「小説家になろう」発の金暮銀先生のネット小説が原作、「ダンジョン·マスター」「まにぃロード」などを描かれた栗橋伸祐先生が作画…ここのところよく見る、いわゆる「なろう系」にベテラン絵師を付けてコミカライズな作品ですね。
なろう系と言われると未だに偏見もあるようですが、ちゃんと続いているシリーズは評価も高く…。
「おっちゃんはおっちゃんやからおっちゃんでええよ」
…ゲシュタルト崩壊起こしそうな自己紹介をする冒険者オウルこと「おっちゃん」。
迷宮都市サバルカンドの冒険者ギルドに所属するおっちゃんは、迷宮にも入らずジャングルでの採取依頼ばかり受けるちょっと変わった冒険者。採取してくる物は一級品ばかりで能力が足りないとも思えない…。
実はこのおっちゃん、シェイプシフターというモンスター。変身などの魔法に長けたシェイプシフターは「冒険者やりたくなった」というなんだか唐突な理由で人間に化け、ダンジョンの外に出てきました。
人間社会をスパイするとかそういう裏はまったくなしw 気ままにやりたいだけなので姿も冴えない中年のおっちゃん…。知り合いと殺し合いとかしたくないのでダンジョンには寄り付かず、採取依頼で小銭を稼いで酒飲んで寝る、というある意味羨ましい生活をしていました。
ただこういうのはなかなか隠しきれないもので、ギルドの受付嬢のアリサには只者じゃない事を感付かれたりしています。そりゃジャングルだってダンジョンに負けず劣らず危険な場所なのに、一人でほいほい行って帰って来るんだからw
「おっちゃん 虎退治をやってみませんか?」
新人が受けた、あまり身入の良くない虎退治の依頼のサポートを頼まれたり。ギルドマスターの後押し(脅迫w)もあってやらざるを得なく…。
おっちゃんは虎が実はワータイガーであり、村人のひとりアベルがその正体である事を突き止めます。
「アベルは人を襲ってない 村を黙って去るなら見逃そうと思う」
普通はワータイガーだろうが普通の虎だろうが殺して憂いを断つのでしょうが、おっちゃんはモンスターに立場が近いせいか、双方に血が流れない解決を目指すようです。
実際アベルに直接交渉した結果、彼はこのまま村を去る事を承諾…。
「やってきた冒険者があんたらでよかった」
と言い残して出ていきました。虎はいなかった、という形がになるので依頼としては失敗。
「そうか 虎はいなかったか よしよし」
ギルドマスターは何か知っているようで…。
そんな感じで、おっちゃんはモンスターと人間の間を取り持つように動いて行きます。
アンデッドの大量発生を解決するためにファントムナイトの心残りを解消したり。
かと思うと債権踏み倒して屋敷をダンジョン化して閉じこもり、冒険者を引き込んで金を稼いでいる魔術師には断固たる態度で接したり。具体的には自腹切ってギルド最強クラスのパーティを差し向けるw
一本筋の通ったおっちゃん、目立たず暮らしたいと思いながらもいろんな人から一目置かれるようになっていきます。
ある日、おっちゃんはサバルカンドのダンジョンの暴走が近い事を感じます。
ダンジョンはその内包する魔力でモンスターを生み出しているのですが、暴走するとモンスターの生成が止まらなくなります。ダンジョンの外にモンスターが溢れ出し、街はモンスターで埋め尽くされる…!
「しのいだところでその後は絶望や…」
暴走したダンジョンは魔力が枯渇…魔力の支えを失ったダンジョンは一気に崩落 街はまるごと地下に消える…。
逃げなきゃいけない、と思いつつもギルドの皆を見捨てられない!ギルドメンバーを指揮して住人を助け、ギルドに立て籠もるおっちゃんたち。
立て籠もるのはいいが、助けが来る前におそらくダンジョンは崩落する。
「アリサはん 笑えん冗談みたいな話があるんよ」
瞬間移動の魔法が使えるから、自分とあと一人くらいならとなり街まで逃げられる…と冗談めかして提案するおっちゃん。
「嬉しいけど私はここに残る 冒険者のみなさんをお迎えしないといけないもの」
すごくいい表情で笑うアリサ。覚悟を決めるおっちゃん。
「おっちゃんなーー ちょこっとダンジョン調べに行くつもりや うまいこと原因が解ったらこの状況を逆転できるかもしれん」
シェイプシフターの姿でダンジョンの奥へ向かうおっちゃん。目指すは最下層…!
冒険者なのにほとんど戦闘で決着がつくことがありません。…いや、テーブルトークRPGをやっていると結局戦闘を避けるのが最適解、て事はよくあるんですが。
そういうテーブルトークの匂いがそこかしこに残っています。栗橋先生はもちろんですが原作の金暮先生も経験者なんでしょうね。
その手の立ち回りではなんともならなそうなダンジョン暴走をどうにかしなければならない状況になってしまいましたが、おっちゃんに果たして打てる手はあるんでしょうか?
どちらかというと、途中で姿を消したギルドマスターが何か鍵を握っていそうな気がします。てかあの婆さん、おっちゃんの正体気付いてますよね?
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