遥かなるマナーバトル 1巻

 皆さん、ビジネスマナーってどのくらい知ってますか?

 もらった名刺は下におろさない、上座下座、お辞儀の角度は15度30度45度、お辞儀ハンコ、リモート切れてから画面に一礼…なんか段々おかしくなってない?

 相手への敬意を表す為のマナーですが、行き過ぎた…ほぼ意味のない「クソマナー」とも呼ばれるものがあるのも事実。そういうのどうなの?という問題提起なのか単にネタにしたのかw、マナーで殴り合うマンガ「遥かなるマナーバトル」。Twitterで話題になったのは知っていましたが、ついに単行本になってしまいましたw。

 父を喪った高校生笹木真那。

「焼香の手順は…」「合掌のやり方は…」

 マナーや礼儀に拘るばかりで死者を悼む気があるとは思えない参列者の中で現れた父の弟、つまり真那から見たらおじさんの政義。

「言いたい事は…色々あるが…なんだ…吸えよ」

 焼香台に火のついたタバコを差して帰る政義。参列者からは非難轟々ですが、真那は彼を追いかけます。その祈りの所作がどんなものより美しく見えたから。

「私に人の殺し方を教えてくれませんか!!」

 真那の父は自殺していました。商談の場で茶を飲み、

「取引中にお茶を飲むなんてマナー違反じゃないかな?」

 なんでも、お茶を飲むという行為には「早く帰りたい」という意味が含まれているらしい…聞いたことありませんが。

 相手先の社長は「マナーも守れない相手」てして纏まりかけていた商談を破棄。真那の父の会社はこれによって傾き、責任を取って自殺、という手段を取ったのです。

 だから件の社長を殺し、マナーを広める奴らを殺してやる!と叫ぶ真那。対して政義は

「殺すんじゃない、世界を変えろ」

 マナーを作るのはマナー講師だ。最高のマナー講師になればマナーを作り替える事が出来る!

「この世界は理不尽で無意味なもので溢れている。そんなもの全部消えてなくなってしまえばいい。もし本当に世界を変えられるとするのならば…私が心から美しいと思うものだけの世界に変えたい」

「世界最強のマナー講師を決める四年に一度の祭典 マナーバトル!そこで優勝するんだ」

 一年のマナー訓練の後、マナーバトルの試合に臨む真那の姿がありました。その相手は光上光子。「取引中のお茶」のマナーを作った張本人!

 マナーバトルとはマナー感知リングを着けた上でのロールプレイ。首に装着するリングは周囲の人間の感情の動きからマナー違反を感知し電流を流す。装置に一番近いのは装着者。装着者自身が自らのマナー違反を認めたとき、最も大きなダメージとなる…!

 基本相手のマナー違反を誘発するような行動をしてミスを待つ戦術になりますね。

 わざと名前を大きく印刷した名刺を相手に持たせ…

「名刺を受け取る際、相手の名前と指が重なるのは…マナー違反ですよ」

 電撃を受ける真那。対して

「名刺にゴシック体を使っていますね。ゴシックとは様々な意味を持ちます。例えば闇、退廃、そして…死 初対面の相手に死を突きつけるなんて言語道断!!」

「それ、マナー違反ですよ!!」

 返す刀で電撃を受ける光上。これほぼ言ったもん勝ちじゃない?w

 細かいマナー違反を指摘し続けることで反撃の隙を与えない光上に対し、諸肌脱いでヤクザの仁義を切り流れを変える真那。

 政義のコレクションのヤクザ映画をこっそり見てた影響ですがw。

「光上さん。仁義を切った相手に挨拶を返さないのはマナー違反ですよ」

 知るかそんなん! ですが光上は反応してきちんと電撃を受けてます。付き合い良いなw。

 ヤクザメソッドで押しきる真那。ふらついて倒れこんだ光上を咄嗟に支えた真那の振る舞いに心からの思いやりを感じた光上は自ら負けを認めます。笹木真那、初勝利です!

 …このシステム、審査員等がいるわけでもなく、当事者同士の納得とギャラリーを如何に巻き込むかが大きな部分を占めています。ぶっちゃけ雰囲気を作った方が勝つ、という感じ。「魁!男塾」的勢い重視のバトルに、この後付けでいくらでもマナーを出していける環境は「遊戯王」の、都合のいいカードが後からどんどん出てくる状況に似ています。

 で、この周りを呑んじゃえば勝ちなシチュエーションって…あ、大喜利だw。

 面白いアイデアを少年マンガのアーキタイプに嵌め込んで、うまい化学反応が起こっていますね。あとはネタがどのくらい続くかです。とりあえずライバル枠として警察官僚兼マナーバトラー志島零と剣道バカ柴原求道を用意。あと最終目標的に「礼皇」というワードが出てきてますが…さて?

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