銀河英雄伝説 26巻

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「何が智将だ…私は救いがたい低能だ…おふたりの人がらからいってこうなる可能性は予測できたはずなのに…」

 ビュコック提督とレペロ議長の訃報に接したヤンが悔やんだセリフです。ですが神ならぬ身で手が届く事ではないのではないでしょうか。事ここに至ってハイネセンを逃亡するような二人ではない、とフレデリカの説得もあって落ち着き、遺品となったブランデーを手に悲しみに沈むヤン。

 カリンとシェーンコップの邂逅とかビッテンフェルトとファーレンハイトの殴り合いからの親友化(これはマンガオリジナルですね)、同盟の骨のある職員とレベロ議長暗殺犯の処分などエピソードを挟みながら、「冬バラ園の勅令」が発せられます。

「銀河帝国皇帝たる予 ラインハルト·フォン·ローエングラムはここに宣言する 自由惑星同盟はその名称をかかげるべき実質を失い完全なる滅亡をとげた 本日より人類社会を正当に統治する政体は唯一 銀河帝国のみてある」

 自由惑星同盟が消滅した瞬間でした。

 今や唯一皇帝ラインハルトに対抗しうる勢力と認知される事になったヤン艦隊ですが、艦隊内ではキャッチフレーズをどうするかで揉めていました。どうしてもおフザケが抜けない人たちですw。

 アッテンボロー作「ビバ·デモクラシー!!」は民心に訴えない、と却下。「ヤン万歳」とかダサすぎるので却下…で最終的にポプラン作「くたばれカイザー!!」に決定w。

 ここで「スローガンひとつ皇帝の名を使わなければ作れないとは、我々は言語的寄生虫とでも言うべき存在だな」とか悪びれたのは誰だったか…w。

 まぁ「伊達や酔狂で戦争やってる」と明言する人たちですからw。

 帝国側は帝国側で、皇帝親征によるイゼルローン要塞再々奪取作戦が立てられていました。それはイゼルローン回廊の両端を塞ぎ、フェザーン回廊を貫通する長い戦列。人類の支配する宇宙を繋ぐ光の竜。これはもう単なる要塞攻略戦ではなく、銀河の覇王とならんとする男の最後の使命。

 最近のラインハルトの体調の悪化を心配し、要塞攻略は任せてほしい、と提案するミッターマイヤーに

「ならぬ! 予が休息するとしたらヤン·ウェンリーに対する負債をまず完済せねばならぬ! 彼を屈服させ宇宙の統一をはたしてから予にとってはすべてが始まるのだ!!」

 最後まで自らの手と足で勝ち取ろうとする、それこそがラインハルト。

 旗艦ブリュンヒルトに座乗するラインハルト。ヒルデが話しかけます。

「これが最後の戦いなのですよね 陛下?」

「むろんだ いくぞキルヒアイス!」

 当たり前のように声をかけるラインハルト。一瞬、後ろに付き従う赤毛の大きな影が見えたような…。いるのですね、きっと今でも。

 帝国軍先鋒はビッテンフェルトとファーレンハイトの親友コンビw。いかに猪武者とはいえ、勝手に戦端を開くほど考えなしではありません…ほぼ挑発同然の降伏勧告とか出すくらいでw。ヤン艦隊にもアッテンボローという、その手の事が大好きな輩がいるのでしっかり受けて立ったりしていますがw。

 ヤンとしてはラインハルト本隊が来る前に各個撃破で敵を減らしておきたい…で、メルカッツ提督の名前を拝借して、「提督が投降してきた」として無人艦を囮に出します。

 これが囮である事を看破しながらも、ビッテンフェルト艦隊は奇襲を仕掛けてくるであろうヤン艦隊を返り討ちにするべく進軍して来ます。「戦う理由を常に探している」ビッテンフェルトの性格を読み切って仕掛けて来てますね。

 しかしてこっそり出てきている「演技」をしているアッテンボロー艦隊。ビッテンフェルト艦隊が襲いかかります!

「よぉし ワタワタとみっともなく逃げる…フリをしろ!」

「わはは 見ろあの見苦しい狼狽ぶり!!なぎ払え!!」

 アッテンボローの演技で回廊に引きずり込まれるビッテンフェルト艦隊。「釣り」成功です。

「勝ったな…本隊全艦全速前進 猛虎を檻に閉じ込めるぞ!」

 ヤンの本隊が余裕を持って出て来ます。

 …その頃、ハイネセンの精神病院からひとり、脱走者がありました。その名はアンドリュー·フォーク…。

 ビッテンフェルトとファーレンハイトのマブダチっぷりが目立つ巻でしたw。超攻撃型の二人なので、似た者同士で気は合うに違いなかったのですが。原作では確かそこまでの絡みはなかったはず。変更点としては納得いく、アリな方だと思います。

 で、この「回廊の戦い」が終わると…。

 そろそろ物語も終盤です。藤崎先生、よくぞここまで描いてくれたものです。銀英伝のコミカライズって、大概途中で止まっちゃいますから…。どうか藤崎版は最後までやって頂きたい!

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