「軍靴のバルツァー」の中島三千恒先生が描くミリメシ…いや戦場料理マンガ「鉄血キュッヒェ」です。ドイツ視点なんでまぁ物資が足りない足りないw
「こんな不味い飯で腹が膨れるか! なんたぁこのパン!歯が折れたぞ! 俺のスープ、具が入ってねぇぞ! は?全員入ってない!?」
第一次世界大戦、独仏戦の最前線。戦闘糧食は料理というもおこがましい代物。元有名フランス料理店でスーシェフまで行ったヴァイスは不貞腐れながら調理を担当していました。
「なんだってこんな豆の破片が浮いただけのスープ この俺が作らなくちゃならねぇんだよ!」
そんなヴァイスが健兵課のゲルプ中佐と出会う事で物語は動き始めます。美食家という評判だったのに実際は地面に寝転がって食べられる野草を探す…なんかズレてるゲルプ中佐。
「前線に案内してもらえるかな? 彼らが実際に食べている糧秣を見ておきたい」
塹壕の兵士たちは生気を失ったような状態でした。…ろくな栄養も取っていない状態で戦える訳がありません。ヴァイスたちが見守る前でフランス軍に押し切られていくドイツ軍。前線を下げて攻勢を耐え切ったドイツ軍は、明朝をもって反攻作戦に出る模様。
「どうだね一流のシェフ君」
「どうって…俺にどうにかしろって言うんですか?」
「どうにかしたいと君が思うかどうか聞いている」
「『どうにかしたい』ってことと『どうにかてきる』ってのは違うんで…」
「ならばお前は雑用だけしてもらう 私がこの部隊を『飯』の力で勝たせてみせよう」
ともかくカロリーは確保せねば、とゲルプが目をつけたのが…ルタバガ。家畜の飼料として使われるカブの仲間です。
どうするのかと思えば…皮剝いて茹でて「さあ食え」w どうやらこの中佐どの、調理の経験はないようで…。
「とうしても食わせたいなら俺か料理します! 俺がルタバガを美味しくしてみせます!」
…料理人としてのプライドか、いらん事を言い出してしまったヴァイス。言い出した以上はやってみせねばなりません。
ルタバガの青臭さと食感をどうにかしようとニョッキに仕立ててスープの入れてみるも青臭さはどうにもならない…磨り潰し、発酵させて焼き上げ…なんとパンにしてきました。
量だけはあるので一人一斤余裕で配れる…。
「いや…だいぶパンっぽくはなったんですけど…」
肝心なのは食った奴の反応…
「えっと…大丈夫です」
食えはするけど決して美味しくはない…つまり微妙w
中佐どの、材料ルタバガだと早々にバラしちゃうし…ついでにせっかくだから、とニョッキのスープの方も兵士に振る舞ってしまう。
「か〜!青臭い!」
「見た目は悪くないんだけどさぁ…」
「不味っ!」
「ったく… よくもまぁこんなモン作るよな」
散々な感想を返す兵士たちは何故か皆笑顔で、涙まで浮かべて。
「兄ちゃん 味はどうあれあんたは俺たちに『料理』を食わせようとしてくれたんだ 心より感謝する」
ヴァイスの方も思うところがあったようです。
「やっぱ俺が間違ってました 食材がないだの客が悪いだの言い訳して 食べる側の気持ちを考えずに諦めてた どんな状況でもできることはあるもんなんすね…」
この食事で活力を取り戻した兵士たちは、見違える動きで拠点の奪還に成功します。
ゲルプ中佐の任務とは、「兵の給養改善」…食料不足の軍における健兵対策の確立でした。今回の事でヴァイスの腕前に目をつけた中佐。
「共に来い 君の料理の腕前は目を見張るものがある 共に各地の部隊の給養を改善しようじゃないか!」
ちなみに辞令は交付済。ヴァイスの意思聞く気がねぇw
この二人が後に、いかなる状況下でも完璧な料理を提供する「鉄血の台所(キュッヒェ)」と呼ばれる事になります。
中将の義理の息子の問題を解決して中将の後ろ盾を得たり、最前線で空白地帯に取り残されて…出くわしたフランス兵がヴァイスの料理を酷評した評論家だったり…まだあんまり本分の任務は果たしてないな、この二人w
上でもちょっと書きましたが、第一次大戦なので最終的にドイツは負けます。多額の賠償金も背負わされ、その辺に対する国民の不満がナチス台頭の要因になったりするのですが…。本作の範囲ではフランスとの物量差が徐々に開いて行き、必要な食料品が揃わない中でどう料理を作っていくか、という話になってきます。
制約が多すぎて「うまい飯が普通に作れない」のは新鮮ですw またそれを作劇に効果的に使ってるのが上手い!
モーニングで不定期連載なので、なかなか新作が読めないのがつらいところ。秋には2巻が出るとのことで楽しみに待っていますw
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