「ゴルゴ13」スピンオフシリーズ第2弾。デューク東郷の遺伝子を受けた少女「聖なる怪物」ファネット·ゴベールを主役に据えた新シリーズ、待望の第1巻です。
幼少時に偶然からGからの輸血を受け、そのときに紛れ込んだGの幹細胞が少しづつファネットの体の中でGの血液を作り続けて、いつの間にか小型ゴルゴが出来上がってしまった…改めて書いてみるとつくづく無茶な話です。ですがまぁそういう事にしておきましょう。下手に彼女がGの娘だと確信したりすると命が危ないw 一生狙撃を恐れて暮らさなければならなくなります。
収録エピソードは、停止した航空管制システムのバックアップを動かす為に古いプログラム言語“プロローグ”を使いこなす老人を送り届ける「いにしえのプロローグ」。
ネパールの知人の少年を助ける為に中国資本のミネラルウォーター工場…実は麻薬ルートに睨みを効かせる為の要塞…でグルカ兵とやり合う「THIRD EYE」。
サン·リュカ中学に飾られた油絵の盗難事件に端を発するファネットの後輩誘拐事件を解決「天使の箴言」。
ジョージアで狙撃手として育て上げられた少女を生かして連れ帰ろうとファネットが苦闘する「カフカスに花咲きて」。の4本。
…絶対中学生の女の子が関わる事件じゃないよな〜。
中には少々おとなしいエピソードもあるんですが。「天使の箴言」は偶然から中学に飾られている絵にセザンヌの作品が塗り込められている事を知った落書きアーティスト集団が、絵を盗み出すときにファネットの後輩フランソワーズを巻き込んで誘拐する形になってしまいます。
「ひ、人の物を盗むのは悪い事ですわっ!」
困ったことにこのアーティスト集団“レボルシオン”、フランソワーズに絆されて反省してしまいますw 元々そう性根の悪い奴らでもなかったんですね。結局裏の絵画ブローカーが出てきて、そいつをファネットが懲らしめる流れにはなるのですが。
ゴルゴ本編では考えられないほのぼのエピソードです。メインキャラが子供であるが故の落とし所なのかもしれません。
ゴルゴ絡みのキャラとしてはプサール警部。#106ことゴルゴとファネットに関係があると考え、彼女を通じてゴルゴに繋がる糸口を捉えようとします。実際ほとんど関わりないので大抵は空振りに終わるんですがw
「…待て! あの娘が#106に協力しての作戦中だとすれば、もう少し待てば奴がお出ましになるはずだ!」
…ときどき本当に見守ってたりするのが始末に悪いところなんですが。大抵関わってくるのは常識外れの距離から届く銃弾一発のみ。状況証拠はあっても物証を一切残さない、ゴルゴらしい手の出し方ですw
ファネットが抱える問題はそれだけではありません。徐々に発現していくGの能力とともに増していく暴力衝動。危機に際して躊躇なく相手を殺しにかかってしまうその衝動は“こちら側”で生きていく分には不要な力でしかありません。
「恐怖に心を呑まれてはいけない…私の中を流れるこの血を、制御出来るようにならねば… あの方が伝えてくださった忠告を必ず守り抜くために…」
「ジーザス」「闇のイージス」などの藤原芳秀先生がさいとう·プロに入られたようで、よく見ると従来のさいとう絵じゃないタッチがあちこちに見られます。プサール警部なんか特徴的ですね。
べつに悪い話ではないんですが、藤原先生のオリジナルもまた見たい気もします。七月先生、「ジーザス」新エピソードやりませんか…?
コメントを残す