暗号学園のいろは 1巻

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 脅威の創作速度と溢れる言葉遊びとメタネタが特徴の西尾維新先生原作。なんたってローマ字にすると(NISIOISIN)線対称どころか点対称になってしまう…ペンネームにまでネタ仕込む拘り様w。前作「めだかボックス」でも大概ダジャレで話を進めてましたが、今回暗号…というか言葉遊びをメインに据えて来て枷が外れた感じですね。

「第四次世界大戦は紙と鉛筆でおこなわれる」

 情報が世界を制する現代、傍受した暗号を解読する精鋭をいかに揃えるかは各国の最優先事項となっていました。世はまさに大解読時代!現代日本において次なる大戦に対処すべく新設されたのが暗号学園である!

 暗号兵として女性ばかり集められた暗号学園にLGBTの観点から少数入学させられた男子…いろは坂いろは。純粋な数合わせでまったく期待されていなかった彼ですが、初日の課題(自己紹介Xワード)が終わらせられずに図書室で放課後自習していると…。

「かっ…匿って!」

 図書室に迷い込んできた女の子を、後を追って来た悪役令嬢とその取り巻きから庇ったいろは。

「俺は1年M組 洞ヶ崎凍(こごえ) 大きな声じゃ言えないがね」

 あぁ、小声(凍)だけに「大きな声では言えない」のか。今作はこんなネタか溢れてぃます。

 課題で悩んでいたいろはに凍はひとつプレゼント。

「ファッショングラスだ お洒落でしょ? これかけりゃ賢そうに見えるよ」

 …黒縁メガネでお世辞にもおしゃれとは言いづらいですが…。

 なんとか課題をこなしたいろは。悪役令嬢東洲斎享楽に屋上に呼び出されます。なんてテンプレなw。

「勘違いしないでね 私達あなたとお友達になりたいだけなのよ?」

「ここにおわす東洲斎享楽様は『核兵器以外の全兵器を製造る』兵器メーカー『踏襲図』(キックアタックプランニング)の跡取り娘です」

「この学園で友達になって損はありません 逆に言えば敵に回すと欠損しますよ」

 なんて完全無欠な悪役令嬢ムーブw。いろはがこのXワードを解ける訳がない、凍から「何か」受け取っただろう、と問い詰める享楽。

「あっ…あなたの…言う通りだよ…友達は選ばなきゃね ボクは人数や暴力で脅しをかけてくる奴とは友達にはならない!」

 課題は自力で解いた、と主張するいろは。

「オッケー じゃあ嘘だったらあなた3年間私達の下男ね」

 その場でさらさらと暗号を作り出す享楽。

「この中の誰かを示す暗号文よ 解けるんでしょ?ぎりぎりまで追い詰められたら 自力で」

「あの…眼鏡かけてもいいかな?緊張して細かい字がよく読めなくて…」

 眼鏡をかけた瞬間、暗号文が光って見えます。

解凍編(アイシーコールドリーディング)!

 これはファッショングラスではなくスマートグラス!暗号解読を支援する情報を映し出す暗号兵器!

 とはいえ眼鏡はあくまで情報を出すだけ。答えを出すのはいろは本人。

「いろは坂いろは…だよ」

「たしかにあなたは『この中の誰か』としか言ってない…まさかボクも数に入れてくれてたとはね」

 いろは歌の四十七音を都道府県のJISコード順に当てはめたパングラム!

「ゆえに暗号文が示すのはこのボク『いろは坂いろは』であることなんて いろはのいだよ お嬢様」

「満点よ とてもあざやかね いろは坂くん」

 この「とてもあざやか」はいろはのXワードにも「言われたい褒め言葉」として入っています。いろはと対峙したキャラが感服するとこの言葉を発しますね。今作はこういう仕込みが非常に多い。件の自己紹介Xワードも別のキャラのものがちょくちょく出てくるので、まだ仕込みがありそうです。

 凍の(無線による)介入で、負けた享楽がいろはを逆に「ご主人様」呼びする事になったりw。そのせいで取り巻き二人にはブッ殺さんばかりの目で見られてますが、享楽本人には一応認められた様子。

 そもそも凍も含めた暗号学園入学者たちの目的は、この学園の地下深くに隠された「暗号資産」500億モルグ!これが学園一の暗号解きに報奨金として与えられる。

「だってそれだけあればこうしている今も世界で起きている戦争の半分は停める事ができるから」

 いろはが自分と組んでくれれば叶えられる。

「夢がないなら俺が見せてやる まずは半分 一緒に戦争なくそうぜ」

 凍は、その為にまずは一年A組の学級兵長になれ、といろはを焚き付けます。

 …凍はこう言ってますが、お嬢様の見解は違うようで。

「戦争が起きれば起きるほど値上がりする戦災の暗号資産『モルグ』 我が社の元に技術顧問がそんな負の遺産を500億も手にしたら こうしている今も世界で起きている戦争をまたたく間に倍に増やしかねないわ 私が死の商人なら凍は戦争屋よ!」

 何が本当かわからない中で始まる学級兵長選抜試験。いろはは解読能力こそ低めですが、バディを作れ、というルールの隙を突いて三人組を作ったり、パズルに隠された暗号を解くには複数バディで協力しなければならない事をいち早く気づいたり、非凡なものを発揮していきます。結果、隠されたワードに辿り着き…ここまでやってまだ始まってないのかよ…w。

 いろはが持っているのと同じ解読眼鏡を複数名が所持している事が分かったり、その上でいろはを特別視してる節があったり…凍の裏がどこまであるのか読めません。戦争を増やしたいのか減らしたいのか?

 あと単行本描き下ろしなども見ると、享楽さんがヒロインポジションのようですね。「化物語」のガハラさんといい、西尾先生キツイ女子がお好み?w

「どんな漫画もジャンプに載ればジャンプ漫画」とかブチかますし、全方面にキツイぞ享楽さんw。

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