無限の住人 ~幕末の章~ 8巻

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 新選組屯所、西本願寺に医師松本良順がやって来ます。隊士たちを次々診察していきますが、本当の目的は沖田だったようで。

「安心せえ “血仙術”の事なら歩蘭が生まれる前から齧っとる」

 …歴史上の人物にとんでもない事言わせてます。沖田の労咳の治療のため肺の移植手術を行い、免疫抑制剤代わりに血仙蟲を精製した薬を処方している…らしい。えらい事言い出したな…。「黒博物館」並の無茶です。

「結論から言うが 君の身体はもうこの薬無しじゃ長く保たねえ」

「安静にしてもよくて一年…進行が悪ければ一月…どっちにしろもう剣は握れんじゃろう」

 一方、佐々木源八から逃げる万次一行は長州の手勢を借りて助けに来た坂本龍馬と合流。一旦落ち着いたところであらためて佐々木について考える歩蘭。

 おそらく江戸城地下の万次の腕から切り取った組織を移植する事で不死性を獲得しているのではないか、と。その過程で鴨壱號など非道な実験が自分の預かり知らぬところで繰り返されている事を知った歩蘭。

「あれが江戸城地下に有る限り…」

 良順は言います。

「あの右腕から…不老不死の蟲が湧き出る限り君の安泰は保証されとる」

 …歩蘭は江戸城へ潜入し、右腕含め不死実験の産物総て燃やし尽くす事に!血仙蟲を生み出す“血仙基”なる部分を切除すれば流石に燃えてなくなります。

 逃亡する應榮と歩蘭。手引きしたのが勝海舟であると掴んだ小栗は、二人が国外へ出るつもりと踏みます。

「即ち目指すは横浜港 彼奴らは不死材料の一部を持ち去ったと見られる 生死不問で引っ立てい」

 横浜港。隠れる二人。歩蘭の方は調子悪そうで…。

「すべて収まったら私たちも海を渡るわ そしたら私と白とあなたたち…四人で暮らしましょう」

 四人?…あー、やっぱりそういう…。

 囮になって横浜中で騒ぎを起こす應榮。

 変装して外国籍の船に乗ろうとする歩蘭ですが…刀で刺し貫かれる歩蘭!

「不死に係わりし者…何人たりとも修羅道…からは…逃れん」

 それは変わり果てた佐々木源八!もう不死力も切れたか…。

 歩蘭の懐から血仙基を取り出す佐々木。

「これ…これさえ取り戻せば…実験は…続けられる…」

「もう…無理ですよ」

「あれは…宿主以外の体では生きられない…仕組み… 万次様の右腕が塵と化した今…もう不死実験の…再開は…不可能です」

「黙れ!死に損ないが…抜かしおって 公儀が失敗…したとでも言うのか 只三郎は…何の為に…」

 滅茶苦茶に斬りつける佐々木。…息子も不死実験の犠牲になっていたんですね…。

 戻ってきた應榮に刺される佐々木。ダメージの重なった佐々木、さすがに動かなくなります。ですが歩蘭はすでに…。

「歩蘭 歩蘭 歩…蘭」

 ズタボロになった歩蘭の体に血仙基を突っ込みますが…。

「これは当然の報い…です」

「…これが綾目歩蘭の 一生涯です」

 彼女が死の刹那に見た幻か…オランダ?にたどりついた歩蘭。跡を追って来た應榮、白、うるると合流、そして歩蘭が抱く赤ん坊…。

 そして江戸城地下が燃やされ、歩蘭がこの世の者ではなくなったということは…血仙蟲の薬が作れなくなったという事でもあります。

 薩長同盟を締結した坂本は幕府の敵と認識され、京都見廻組及び挽斃連に狙われる事に。護衛に就いていた万次共々襲われます。この二人も相当な腕前なんですが

「言い忘れましたが私…北辰一刀流免許皆伝の貴方よりも手練ですので」

 上には上がいるという事。幕府の力で集められた達人たち相手では多勢に無勢。

 そこに現れたのは…沖田!

 本来敵同士ですが、万次の求めに応じて挽斃連、提婆の腕をぶった斬る!

「今…虫の居所が悪いので 手加減出来ませんよ」

 上には上が。刺客たちをことごとく斬り捨てる沖田。人とも思えない剣の冴え。

「お互い、歩蘭さんのおかげで生き延びられましたね」

「…で そのガキは今も元気でやってるか?」

 これに答えようとした沖田、いきなり血を吐いて倒れます。どうももらった分の薬も飲んでいないらしい。

 屯所まで沖田を担ぎ込む坂本と万次ですが、なんの勘違いか藤堂平助と鍔迫り合いする事に。…いや池田屋で斬り結んでるからまるで故ない訳でもないのかw。

 土方に薬を飲まされ、症状が落ち着く沖田。

「平助 いつまで刀を翳している その二人を客室まで連れてけ」 

「あん? 茶なんかいらねえぞ」

「勘違いするな 新選組の牙城に帯刀してやって来た以上 お前らに選ぶ権利はねえよ」

 …この人がいちばんヤバかった!

 歩蘭が死んで不死研究はほぼ頓挫。薩長同盟が結ばれたということは幕府の命運もあとわずか。沖田の命のカウントダウンもスタート…終わりが見えて来た感じでしょうか。てかどこで決着とするんでしょうね。前作では天津と逸刀流を根絶やしにする、という目標がありましたが…。

 龍馬暗殺で万次も表舞台から消えて終わり?

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