「源氏物語」。日本文学の古典にして知名度ではおそらく五指に入る、海外にも名が知られている…同人誌w。そう、同人誌なんですこれ。手書きで書き上げて自ら製本し、仲間内で回覧する所謂肉筆同人誌という奴ですね。
これが成立する為には割と条件がありまして、文化的背景の近い集団がある程度生活に余裕がある状態でなければなりません。食うに困らず本を読み漁れる貴族たち、つまり日本史上初の有閑階級…平安貴族によるサロンの存在が不可欠でした。
別の言葉で言えば趣味に没頭できるオタクども…ああ、一気に身近になったぞw。
藤原氏の学者の家系の娘、香子(こうし)は夫を亡くした悲しみを癒やす為書物に没頭し、いつしか自分でも物語を書き始めます。その物語は評判を呼び、藤原「望月のかけたることもなき」道長の目に留まり、香子は皇妃中宮彰子の女房兼家庭教師として宮中に参内する事になります。女房としての名、籐式部をもらい、宮中の仕事をしながら「源氏物語」を発表。評判を呼びます。が帝は現妻彰子より亡くなった前妻定子に未練があるようで…。
実は籐式部は定子と少しだけ面識がありました。定子の兄弟が皇家に間違いとはいえ弓をひいてしまった事に端を発する騒動で彼女が落飾する場面に立ち会っていたのです。結局帝は落飾を認めず手元に置き続けたのですが、定子は失意の内に死んでしまいます。
それが「源氏物語」の更衣のモデルであることを彰子は気付きます。定子がきっかけで始まった「源氏物語」。それを帝の目に触れさせて良いものなのだろうか?更衣のモデルが定子だと気付けば帝はますます定子に想いを馳せてしまうのではないか?そこが籐式部の悩みでした。
彰子は、それでも同人誌を書く事が式部自身を救うことになるならやめてはいけない、と式部を鼓舞します。
「それに私は…私は読みたい 『源氏物語』の続きを」
そこまで作品に惚れ込んでくれるとは、作家冥利につきる、というやつですね。
で、帝に読んでもらう為に第一巻「桐壺」を探し始める籐式部ですが…「桐壺」どこにあるのかわからないw。回覧の挙げ句現在地不明とかなんて手作り感w。「源氏物語」の評判を聞かされながら探し回った結果、中宮大夫斉信の手から返却される事に。
この斉信の名に籐式部は覚えがありました。「枕草子」に名前があったのです。清少納言は定子の女房だった人で…つまり斉信は定子のサロンにも出入りしていた。
定子のサロンは知識人も集まる華やかな場所だった。対して彰子周りは人材もなくサロンとすら呼べない。帝が興味を惹かれなくても仕方ない…。そう斉信は言います。憤る式部に斉信は
「そこまで言うならアンタが作ってみせてくれよ “彰子サロン”ってやつを」
ついに帝の手に「源氏物語」が渡り、評判も上々。日本紀(日本書紀)も読みこなして知識を活かしている、とベタ褒めです。
が、これが女房の間では陰口に…“日本紀の御局”意訳すると“インテリ暦オタ女房”!
当時、歴史や漢詩は男が修めるもので女は和歌などを嗜むもの、という認識だったらしい。要するに式部さん女らしくない、と。
それを言い出した左衛門の内侍という人がなぜこんな事を言い出したかと言えば…私は源氏さまに呪われた!とw。源氏との生活を妄想したり、他人が源氏の話をしてると腹が立つ、とか。式部と小少将が異口同音に言ったのが
「同担拒否の夢女子」
好きが暴走してる状態である事がわかり、いろいろ腑に落ちた内侍は式部と和解。式部の悪口は納まっていきます。
この“日本紀の御局”絡みでまた別の出会いも。式部と同じように物語をたくさん読んでいる赤染衛門。竹取物語やら伊勢物語やらで式部とオタトークが出来る人w。女性向けに歴史物語を書きたい、と夢を語るこの人を彰子の元に引っ張って来れればサロンの形が出来てくるのでは?
やるべきことが見えて来たところで式部の弟、惟規が訪ねて来てまた急を告げる展開になります。
「姉ちゃん 落ち着いて聞いてね ケンちゃんが誘拐された」
ケンちゃんって…式部の娘の賢子ちゃん?なんで!?
めんどくさい宮廷闘争がある程度纏められて、更に「源氏物語」の内容とリンクするように書かれているので理解が進みます。
キャラクターも立っていて楽しく読めます。内侍が夢女子なら小少将はBL、これで同人活動で騒いでるって現代と一緒じゃん!千年経っても変わってねぇw。
ですが何と言っても彰子さま!帝好きすぎて顔が見られない、とか帝の寝顔見て「チューしたい」ど思っても恥ずかしくて実行出来ない、とか…なにこのカワイイ生物。
これで帝に伝わってなさそうとか、式部じゃなくても応援したくなりますわw。
無事彰子サロン成立してもらいたいところですが、まずはケンちゃんの行方ですね。
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