アンデッドアンラック 13巻

 差し迫ったシチュエーションが二転三転する「アンデッドアンラック」13巻です。盛り上がって参りました。

 ユニオン本部。かき集めたUMA達を前に未だ厳しい表情のジュイス。これでラグナロクまでの時間が稼げる。

「全職員に感謝する!!」

 神に対抗する為の三種の心器の残り二つ、リベリオンとジハートを集めると宣言しますが、その直後本部に走る震動!

 シール、ルインと対峙するアンディにムイから連絡が入ります。

「大変です…ラグナロクを遅らせていたUMAが…全部やられました」

 シェンまでぶっ飛ばして廊下を歩くその姿は…

「ニコ様が…ニコ様が裏切りました…!!」

 嗤うルイン。

「ただ…死んだ女に会わせてあげただけで クク…こんなに思い通りに動くなんて」

「1ヶ月なんて必要ない!!すぐだ!!来るよ!!ラグナロクが!!」

 ユニオン本部へ向かうシールとルイン。制止しようとするアンディですが、リップが割って入ります。

「お前もニコと同じ」

「違う オレの意思だ じきこのループは終わる なら次の話をしよう」

「誰がアークに乗るかを!!」

 リップとラトラはラトラの双子の妹ライラの心臓病を治す為、それぞれ医学と占術を学び、各分野の第一人者と言われる迄になりました。そしてラトラが占った最高にラッキーな日にリップの執刀でライラの手術が行われるその瞬間…否定能力が宿りました。リップが切ったものは治らない。ラトラが言った事は必ず外れる…。ライラの手術は失敗。彼女は死亡してしまいます。

「神殺し!?ラグナロク!?知ったこっちゃねーんだよ!!アイツがいないこの世界なんざどーでもいい!」

「アークは 円卓なんだろ ループするにはポイントがいるんだろ?ジュイスがポイントを失った今 次に多くポイントを持っているのはヴィクトルを内に持つお前だ」

「よこせ!!お前のポイントを!!全部!! オレがアークに乗りもう一度ライラを治す!!」

 リップ助けに来たどころではありませんでした。横から全てかっさらうつもりです。

 「数度の戦闘でお前は不治の理解を上げすぎた 今までの反則はもう使えないと思え お前に逃れる術はない」

 アンディの脳に届く傷を付け、リップは言います。攻撃のつもりでリップの付けた傷を上書きする、とかそういう手はもう使えないという事ですね。

 対してアンディは更に脳にメスを埋め込み、意図的に知能を下げて理解を落とす事で戦闘行為を継続します。…なんて無茶な。不死じゃなきゃできねぇw。

 一転してリップ不利です。大量の血液で潰されそうなところを助けに入るラトラ。

「アンタが好きな人の為に命をかけていいのなら!私だってアンタのために…!!命ぐらい!!かけさせてってば!!」

 リップが今でもライラを愛している事を承知の上の告白です。切ねぇ…。

 ラトラがアンディを押さえ…

「リップ!!今よ!!アンタには当てられない 100%」

 …リップの剣は過たずアンディの額を貫きます…その後ろのラトラの胸も。

 アンディの頭の中。ヴィクトルが話しかけます。自分が代われば不治は対象不在で解除されるだろう、だかお前にこの二人を越えるだけの正義があるのか?と。

 自分も同じだ、好きな奴の笑った顔が見たい。だが風子の場合、敵も含めて全員が幸せにならないと笑顔にならない。あいつの笑顔の為には全員の笑顔がいる…。

 アンディの答えに、ヴィクトルは「ならば風子をアークに乗せ、ループしろ」と指示します。次のループで全てを救え、と。真に救う為、今ここで奴らを止めてやれ、と。

 息を引き取ろうとするラトラを抱きしめ、険の取れた顔で涙を流すリップ。

「アークに乗って迎えに行くよ」

 その後ろに立つアンディ。ラトラはその姿が目に入りながらも「…うん」と返事を返します。

 迷いのなくなったアンディにリップは敵うべくもありません。

 義手義足を壊され虫の息のリップ。アンディは隣にラトラを寝かせます。

「全部次で救おうってんだろ」

「できるわけねぇだろそんな事…」

 リップにはアンディの考えもわかっているようです。

「変えるさ でなきゃループする意味がない」

 ラトラも言います。

「お願い…あの運命を変えて あの子を救って」

「信じて 待っててくれ」

 アンディにリップは返します。

「ハッ またなヒーロー 次は組織(なかま)に入れてくれ」

「いいね 最高だ」

 ユニオン本部へ向かうアンディ。事切れる二人。

 本部で待っていたニコのラボに突入するアンディ。

「神殺し(ゆめ)か妻か オレは妻をとった」

 UMAゴーストにアンディの霊魂を差し出せば妻イチコの霊魂を渡す。それが取引の内容でした。不眠の否定者イチコが亡くなる瞬間、ニコは不忘の能力を得ました。それは能力を得た「後」のあらゆる記憶が忘れられなくなる事。妻の死に顔以外の記憶か押し潰されて消えていく…。

「耐えられるわけないだろ 会いたいんだよ またアイツに かすかに残るこの気持ちを忘れる前に」

 ゴーストと融合し、否定者の能力込みコピー、アストラルドールズを作り出してアンディに対抗します。

「このラボが壊れる度…いや発明が壊れる度お前はひどく苦しんでいる」

「お前はもうここでなければ自分を保てない 共に作った思い出に囲まれていなければ お前は恋人を 忘れちまうから」

「待て 頼む やめろ!!」

 ニコの懇願も虚しく、アンディの死道の無差別攻撃でラボは破壊…ニコは破滅的ダメージを受け…。

 神ことクソヤローのクソヤローっぷりが遺憾なく発揮された巻でした。能力付与のタイミングが的確すぎます。どうやらループごとに同じ人間に同じ否定能力を渡しているようですが、毎回悲劇起こして喜んでいるのかなぁ…。趣味悪いですね。

 次巻でアーク起動で次ループ突入と思われます。if展開を繰り返してグッドエンドを目指す形になるのでしょうか。アニメ化で暫く打ち切りはなくなりましたwので、じっくりやっていただきたいですね。

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