宙に参る 3巻

 未亡人が息子と共に旦那の遺骨を実家へ届ける…現在地はスペースコロニー。実家は地球。ついでに息子はTVに手足が生えたようなアンドロイド…「リンジン」。というSFと日常が独特のカクテル具合を見せる肋骨凹介先生の「宙に参る」3巻です。

 リンジンとは高度なAIが搭載されたロボットの事。ほとんど人間と変わらない反応が返って来るようですね。人権は…あるんだろうか?少なくとも主人公ソラの息子として作られた宙二郎くんは、学校に通ってたりするのでヒトとして扱われていると思われます。ただリンジン全部がそうとも思えない。

「工具もコイツも俺の所有物だぞ?」

 …と発言する人もいて、しかもその人犯罪がらみとはいえリンジンの回路を意図的に焼き切ったりしています。人権あるなら殺人扱いになっちゃいますよね?…微妙な問題のようですね。

 一方、バスガイドリンジンのアディ…スペースコロニー「ジヒ」内を巡る小型のゴンドラのような交通機関の案内役…は判断摩擦限界(記憶容量の増加に伴う反応の鈍化によるAIの自己定義の限界、要するに寿命)を迎えようとしていました。記憶の整理を行えば限界を先延ばしにする事が出来ましたが、アディは拒否します。乗客一人一人との記憶、どれを忘れるかなど選べない、と。

「摩擦限界は寿命だなんて言われますけど 手放せなくなった記憶が溢れたとも言えます 濃く太く溢れるような人生でしたよ 愛は満たされたのです」

 彼女は名前を交わした全員…約2千万人と接触した2億5千万人に個別にメッセージを送り、その稼働を終了しました。

 命より思い出を取るその姿勢は人間よりも人間くさい、まさに心の証明であるように思われます。

 ヒトとAIの境界を探りつつ、ソラと宙二郎を乗せた巨大宇宙船「ニイノ」は地球へ向かいます。そのソラ自身がリンジンの制御を自由に奪える「リンジンの魔女」と呼ばれるヤバイ級ハッカーだったりするんですが…。

 公安が出張って来る案件がゴロゴロしている中で普通にデート描写(女同士…てかおばさん同士?w)があったり、宙二郎と同年代(?)の子供の絡みが可愛らしかったり。所謂日常系SFより大分SF側に振った感じですが、この位置取りが心地良い。

 ソラ親子は無事地球に着けるんでしょうか?なんか胡散臭いシーンがそこここに散見されるんですよね…。

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