霊がらみ以外でも超能力と言うのはいろいろあるようです。例えば詩魚ちゃんは純粋な体力で霊を圧倒している訳で。一般人には出来ない、という意味では超能力の範疇に入るでしょう。
そういうタイプの超能力者のひとりが猫附杏子さん。猫使い藤史郎の奥さん、梗史郎のお母さん。一見して目の焦点が合ってない、少々危険な感じのある人なんですが、どうもちょっとだけ人の未来が見えるらしい。
「あたし占いはできないんですよ ヘンなものが見えるだけなの」
藤史郎によれば、杏子は共感性の天才とでも言うべき人で、相手の思考、情緒を素早く理解して誰とでも仲よくなれる…逆にその受け取る情報が脳でバグり、「その人に今後起こる可能性」を見てしまうのではないか…と。未来を見ている訳ではなく、現在の情報からの高度な予測、という感じですね。
で、近所の奥さん小野坂咲良子さんが杏子に「軽トラに轢かれる」未来を見て引き止められた事で助かり、すっかりハマってしまったw。ことあるごとに杏子に助言を求めに来る咲良子。
「とにかく今見えているものを教えてください」
とりあえず招き猫もらって帰ってみて、なんかひとりでに猫が転げ落ちて割れたり細かい不幸が重なって…ついに何かがぶち切れて杏子の元に走ります。
杏子に迫る咲良子。庇いに入る藤史郎。
「わかっているんです 杏子さんに憧れているだけということは」
夫にないがしろにされ、母親は病気がちな兄にかかりきりで自分の方を向いてはくれない。
「わかっているんです 私がこういう人たちのような人生は歩めないということは」
「でも誰か私の人生に『大丈夫』と言って」
心の叫びです。
梗史郎がナベシマを出して介入してきました。
「要は原因を解決しなきゃ何度でも同じ結果なんだよ!!全てが見える万能の目なんてねーんだよ!!大体アンタ自身が自分を見てみぬふりしてるんじゃねぇのか!?だから霊にまでつけこまれるんだ!!」
モグラたちの専門分野に戻って来ました。咲良子にはタチの悪い霊が大量についていたらしい。
「ありゃ生前心霊スポットにわざわざ入って墓石蹴るタイプだぜ 俺も関わりたくねぇ」
しかも中心になってるのがラッコの動物霊…咲良子の頭痛ってのはラッコが貝を割る動作を頭上でやってるから…?
ナベシマとイケブクロさんで霊どもを食い散らかし、当面の危機は脱しました。ですがそれだけでは解決しない。
少しは不満言ったり怒ったり出来ねぇとな、と咲良子に勧めるモグラ。すぐには難しい、と話していると「手伝ってあげようか」と助け船が。かつて人形に憑いてた女の子の霊、マヤちゃんです。
「うるせーーーんだよくそが!!!」
モラハラ夫とお兄ちゃん係りきり母親に言いたい事を言い切った咲良子は大分精神が安定したようです。我慢していても相手には伝わらないんですね。言わなければ。
「咲良子さん 今ね咲良子さんとあたしが映画に行ってお寿司を食べて飲みに行く画が見えたわ これはなんとしても実現しないとね!」
杏子さん素敵な方です。言うべき事言うべきじゃない事をきちんと分けられる…EQが高い、とはこういう事なんですね。藤史郎も精神的にキツい日々を送っている事と思いますが、杏子さんに助けられる事もずいぶんあるのでしょうね。
後半、真木くんのレポートの為に八重子の故郷の島に行く事になります。なんだかんだで猫附家や詩魚ちゃんなどいつものメンツが揃っていくのですが…
「モグラさんも…来ませんか?」
モグラの戦友で八重子の曾祖父桐原雄八に会わせたい、と言うのです。
八重子の故郷は島。祭とは人魚を鎮める為のものでした。見える人には見える…信仰の対象「人魚様岩」には人魚…いました。
「海での無念が集まったもの…か」
「…本当に人魚様を鎮める祭りだったんだ…」
見えるようになってきた八重子が呟きます。
祭の準備が進む中、八重子は変わり果てた同級生、森くんと再会します。
この島は庄屋の鮫島家が事実上の独裁者となっており、森君の親はその鮫島の当代、鯉太郎にちょっと意見した事で家族ごと睨まれてしまったらしい。八重子と再会した翌日、その森君は自殺未遂を起こしてしまいます。モグラたちよそ者の介入を防ぐように立ち回る鮫島。こいつがいろいろ企んでいるのか、と思えば…。
「うん、僕言われた通り頑張ったよママぁ」
50は越えていそうな、結構弁の立つオッサンが母親「大お婆様」の前ではコレです。ヤバさしか感じません。横溝風ミステリーのお膳立てですね。
このまま横溝風で行くなら最終的に島を引っくり返すような騒ぎになるはずですが…まぁなるかな。人魚様も限界っぽいですし。
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