逃げ上手の若君 10巻

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 女影原の戦い最終盤。大将格それぞれが戦場で自ら剣を振るっています。石塔範家は亜也子と、岩松経家は雫をはじめとする女たちと、渋川義季は時行と共に弧次郎が相対します。

 馬上で激しく打ち合う石塔と亜也子。郎党が隙を見て石塔の足を斬り、亜也子が石塔を抱え上げて地面に叩きつける!…それパワーボム!w

 そのまま首に刃を立て

「降参は」

「しない 討て」

 泥臭く足掻く亜也子の姿を、雫に嫉妬するその魂を、イマジナリー彼女の「鶴子ちゃん」よりも美しいと思ってしまった。理想を追う者は理想を越える者に出会って迷ってしまった。

「さらばだ娘…俺の首を手柄に主君との恋模様 進めるがいい」

 自ら刀に首を押し付ける様にして石塔は事切れます。届かぬ理想を追い続けた生涯は満足行くものだったのでしょうか。

 岩松には望月が。にこやかに死体をぶん回す…ちょっとしたホラーですねw。

 ですがそれでも岩松は御しきれず、隙を見て雫以下巫女ズに手を出しに…

「まずは女手共!四人まとめて一刀両断だ!!」

 そこに割って入ったのは吹雪!岩松の大刀を兜を挟んで止める!

「骸二体とよろい二領で防げるなら 兜ひとつと刀二本 強度計算としてはギリギリかな」

 その通り、動きを止められた岩松を望月が一撃!

「若き豪傑よ 言い遺す事は」

「…ククク まず殺れよ 遺言なんか死んだ後で喚いてやる」

 負けたとなれば潔く。良くも悪くも思い切りがいいですね、鎌倉武士は。

 体力を削り、渋川と対等の状態にまで持ち込んだ弧次郎。互いに新しい技を編み出し、戦いの中でも成長していきます。

「負けるな弧次郎!」

 後ろに控える時行。弧次郎の勝利を疑わず、待ち続けます。

「とにかくすごいんだ!本気出したら熊百頭くらい一瞬で殺せる!」

 …信じてる?

「勝ってくれ弧次郎!自慢の郎党を天下に向けて紹介したい!」

 これだけ無邪気に信じられたらそりゃ答えたくなりますよね。

「居場所をくれた北条時行様が総大将の戦 目の前には無双の敵将 戦う動機が強すぎる!」

 渋川の剣の勢いまで利用した極限の一撃!鎧ごと…刀まで壊す袈裟懸けで弧次郎が勝利を収めます。

「北条時行 お前にもお前の正義があろう 正義を貫くには苦痛が伴うぞ」

「肝に銘じる 正義の豪傑の忠告を」

 主だった将を失った足利軍は総崩れ。ひとり生き残った斯波孫二郎は抗戦を主張しますが郎党が抑え、撤退していきます。

 女影原の戦い、諏訪軍の勝利です!

 時行の名は京に。後醍醐帝の耳にも入るようになりました。似顔絵も出回りましたが、これで気付く者が何人か…。

「…なんとこれはたまげた あの少年 世が世なら拙者の主君たる御方だったのか」

 楠木正成が笑います。

「……ふーん あっそ …あっそ なるほどねー…」

 何だか物凄くコワい表情の魅摩。

「北条…時行…?」

 ついに顔と名前が一致した尊氏。

『この時初めて 英雄は少年を認識した』

 鎌倉に至る次の戦場は小手指ヶ原。広い平原での会戦となります。

「小細工抜きのガチンコ勝負!かかれ!!」

 ここで出て来たのが今川範満。

「うま だいすき」

 馬の面を被り、鞍に足を縛り付けて出陣する…足で馬の心臓を無理矢理動かして超スピードを出させる。

「馬を駆って戦場を跳び回り進路の敵を殺す それだけが目的の御仁」

 …つまりバーサーカーです?しかも馬が疲労してくると盾で囲んだスペースに入って馬を替え、再び出撃…ピットインだろこれw。

 もうひとり、上杉憲顕は「人造武士」の部隊を用意してきました。薬品で精神を調整して恐れと肉体のリミットを外した…こっちは改造人間だなw。またイロモノが揃ってw。

 この過程で、吹雪が上杉が運営する「足利学校」に在籍していた事が明らかになります。つまり元々は足利方だったということ。家庭環境に嫌気が差して逃亡、才を活かせる場所を求めて彷徨っていた、とのこと。

「昔の主君や家柄ごときで…私が君への信頼を無くすと思っていたのか 君はまだ 君がどれほどすごい奴なのかわかっていない!」

 そんな事で郎党を切り捨てる時行ではありませんでした。

「この戦場全ての味方の士気を百倍にしよう! 君なら一瞬でそんな策思いつくよな!」

 …それはちょっと無茶ぶりではw。

「純粋な期待だからタチが悪い 若は自分の郎党に夢見すぎなんだよな」

 で、吹雪が出した策が…走り回る今川の前を時行が走って挑発する。大人用の大きな馬に背伸び乗り…現代で言うモンキー乗り…で乗る事で今川に負けない速度を実現し、常に今川の前を走る事で注意喚起と味方の鼓舞を同時に行う!目標を時行に固定させる事で結果的に被害も減る!というw。主君が体を張る、という大分致命的な欠点以外はいい策ですw。

 替え馬も潰され、後がなくなった今川は奥の手を。

「『瑪瑙』よ 愛しき瑪瑙よ 嬉しいぞ 再びそなたに会える」

 TVアニメ化決定してしまいましたね。「鎌倉殿の十三人」からの流れでしょうか。あまり取り上げられない時代なので新鮮なんですかね。まだ詳細不明…ということなので、放送は冬か来年頭か…。

 あとはどこまでやってくれるかですね〜。中先代の乱まで辿り着くには時間がかかるし、切り方次第では時行が本当にただただ逃げ回って終わってしまうw。

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