あの転生しても変わらない業の深いロボヲタの話「ナイツ&マジック」の漫画版を手掛けた加藤拓弐先生がTwitter連載した「あるドロイドのおはなし」。めでたく書籍化の運びとなりまして、タイトルを「メカニカル バディ ユニバース」と変更しての刊行です。
…てかこれ、背景説明が全く無い上に固有名詞がほぼない!w Twitter連載としてはそんなに珍しくないんですが、サイバーSF系でいろいろ作り込んでいそうな本作では公開してもらいたい要素ですね。
おそらく戦争が続き荒廃した世界。敵は…ドローン?どこかの防衛システムが暴走して人類を滅ぼそうとしている、って感じでしょうか。ただ、人類側にもアンドロイドがいたりAI制御の兵器かあったり。情報リンクからハッキングされて敵に回る、とか無いんですかね? ともかくそんな人類側で戦うアンドロイドの一体が人間の赤ん坊を拾います。
社会インフラ?なにそれおいしい?な状況。孤児院なんてものもありません。泣き叫ぶ赤ん坊をあやす為、アンドロイドは以前手に入れていた擬装用生体スキンパーツを使用。…平たく言うと人間の女性の頭を着けましたw。
「しばらくはこれでいいだろう」
なんとか泣き止んだ赤ん坊。食べ物を探しに出ようとするアンドロイドの腕を小さな手で掴みます。
「…大丈夫だ すぐ戻る」
通称”おふくロイド“誕生です。息子くんの為に胸パーツに凝ってみたりw、知らずにヤバいバイトに応募してその胸パーツを触られて
「気安く触れるな 『これ』はあの子のものだ」
客をぶっ飛ばしたりw。
成長した息子くんと共に戦場に立つおふくロイド。頭部に一撃食らって顔のパーツが破損…。
「来るな…見ないでくれ…」
息子くんは昔、素顔を怖がっていたから。
「…それいつの話だよ いいから見せてみろって!」布を巻いただけですが一応手当てしてくれて。
「かっこいいだろ! 俺の母さん」
破損しても戦うおふくロイドに誇らしげな息子くん。
心なんかないはずのアンドロイドが心があるとしか思えない挙動を取る。なんか分かる気がします。
人格とは単独で成立するものではなく、他者と関わる中で育つものだそうです。AIをネットにつなげて会話させるとどんどん変わっていくらしいし。一人の人間の成長に関わり続けたらきっと心を持つ事もあるに違いありません。“シンギュラリティ”とは人間の進歩を超える事だけではなく、心を得る事でもあるといいな、と思います。
さて、本作には他にも何組か「バディ」が登場します。パーツ屋のじいさんの孫娘と拠点防衛用の狙撃銃付きAIが組んだ正義(?)の狙撃手「鷹の双眸(ホークアイズ)」。
人型戦車の精鋭部隊「泣き女(バンシー)隊」の隊長だった婆さんと戦車の制御AI。
大企業の社長であるが故に自分の死後も身代わりのアンドロイド「お嬢様」を稼働させた少女とそのアンドロイドを護る人間のメイド。
彼らはふとした事で知り合い、関係を深めていきます。具体的にはお嬢様が息子くんとメイドをくっつけようとして、でも息子くんはお嬢様の方が気になったりw。息子くんがバンシーの婆さんに殺されかけたり。鷹の双眸の女の子のピンチをお嬢様が救って「『お姉様』って呼んでいい!?」とかw。
中にはネガティブな繋がりも。かつて「泣き女」隊に所属していた女性。負傷からのマッドなドクターによる改造でいわゆる「口裂け女」のような状態になってしまった。
「ねぇ わたし キレイ?」
顔を剥がされた「のっぺらぼう」、下半身のない切り裂き魔「てけてけ」。「かいい」と呼ばれる犯罪者集団にお嬢様の妹(本当の妹です)が接近します。「破壊してほしい物がある」と。…「お嬢様」の事でしょうね。
「承りましょう 人間」
人間機械を問わずキャラクターが複雑に絡み合い、ストーリーが収束しつつあります。
23年からヤングガンガンにて新章連載開始とのこと。より激しい感情に晒されたAIたちはどんな答えを出すのか、その時人間たちはどう受け止めるのか。来年の楽しみがひとつ増えました。
いやおふくロイドが無表情可愛いとか、息子くん健気とか萌えポイントも尽きませんよもちろんw。
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