九龍城でもう一度 1巻

 魔窟と呼ばれた九龍城砦の頂点に立つのは…大家さん?藤田三司先生初連載「九龍城でもう一度」です。

「周さん 家賃、払っていただけますか?」

 河童を脅すチンピラを黙らせたのは刀を携えた青年、涼真。人外、幽霊、ヤクザがひしめき合う九龍城を買い取った…つまり九龍城の住人は全員涼真の店子w。その発想はなかったw。家賃を滞納すると刀で現世から退去させられる、代わりに家賃さえ払えば誰でも居場所を得られる…。

 九龍城砦というのはかつて香港に存在した違法建築物の集合体の事。「三不管」、いわゆる国家権力の通用しない場所で、犯罪者の温床となっていました。1994年に解体されて更地になったのですが、作中では解体されず涼真の育ての親が買い取ったのだそうです。ですが“彼女”は突然姿を消し(身投げした、なんて話もあったり)、以来涼真は一人で大家さん業務を続けて来ました。

 ある日涼真は骨董屋で割れた茶壺を手に取ります。力のある物だが壊れてしまって行き場もない。涼真は引き取って直すと言います。

「え!?涼真は大家で修理屋じゃないよ…」

 猫又雨々(ユウユウ)がツッコみます。

「でも大家だから この街のどこに誰が住んでて何が出来るかはわかる」

 日本人のおばあさんのところに行き、金継ぎで茶壺を作り直して行きます。金の筋が入っているかの様な姿に出来上がった茶壺。

「この子無銘なんでしょ?名前をつけてあげたら?名が付いたらきっと目覚めるはずよ」

 茶壺を手に取る涼真。梅の花柄の茶壺。

「金継ぎが枝みたいに見える 決めた 君の名前は梅枝(メイチー) 梅枝だよ」

 名付けられた茶壺は女の子の姿に。

「付喪神!?」

「あなたが…壊れていた私を…直してくれたの…?」

「大したことは何もしてないよ」

「…九龍城へようこそ!梅枝!」

 この3人…一人と一匹と一体?で大家としていろんな問題を解決していく事になります。

 日中しか活動できないドラゴンと吸血鬼が同棲したいとか、件の骨董屋が家賃をなくしたので一緒に探すとか、老朽化した部分の建て替えの為の立ち退き交渉(相手は九尾の狐!)とか、時計の付喪神が落とした部品探し…ついでに人間との恋の仲を取り持つ…とか。大家の仕事じゃないのが結構混じってますがw。そりゃ涼真くん倒れもするでしょうw。

 そもそも涼真は先代大家に恋していたようで、前置きなく飛び降りて消えてしまった彼女が残した九龍城と刀を異様に大事に思っている節があります。

 その事は住人達にも伝わっている様で、身体を壊す勢いで働く彼を心配する者も多くいました。

 それが梅枝が現れ、付喪神にしてもらった恩が涼真への恋愛感情に変わって行くうちに涼真の方も変わって行きます。

「…梅は厳しい冬にあって花開くことから、春を告げる縁起物に数えられる」

「…春を告げてやれ梅枝 君ならきっと涼真を助けられる—」

 住人たちとの触れ合いを通じて徐々に距離が縮まって行く二人。骨董屋と時計の付喪神フェルゼンが二人について話しますが

「まだ微妙な感じ、といったところでしょうか」

「だろうな!そんな気はしてた! …ま、俺はあの子は大丈夫だと思ってるけど!」

「奇遇ですね 私もです」

 二人の分析通り、涼真が自分の中の感情に気付き始めるところで1巻が終わります。

 主人公を大家さんにしたことで、人妖問わずいろんなキャラクターと無理なく関われていますね。涼真に受け流されてもめげない梅枝がカワイイw。一応涼真に届いてはいる様で良かったw。

 おそらくここまでで最初に考えていたストーリーを一区切りさせていると思います。ここから勝負ですね。頑張って頂きたいと思います。

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