るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚·北海道編- 8巻

 速度×距離=威力!阿部十郎が会得した射撃の極意。それを実践する為の近接射撃+超速弾丸再装填!永遠に続く六連射こそが林檎連射(アップルファニング)!剣客兵器雹辺の二刀を弾く正確な連射。

「いくぞ似非死神 次こそは急所を射抜いてやる」

 一刀に二発ずつ当てて二刀を抑え、残り二発を心臓に…!しかし防がれたはずの二刀は更に動いて阿部を襲います。

 正体不明の攻撃に斉藤と永倉が阿部を庇います。

「もう一度言う この先は危険だ 後は俺達に任せてお前は帰れ」

「俺や斉藤は死ぬまで刀から離れられない馬鹿だが 阿部 お前は違う こんなところで命張ってないでとびきり美味い林檎育てて奥さんと息子さんを喜ばせてあげな」

 命を削りあった御陵衛士を貶める言葉は新撰組にも火をつけたようです。

「服部武雄の強さは闘った俺達が誰よりも知っている」

 雹辺の乱撃を脇差も使っての二刀で受けきる永倉。

「重心奪り 降り龍尾!」

「体浮かし 昇り龍尾!」

「一刀両断 斬り龍尾!」

「受·崩·殺 龍尾三匹」

 真っ二つにされる雹辺。しかし倒れない!

 部隊将·雹辺双は又佐又佑の双子による二人羽織。二刀ではなく四刀による攻撃でした。

 片腕を犠牲にして弟を守った又佐を外し、又佑単独で暴れ続けます。警官隊をなぎ倒し、弾丸を撃ち尽くした阿部にまで迫り…。

 発砲音!

「フィストピストル 拳銃にも色々有る 覚えておけ!」

 続けて三島少年からの狙撃も当たり、警官隊や抜刀隊の攻撃で追い詰められる又佑。

「俺達は新時代を乱す兇賊共になど敗けはせん 新撰組と新撰組が倒した強者達の名にかけて」

 折れた刀の代わりに又佐が持っていた鎌刃刀を構えた斉藤が放つは…牙突!!

「駄目だな… 切先が奇天烈な上 重心の位置が悪過ぎる この刀では悪·即·斬は成らん」

 …散々文句つけてますがきっちり又佑の戦闘力を奪って捕縛。

 新撰組に認められている事がわかった阿部は憑き物が落ちたかのように。リンゴを広める道に進んだ阿部は正に日本のジョニー=アップルシードでしょうか。

 その阿部にも斉藤は問われます。いつまでこのまま悪·即·斬に生きるのか?

「無論 死ぬまで――…」

 貫き通した先にあるのはかつての副隊長 土方歳三と同じく、散華への一本道…。

 剣心や永倉が案ずる中、剣客兵器部隊将の一人が襲いかかります。

「俺の名は糸魚!伊差川糸魚!!五年前 貴様が殺した魚沼宇水の!弟弟子だ!!」

 兄弟子と同じくティンペーとローチンを駆使する糸魚に牙突も弾かれ…。

 刀が万全でない事を知らされた糸魚は一旦勝負を預けます。

「斉藤一!宇水さんの名誉は俺が必ず挽回する!!次に見えるその時までに万全な刀を用意しておけ!」

 時を同じくして函館に捕らわれていた凍倉白也が、もはや猛者には会えないと見切って脱走ついでの蹂躙を開始。他の剣客兵器たちも暴れだします。

「戦える者はついてくるでござる! 虐殺を喰い止める!!」

 阿部十郎主役のエピソードでしたね。英雄にはなれませんでしたが、修羅道から抜けられない者が多い中、きちんと日常を取り戻し(結婚までしてw)人生を全うした姿は立派なものだと思います。

 逆に修羅道にズッポリ嵌まっているのが斉藤。因果がしっかり巡って来ています。このまま突き進んで”散華“してしまうのでしょうか?(こっちも結婚しているはずなのですが…)

 そして前野五郎。完全に凡人側の視点の彼を、どうしても突き放す事は出来ません。共に戦ってそれでも届かなかった、綺羅星のような男達への憧れと憎しみの綯交ぜになった感情。自分が似たようなモノに支配されないとは全く言い切れない。せめて自分の人生を精一杯生きる事を忘れない様にしましょうか…。