出禁のモグラ 4巻

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「そうだ もしママがお空に行っちゃっても島中の人を人身御供にしてなんかこう上手くママを蘇らせてあげるよ!!そういうのアニメで見たもん 信じればてきないことはないんだよ だってママにそう教わったもの!」

 …えー、虚構と現実がごっちゃになった問題発言てすが、発言者が事実上の島の独裁者で50過ぎのオッサンとなるとヤバさ倍増…どころか自乗ですね。まかり間違ったら実現できてしまう。

 90年、島を牛耳り続けた曾祖母、マザコン拗らせた祖父、人をいいように動かす事に特化した地雷孫…。人魚島の現状の元凶がモグラ一行への対応を相談しています。島のノリに巻き込まれない奴らは危険だ、と。

「なんにしても意見してくる脳ミソを持ってる奴は安寧の敵だよ」

「島の他の連中は言葉を鵜呑みにする奴らだ いくらでも騙せる」

 そんな相談をデカいネコ…ナベシマが聞いていました。確かに見えないですからね〜。スパイには最適w。

「この島の事はこの島の問題だ が 八重子さんの友達がバチクソにいじめられてるのはどうなんだろうな あの様子じやもうじきにでも死んで人魚の一員だぞ 関わりたくないが モグラの奴なんかに教えたら結局関わることになるんだろうな」

 藤史郎から一行へ情報がもたらされ、モグラの解析が始まります。

 鮫島一族による人魚伝説も併用した島民の洗脳、支配。邪魔者は容赦なく排除…場合によっては死んでも構わない。そうして出た犠牲者の霊が、水死体が流れ着くなどして元々霊の集まりやすいポイントになっていた人魚岩に集まり、「人魚」として成立していく。負の感情の強い霊を取り込みやすいこの固まりは周りの霊も集め、しまいに生者も誘うようになる…弱ってる人は特に。

 つまり追い詰められてる森君は相当危ない。海の見える場所をウロウロしていたのはもう人魚に引き込まれる寸前なんじゃないか?

「『余計なお世話なんじゃねぇか?』正直そこはわかんねぇよ でもたとえ何もできなくても何もしなかったら八重ちゃんが後悔するのはわかってる お節介 自己満足 確かにそうだ だが少なくとも俺は気付かれずに死んだ人と 気付かずに後悔した人を両方 死ぬ程見てきてる」

 八重子と真木、モグラで捜索、海岸辺りをフラフラしている森君を発見。あぁ、やっぱりヤバい。

「歯に衣着せずごめん ユイちゃんに何かされた?」

 とりあえず森君の周囲をガッチリ固め、話を切り出す八重子。

 島に越して来た当時野森君は割と整った顔立ちで…ユイに誘われて断ったのが運の尽き。

 人心掌握に長けたユイは森君の噂をあることないこと流し、次第に森君は行き場を失っていく。唯一気にせずつきあってくれた八重子が大学進学で島から離れた事で、ついに森君は壊れてしまいます。閉鎖環境だと人ひとり壊すのは割と簡単なんですね…。

「私 気付いてなかった 当事者意識がなかった」

「ごめんなさい森君」

 わかってくれる人がいた事で森君はだいぶ楽になったようです…が

「あ 森君よくなったの?よかったね皆心配してたんだよ」

 白々しく寄ってくるユイ。一気にトラウマがぶり返す森君。そのまま人魚に引っ張られるように海へ…!真木が引っ張りますが体重差は如何ともしがたく、二人とも海にドボン!

 ここで真木に憑いてるレッサーパンダの霊、マギー君が本領発揮。「安寧」を守るため、宿主を守る為にその霊力を使う!つまりはぐうたらする為に寝床を全力で守るw。真木にとっては無敵のセーフティw。

 人魚岩付近の複雑な海流を避け、森君を連れて岩に取り付く。人魚自身の手もマギー君が振り払う!すげぇなマギー君w。

 森君は岩礁に肩をぶつけて出血。長時間放置すれば危ない…。

 モグラ、弓矢とカンテラを持ち出し

「真木!!森君をそのまま押さえてろ!そのまま一ミリも動くな!!」

 矢に灯を纏わせ、森君の傷をかすらせて回復させる!とんでもない腕前です。

 思うんですが、モグラつてそんな器用な方じゃないんですよね。初めてやることはそんなに上手くない。弓とか、得意な事は長い時間をかけて鍛錬を重ねて腕を上げて来たんでしょうね。真木が不気味がるくらいに。修練は嘘をつかない。

「お客さん…勝手が過ぎますよ…アンタらどうも怪しいから見張ってたんだ…」

 社長…鯉太郎がモグラに詰め寄ります。島の支配を脅かす異分子だと。

「『頭は赤子』『体は女人』『声で男を誘い海に引きずり込む』 『醜い人魚』ってのはお前ら家族のことじゃねぇか!!」

 大鉈で斬り掛かって来る鯉太郎をカンテラのヒモ…実は黒縄地獄産の縄…で受け、ぶん殴って止めるモグラ。

「いい加減…自分で考えてご覧なさい!!」

 そろそろ抵抗しきれなくなってきたマギー君…。加勢に現れたのは猫二匹。ナベシマとイケブクロさん!猫附親子到着です。

 二匹に噛みつかれて引きちぎられる人魚…いやこれは鮫と…人?

 八重子の家の蔵を探った結果によると、元々この島には鮫が出没し、島に逃げてきた母子を匿わず突き出したとき、トラブルで母親が鮫に食われてしまったそうで、それが人魚伝説の大元らしい…。立派な黒歴史ですが、美化された伝承なんて最初はこんなものかも知れません。

 目を覚ました鯉太郎、カンテラの灯でケガを直されたようで…。

「ところでアンタ 何か見えるようになってないか? こっちは幻覚じゃないぜ」

 目の前には人魚が化け猫に食い散らされる地獄絵図がw。

「ママアァァァァァァァ!!」

 …鯉太郎精神崩壊です。無理もない。

 ユイは何故か杏子さんと対決して心折られw、お婆さんは鯉太郎の看病で手一杯。鮫島家の指導能力に疑問が出てきたところでようやく島民が森君の話を聞いてくれる様に。

「しかしなんで今まで言わなかったんだ?相談してくれればよかったのに」

 …おそらく悪気はないんです。考えずに操られる事が普通になってしまっているだけで。その矛先はかつての王に向き…。

『ナルホドワカッタ 鮫島サンガ悪イ奴ダッタノカ!』

 これでは生きながらに「人魚」と変わりません。

「いい加減にしろ!」

 八重子のお父さん、桐原さんが声をあげます。

「結局 単に鮫島の知恵に我々が負けていたってだけじゃないか!なんで善人のつもりでいられるんだ!? 恥を知れ!!!」

 島は新しい道を進む事に…なるといいな?島民が自分で考えて進み出すにはまだ時間がかかりそうですし。少なくとも若い世代は違う道を行こうとしています。森君は東京へ出る事を考え始めたようです。ユイも八重子から一度島を出てみろ、と誘いを受けています。杏子さんによれば「女王様の需要はある」らしいですしw。

 お婆さんはいろいろな要因で女手一つで島を切り盛りせざるを得なくなり、誰に頼る事もなくやって行こうとした結果このようになってしまったようです。

「…見返して御覧に入れますよ」

 …何が悪かったんでしょうね。島を良くしようとしていただけなのに。少なくとも最初は。息子が生きて残っているのが救いでしょうか。

 モグラはかつての戦友で八重子の曽祖父、雄八から戦時中使用した背嚢をもらい、ついでに「仏前に供えてくれ」と手紙をもらいます。便宜上雄八とともに戦ったのはモグラの曽祖父ということになっていますが、なんとなく気付いている様子。

「変なものが見えるようになったぞ、お前のしわさだな  追伸 長生きもした これもお前のせいだろう ありがとう」

 手紙の内容です。

「…俺なあ 来て良かったよ 八重ちゃんありがとうな あと まあ 生きる意味な 多少はあるな」

 「男はつらいよ」寅さんの言葉で、「人は何故生きるのか」と問われたときの返答に

「人生に何度か、『生まれて良かった〜』って思う事があるじゃん。そういうのを感じる為なんじゃねぇかなぁ」

 …と返した事があります。記憶は曖昧なので詳細は違っているかも知れませんが、その辺はご容赦を。

 永い罰を受けているような状態のモグラ。嫌な事ばかり多いだろうと思います。それでもたまに「生きてて良かった」と思えるならそれは相当な救いになるのではないでしょうか。

 で、森君地味に霊が見えるようになってますw。よくよく見てみると次のエピソードの伏線がちょこちょこ張ってあったり。上手いですね。

 

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