている本社·創和メディカルの考えを変えさせる様なビジネスプランの提案、という結構無理スジな話に。
杉村が出向している会社の社長、アーセムが倉庫の地下から遺跡を発見していました。それはペルシャ文化の遺跡であり、イスラム偏重の現行政府では遺跡保存に不安が残る…。「おしん」を通して意気投合した杉村とアーセム。創和の医療機器を転用しての遺跡発掘をインスタグラムでリアルタイム配信する事で企業イメージを上げ、影響力を残しつつ規制緩和を待つ、というプロジェクトを提案します。「おしん」の精神で耐え抜け!という事で会社の方針転換をさせましたが、これ失敗したらコンコルド効果の好例になっちゃう気がするなぁ…。
カナダでは多様性と宗教の自由を重んじ生徒の自主性を尊重する「多文化」理念を掲げる高校を、効率化の為に民族ごとのグループ分けをする政策から守る事に。グループ分けを裏から煽っていたのは州議員ハーウッドでした。ロシアのウクライナ侵攻に端を発し、今のカナダ国内には自由よりも強い統率による秩序が必要と考えた彼は学校から改革を始めようとしていたのです。
生徒による選挙で方針を決めようと提案するハーウッド。百合は
「カナダは連邦制国家なんだから一人一票じゃなく一クラス一票制にしませんか?」
百合は賛成派のイギリス系を分断…ラグビーリーグ戦を利用してイングランド、スコットランド、アイルランドを分断…あぁ、それはケンカになるw。少数民族系生徒を纏める事でクラスごとの票を取り纏め、総数では賛成派有利な状況でクラス毎では反対派が勝ちの状況を作り出しました。要するにトランプ氏が大統領選挙でやったのと同じ事をやらかしたわけですねw。
もちろん事実上は賛成派が多い訳ですから、当面クラス分類が回避できただけで近い将来必ず問題は起きる。
元校長リチャードは事も無げに言います。
「多様性とはそういうことだ カナダはずっとそうしてきた」
「交渉 妥協 合意を絶えず繰り返す そうして進むのが多文化主義国家カナダよ」
百合も口を添えます。得難い経験をした少年たちはきっとぶつかり合いながらもより良い道を選んで行くに違いありません。
…生徒の一人、サムがゲイ疑惑をかけられ(本人も自覚は無かった様だけど事実っぽい)、熊の出るキャンプ場に引きこもった時、同じく生徒ブレントが
「俺は何も言ってないが 助けに来たからチャラにしろ! ゲイでも何でもお前はサムだ!」のセリフと共に助けに来ました。
性自認どうこうよりも、そういう所を飛び越して人格を認めてくれる…コレが肝心な気がしますね。そこまでの繋がりを作るのも大変なら他にも問題は噴出するんでしょうが、目指すところはココなんじゃないかな。流石カナダ。
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