戦乱の中ラッパを吹く少年は異能を認められ、更に大きな戦に巻き込まれて行きます。「戦奏教室」1巻です。
ラッパ手として傭兵団に所属する少年リュカ。枝のような角を生やし、「音が見える」と称する彼は団でも浮いた存在でした。団長ゲルハルトには目をかけられていましたが「傭兵を辞めて楽師になりたい」が口癖でした。
「俺ぁラッパ吹くのが好きだ…でも…ただ好きなだけじゃねェ 演奏以外の全部が嫌いなんだ」
「ラッパ吹いて自分の音を”見てる“間はそういうグロいもんを見なくて済む」
ある日ゲルハルトの傭兵団が参加した戦いで、敵にリュカと同じような角を持った女性が現れました。彼女は単騎で突出してきて、凄まじいパワーで前線を破っていきます。
後方にいたリュカのところまでも馬がぶん投げられ、リュカ負傷!結構重症です。味方も包囲攻撃を受けて相当不利な状況。
「これから死ぬ…として 傭兵団(アイツら)まで死んだら 俺のこと覚えてる奴がいなくなっちまう」
「クソ野郎共だけど…いないよりは…マシだよな」
トーーーーーン
死を覚悟したリュカはラッパで友軍を誘導しようとします。その時、リュカの枝は伸び始め、同時に友軍にはラッパから空に広がる星の様な、光る筋のようなものが見える様に。それはリュカに見えていた“音”そのままで…。
”音“は敵陣の薄いところを指し示します。気付いたゲルハルトは“音”に従っての撤退を指示します。
「撤退信号だ!リュカが!俺たちに退路を示してんだよ!!」
味方全員が光の信号の意味を理解し、戦場を縦横無尽に動く!完全に統率された行動は戦況をひっくり返すのに時間はかかりませんでした。
味方が助かったのを見届けて倒れるリュカ。その彼を抱き止めたのは…同じく枝を生やした者たち。
「君を迎えに来た」
ひときわ背の高い、筒のような兜を被った男が誘います。なんでも彼らは”枝憑き“と呼ばれる存在で、リュカもそのひとり。14歳になると“発芽”して能力に目覚める…と。
一緒に来るよう誘う兜の男。追い付いてきたゲルハルト(大怪我)が割り込みます。
「そのガキが欲しいってんならこっちにも条件がある」
「そいつに…音楽を学ばせてやってくれ」
リュカが楽師になる道筋をつけてゲルハルトは力尽きます…。
兜の男は”塔教“の教皇…通称「塔下」でした。リュカは教皇領首都「テルミ」に連れ去られ、この世界に二つある“主塔”をめぐる戦いに駆り出される事になります。
リュカの能力は指揮能力。ラッパを通して友軍にラグなしミスなしの命令を伝え、一糸乱れぬ行動を取らせることができます。これだけでも相当強いですが、枝憑きの仲間には
·遠くの映像を見る事ができ、またその映像を他者と共有サイトする事ができるデミ。
·超高速で走る事のできるミウラ。
·超怪力ゾーイ。
…と、戦術レベルの勝利をもぎ取るには不足ないメンバーが揃っています。実際奇襲とはいえ作中でリュカ、デミ、ミウラの3人だけで砦ひとつ落としていますし。
塔下の目的はもうひとつの主塔をもつ国、”エリン帝国“に属する“花冠の枝憑き”と呼ばれる人物を殺す事。一国を焼き尽くす能力を持つ花冠を排除する事さえ出来ればリュカは塔下の部下を辞めていい…。
ただ、どうも不穏ですね。枝憑きは能力を使用するたびに枝がパキパキ伸びていくわけで、成長すれば花も咲きそう…。枝憑きの進化形みたいなものなんじゃないでしょうか。塔下の言葉も額面通りじゃなくて、敵の花冠を排除すると共に自分の手駒が成長して花冠を得るのが真の目的…とか?実際最後の方で
「ラッパ手のガキを殺せば…世界が平和になる だったよな?」
…リュカくん、エリン帝国に名が売れてますw。いろいろ仕掛けがありそうですね。
…仕掛けと言えば、塔下兜外してましたがその顔がゲルハルトそのまま!一応二人が話しているシーンがあるので別人だとは思うのですが、傷の位置まで一緒なんですよねぇ…。
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