戦闘メカ ザブングル アナザー·ゲイル 1巻

 なんかやたら古のコンテンツが復活する昨今ですが、ついにこれの順番が回って来ました!「君は走るか、俺たちゃ走る!」のキャッチコピーの如く、あらゆる障害を体力ではねのけるパワフルなキャラクターしか存在しない、富野由悠季監督の陽の面を代表する作品。それが「戦闘メカ ザブングル」です。

 車関係の作品をよく描かれている田中むねよし先生の手になる事でウォーカーマシンやランドシップの実在感が増し、いい感じの泥臭さが出ていると思いますw。

 かつて地球と呼ばれた惑星ゾラ。支配階級イノセントと被支配階級シビリアンに分かれ、そのシビリアンたちは荒廃した大地にしぶとく根を張り、暮らしていました。

 そんな大地を走るランドシップとそれを追いかけるウォーカーマシン…。それ自体はよくある小競り合い…ゾラには「三日の掟」というものがありまして、何をやっても三日間逃げ切れば無罪放免、それこそ盗みも殺人も何でも!…なのですが、ある女の子を荷物ごと吹き飛ばしてしまって話が変わって来ます。

「足の遅いカーゴ船をWMであおりまくり…カノン砲を乱射…そーいうのは…許せません!」

「おまけに他人さまの最後のお水をこぼしても挨拶ひとつない!そんな無法のヤカラを黙って見過ごすのはこの…ベルさまのオキテに反します!」

 軽量WMのレッグタイプで重量級のダッカータイプに取りつき、機銃を誘導して同士討ちを誘って撃破!…いくら体力バカのシビリアンでもこんな芸当できるのは何人もいませんからw。

 WMを失ってしまったベルは追われていたランドシップに保護されます。

「この世に『三日の掟』があるように、あたしにはあたしの掟があるの 困っている人がいたら助ける!それがあたしの掟!」

 外洋修理船ビスケイン船長スズカはベルに代わりのWMを在庫の中から渡そうとしますが…。

「あれにします!」

 ベルが指差したのは極めてヒトに近い姿の大型WM。ザブングルタイプだ!…ただこれは今度の小競り合いの原因でもあるお宝で、さすがに渋るスズカたちですが…。

「だって…このくらい強そうなWMじゃなきゃ、とてもじゃないけどたどり着けません! 青い『海』には…!」

 この世界、海と言ってもハナワン族の住む泥の海(マッド·シー)くらいしかなく、青い海など誰も見た事がない迷信とまで言われる状態です。

 そんな中、さっき追い払われたブレーカーたち、ボーラとハブがもう逆襲に来ます。早いなw。バイタリティ半端ねぇw。

「どろぼうネコのビッチどもが…このボーラさまが成敗してやんぜ!」

「ハブさまもな!」

 この悲しいまでの小物ムーヴw。ですが巨大ランドシップにWM軍団の勢力は本物です。

「んっもぉおお、しつっこいです!見てろですよ~~!このWMでブッ飛ばしてやりますから!」

 ドサクサでザブングルを持ち出すベル。ホバーを吹かして飛び出しますが…。

 羽根が折れて無くなってる、変形時用の腕のタイヤも取れてる…ジロン機だコレ!

 …あれ?ギャリアに乗り換える前にジロン機は…確かグレタガリイ号の戦いで擱坐してそれっきり…つまり。

 まともに動かない!関節のギアが噛み合ってない!

「このままじゃ終わりません!」

 四つん這いで走り、手足を振り回して敵WMを殴るザブングル。カッコ悪いですが必死に戦うベルの姿にビスケインのブレーカーたちも動き始めます。

 ついに動かなくなったザブングル。ベルはかつて出会った黒ヒゲのブレーカーの話を思い出していました。

「欲しいモンは自分から獲りに行っていいし、どうかしてるヤツだけが遠くへ行けるんだ 動き出すんだよ!嬢ちゃん!」

 たまたま取った操作でギアが噛み合い、立ち上がる!

「村で使ってた天秤の要領! うまく手足の重さ…荷重のバランスを取れば、かえって素早く動けるんですね!」

 拳法なんかの高度な技術には荷重移動が大きな意味を持つ…という話は聞いた事がありますが、そんな感じですかね?

 敵を一掃したベルたち。

「くっそてめえ顔覚えたかんな!どこにいようと絶対追いかけてやんぞ!」

「わかりました!私は『海』を目指してますんで!その方向なら会えるとおもいます!」

 …なんだかズレた受け答え…。ですが非常に「らしい」答えですね。

 ビスケインと同行する事になったベル。とあるバザーで出会ったロックマン、リーマたちが振り当てた岩塩鉱脈を守る事に。所有権を宣言してから三日間守りきればこの鉱山は彼らのもの…。

 食うや食わずの貧乏生活を抜け出す数少ないチャンスです。…実のところイノセントが集めているブルーストーンは何も利用価値がない…。通貨の代わりとして流通させているだけ、という事情があります。実利を産み出せる物資を生産できる設備を持てるのは、シビリアン的には革命的な事であったりします。

 イノセント側も岩塩抗を欲しがります。実はイノセントの使い走りだったボーラとハブ、上役のビジュー執行官から岩塩抗確保を命令されます。因縁のメンツが再度集合します。

「オレはリーマ!この大地のすべての者に告ぐ! 今ここにッオレたちが岩塩を堀当てたことを宣言する! 異論のあるヤツは三日以内に申し立てろ! それ以降は『三日の掟』に則りッ オレらの所有権が認められたと判断するッ! 文句のあるヤツぁかかって来いーーーッ!!」

 この「三日の掟」、実際には法としては機能していないに等しいです。物を盗って三日間逃げ切ったとしても、再度奪われて三日間逃げられたらまた所有権が移ってしまうわけですから。それが出来る「持てる者」に有利な掟なのですね。いわんや最強の存在であるイノセントに都合のいいものな訳で。

 必然として、その掟をぶち壊そうと考えるジロンやベルのような者が現れ、いずれは革命に繋がって行くのでしょうね。

 まぁ、ザブングル本編終了後のはずなのに「アナザー·ゲイル」でもイノセントとシビリアンの関係に変化はあんまり見られないのですが…。さて…ッ!

 

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