黄泉のツガイ 3巻

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「私ね 一度死んでるの」

 アサ衝撃の発言から始まりました「黄泉のツガイ」3巻です。東村から逃げ出した後、追手がかけられて殺された。そして「解」の力を手に入れて生き返った…らしい。

「東の村で夜と昼とが等しい日に 日の出を境に生まれた男女の双子は 黄泉の国へ渡りツガイを統べる者になる」

 その伝承の通り、死んだアサは境目のツガイに出会います…が、ぶっちゃけこれ真理(しんり)さんですよね?立ち位置といいやり口といい話し方といいそっくりなんですが…まぁいいやw。

 「解」はアサにこのまま死ぬか「解」の力を受け入れて生き返るかの選択を迫ります。

「生きながら地獄を見るかもしれぬ 死んだ方がましだと思う事になるかもしれぬ」

「兄様が村に残されてるの…生きてるかどうかわからないの…」

「このまま死ぬ訳にいかない!!」

 甦ったアサは「解」の力で東村の刺客を返り討ちにしてしまいます。

「兄様の理想のちっちゃくて可愛くて無垢な妹アサは もうこの世にはいない」

 衝撃を受けるユルをよそに、騒ぎが収まった影森家にデラさんが!

「田寺のリュウって者です ユルを迎えに来ました」

 あぁ、そりゃ影森家の場所は知ってるだろうし、騒ぎが起きてるのはわかるだろうからユルがここにいる、という推理はするよなぁ。

 「…両方の言い分を同時に聞いた方が齟齬が無いよな…」

 合理性の怪物ユルくんの提案でデラさん影森家へご招待w。ユルもユルですが、乗ってくるデラさんも影森の皆さんもいい神経してます。

「俺は一度死ぬと『封』の力を得るらしい デラさん知ってたな?」

 掛引きも何もない直球です。左右様も知ってたはすだ、と。デラさんもまっすぐ答えます。アサを盾にとられたらユルは自分から命を捨てるだろう。

「『とりあえずは一回死んでも大丈夫』って保険がかかってりゃ命も捨てやすくなる その思考は危険だ」

 実際左右様が知っている先代の双子は片方生き返らなかった…。

 期せずして敵味方交えた朝食会。東村も影森も一枚岩ではない事が浮き彫りになります。形に差はあれ「双子を利用したい」のは全員共通。

 ユルはそれが気に食わない。「解」を持っているのはアサの責任ではない。運命の双子に生まれたからってなんで生き方を他人に左右されなくてはいけないのか。

「俺は逃げも隠れもしない こそこそする理由が無い 東村だ影森だとごちゃごちゃ面倒くさい どっちだろうが俺の首を取りたい奴は取りに来い! ただし全員返り討ちにした上で情報を絞り取らせてもらう」

 言えるだけの実力と覚悟が既にあるのが恐ろしいw。

 父母の行方を探してくれる影森には感謝するが、それはそれとして東村を襲った事は許せない、とユルは田寺に身を寄せる事に。

 門を出れば結界の外。「解」を持つアサは一歩出た瞬間に襲われるかも知れない。にも関わらず外に出たユルを抱きしめるアサ。

「兄様 体大事にしてね」

「うかつ…っ!!背後取られた…あいつがクマだったら俺は死んでた…!!」

 そっちかw。ですが最初のショックが過ぎ去れば

「あいつ間違いない 本物の 俺の 本当の妹だ…」

 思い出すのは東村で牢屋からユルの背に手を触れるアサの姿。

「兄様 体大事にしてね」

 同じ言葉。同じ手。間違いようがない。

 影森邸を離れたユルとデラさん、左右様。せっかく都心まで出たんだから…と必要な物を買い揃えたり遊んだり(ギャンブルでスッてみたり)。…ツガイ使いに着けられているのに気付いた二人は田寺家のツガイ「マヨイガ」の中へ。道を間違えたら出られない閉鎖空間に追手を閉じ込めて情報を得ようとしますが…

「おや おやおやおやおや 左右の君じゃないか」

 現れたのは異様に手の長い男と足の長い男。左右様が言うにはまんま「手長足長」。ツガイであるようで、左右様と因縁もある模様。

 ツガイって神話や昔話まんまなものが多いですね。いや逆か。ツガイの姿を元に伝承が出来ていく事になるのかな。

 そして「解」と「封」の力を利用しようとしている勢力はともかく、無くそうとしている影森の当主ゴンゾウさんはどういう方法をとるつもりなのでしょう。どうも「東村で双子が生まれなければいい」→「東村がなくなればいい」で村を根絶やしにしようとしている気が…。

 んでまた作中の描写を総合すると、影森って相当な都心部にだだっ広い邸宅を構えられる大金持ちなんですよねぇ…やってやれない事はなさそうなのが…。

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