ロックは淑女の嗜みでして  1巻

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 「常住戦陣!ムシブギョー」の福田宏先生がヤングアニマルに戦場を移して、描くはお嬢様…の皮を被ったなんかよくわからん人達!

「ロックは淑女(レディ)の嗜みでして」1巻発売です。「ぼっち·ざ·ろっく!」のフォロワーかなぁと思っていたら「ぼざろ」作者はまじあき先生の帯コメもらって来たりしていて…確信犯だなコノヤローw

 桜心女学院高等部。一流の淑女(レディ)だけが在籍を許される小·中·高一貫男子禁制の超お嬢様学校…一言で言って純粋培養。外の世界の穢れを知らぬ少女たち。

「ラヴェルの『亡き王女のためのパヴァーヌ』は優雅で繊細でスペインのノスタルジアがよく表現されていますわ」

 …とか受け答えしてる鈴ノ宮りりさ。内心では…

「あ あっぶねーー クラシックなんて知らねーよ!!」

 この人、不動産王鈴ノ宮家に親の再婚で連れ子に入っただけで、自身は純粋な庶民だったりします。

「窮屈過ぎて圧死しそう! 泣き言はナシよ りりさ!私はここで『学園一のお嬢様(ノーブル·メイデン』になるって決めたんだから…!」

 なにやら引っ込みつかない立場っぽいです。

 黙っていれば文句ない美少女なりりさの目の前で、同じく学園一の美少女、黒鉄音羽(こっちはガチお嬢様)が何故かギターピックを落としたところからお話が動き始めます。

 今は使われていない旧校舎に消えていく音羽を追いかけるりりさ。音楽室からはドラムの音が…。

「しかもこの曲はインストバンド『LITE』の『Gohst Dance』」

 ドラムを叩いていたのは音羽!汗みずくになって演奏していた音羽にギターピックを返すりりさ。そのまま帰ろうとするりりさに

「…ところであなた ギター弾かれますよね?」

 ギターだこやら何やらから「弾く」と見破ってしまう音羽。ガチな人だw そしてりりさも。

「ギターなんてお嬢様(レディー)にはふさわしくありません」

「私は『高潔な乙女(ノーブル·メイデン』になる為にこの学園に来たんです!」

「…そうですか 上手くないならそうおっしやればよろしいのに…」

 はい挑発入りましたw いわゆる「ビビってるんですかぁ?」です。

 「私が下手くそだって…?」

 音楽室にあったエレキギターを使ってセッションをする事に。…何でお嬢様校の音楽室にそんなものが?

 『Gohst Dance』で合わせる二人。

「今回だけは特別 私のギターテクでこの世間知らずの度肝を抜いてやる!」

 ですが音羽のドラムもきっちり追いかけてきて

「ギターをねじふせに来てる!!!」

「まるで奴隷を屈服させる女王様!!!」

「ざけんな!のほほんと生きてきたお嬢様なんかに負けらんないのよ!!!」

 りりさにとってギターは小さい頃の…多分死んだ父親との思い出。

「あの日を境に私はロックもギターも捨てた お嬢様になる為 好きでもないクラシックを必死で勉強した」

 でも魂を込めたギターは

「あー…くそっ やっぱ最高だな」

 ここまででいちばんいい笑顔でギターを握るりりさ。ですがここでパワーアップするドラム!

「…すごい くやしいけど全部持ってかれた…」

 曲が終わって音羽を認める気になってるりりさ。ですが…。

「つっまんねえなああ テメエのギターはあああ!!! 活きがいいのは始めだけかよ なーんで急に静かになっちまうんだよ!?」

「もっと燃やせよ! こっちが萎えるんだよ!! この不燃ゴミが そんなギターやめちまえ!!!」

 ま、お下品w 汗だくで髪振り乱して中指立てるお嬢様…。最悪の出会いですが、この二人、バンドを組む事になります。

 鈴ノ宮家に居場所を作る為、母の立場を守る為にギターを捨て、「お嬢様」という枠に自分を嵌めようとしていたりりさ。対して

「私は…これを叩いてる時が一番夢中になれるんです」

「どんな事情も一切関係ありません 好き以外にやる理由があるなら教えて下さい!」

 自分の「好き」を貫き通そうとする音羽。

「私は嘘つきだ きっとこれ(ギター)なしじゃ生きられない」

 「楽しい」は正義。たとえ無茶苦茶になるまでセッションして

「「ダッセエェなあ それで全力かよ!!」」

 とか罵り合ってもw

 ただ音羽も事情は抱えているようで。

「大丈夫ですわ 両親は全く気にしませんから」

 …富豪のお嬢様が?親に気にされてない?

 て、この話はまた後の話で。

 とりあえず二人はメンバー募集しながら(ベースとキーボード…ボーカルなしのインストバンド!)、場数を踏む為に下町の吹奏楽演奏会のエキストラに応募する事に。

 ですがりりさはギターの練習をしているところを父方の娘(義理の妹)安莉珠に見つかって…。

 マンガのお嬢様って、「ゲーミングお嬢様」に代表されるような「セレブの皮被ったヤンキー」ばかりのような気がしますw

 究極的にはそのくらいの気概がないと社交界で生き残っていけないだろうから逆にそれがリアルなのかも知れませんが、本作の二人はそこまで行っていない、自分の内なる衝動をぶつける所を探している至極普通の若者なのでしょう。

 隣に友がいて一生懸命になれる事がある、それはすごく幸せなことです。

 ですがやってる事がバンドである以上、ステージをやる事になるはずであり…妹の件をどうにかしたとしても絶対どこかで顔バレしますよね?そのとき彼女たちがどうするのか、がひとつクライマックスになると思います。

 とりあえずは元気に喧嘩して頂きたいw

 福田先生の描く汗まみれの表情は非常に魅力的ですから。高揚した顔も、追い詰められた顔もw

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