ダンジョンの中のひと 3巻

 王国側との契約更改の為のベルと冒険者パーティーとの試合。剣の達人と槍の名手、魔法使いの3人でベルに呪文詠唱の隙を与えない作戦ですが…杖で普通に2人があしらわれ、魔法を使う以前にフィジカルで圧倒されてますw。

「確かに」

 メイド姿で連れてこられたクレイは逆の意味で違和感を感じます。前衛2人の動きがおかしい。補助魔法によるバフに身体が慣れていない。会場の外にいる2人が入る直前の二人に魔法をかけたらしい。王国側は最大6人まで参加していい取り決めですが、戦うのは3人に見せかけたかった?

「なんか…めんどくさい連中だな…」

 ベルも先代から

「契約なんて守られると思うな 煽ってから完全に叩きのめすぐらいで丁度いい」

「契約は力で守らせるしかない連中だ」

 …なんて言い含められてます。人間からしてみれば知恵を尽くして勝ち筋を探しているのですが、超越者から見たらうっとうしいだけなのかも知れません。

 …で、その「めんどくさい」手がもう一つ。最大6人という取り決めの隙を突き、非戦闘員のふりをしていた「6人目」がベル側の非戦闘員と思われるメイドを人質に取るべく動きます。

「そこまでだベイルヘイラ殿 申し訳ないがそれ以上動かないで頂きたい」

「さもなくば付き添いの可愛らしいメイドが怪我をする事になる」

「そうか?」

 はい、そのメイドってクレイですねw。生半可な奴で抑えられる訳ありません。6人目はあっさり制圧され、王子は万策尽きた事を感じ

「降参だ 我々の負けだよ」

 そもそも王国側はダンジョンの資源を好きにしたい、程度の動機でダンジョンマスター側の思惑などをまるで探ろうとしていません。圧倒的強者と交渉しようとするなら情報は何より強力な武器になるはずで、その意味で王国は準備不足だったと言えるのではないでしょうか。なんならベルたちの方が情報能力に長けているくらいですし。

 その辺を反省したのか王子はクレイの名前を聞き出そうと…。

「また会えるだろうか?」

 なんかちょっと違うぞ?まさか個人的興味?w

 とっさに「ランガド」と名乗って逃げたクレイですが、王子は冷めた表情で「ランガド」の調査を命じ…王族ってどれが本音なんだか…怖いな。

 別方面からアントムルグを崩そうとする陰謀がもう一つ。仲間殺しパーティーが紛れ込み、冒険者ギルドの評判を落とそうとしていました。本部がアントムルグ冒険者ギルドを内から崩して利権を確保しようとしていたらしい。シーフギルドからベルに情報が渡り、ダンジョン内で彼らに対応する事に。

 クレイは、“探索者同士で手は出さない”がギルドでの決まり事とはいえ

「そんなもの守らない奴は守らない ただの注意喚起だろう」

 …たしかに先代はそういう考えだった、でも、とベルは返します。

「やめたんです わたしのダンジョンではそういうのは許さない事にしたんです」

 明確な意志を持ってダンジョンを変えようとしているベルにクレイも賛同し、仲間殺しパーティーは現行犯で抑えられたところをダンジョン10階”最後の間“へ。ベルとクレイによって憐れアンデッドの材料に…。

 ベルちゃん人間じゃないとは言っても、どうしても人間の方が関わってくるので素知らぬ顔も出来ないようですね。この辺「ダンジョン飯」のダンジョンもそうでしたが、巨大なリソースであるが故に好むと好まざるとに関わらず外の社会と関係を持たずにいられないのでしょう。ダンジョンから見た外の世界…面白いです。

 もう一つ、今巻で笑ったのがゴブリンの繁殖方法。なんと畑で採れますw。ちょくちょくある「兵士が畑で採れると思っている」という揶揄が現実にw。これはこれで面倒はあるみたいなんですが、とりあえず土掘ったらゴブリンが埋まっているビジュアルで勝ちですわw。