モスクワ2160 1巻

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 「ゴブリンスレイヤー」蝸牛くも先生原作、「ニンジャスレイヤー殺」の関根光太郎先生作画…スレイヤー繋がり? どうにも尖った組み合わせで題材がソ連?攻めてるなぁw

 “ソ連”が崩壊せず、2世紀も冷戦構造の緊張感が続く世界。

「俺はこの街の美化活動に貢献している 《掃除屋》として」

 主人公ダニーラ·クラギンの独白。彼の仕事はもちろん清掃員などではなく、街の揉め事を主に力づくで解決する、要するにトラブルシューター。「存在否定可能人材」とか物騒な呼び方をされる…まぁゴロツキです。

 身体部位を機械に置き換えた機械化兵がうろつくモスクワの裏町で最低の裏切りに会いつつもダニーラは生き残っていきます。

「言ったろ?俺にも家族…落とうと一人に異母妹二人 …そして恋人がいる 生憎とまだ死ねねぇよ」

 その恋人、幼馴染スターシャはバレリーナ。ピスケン一座のトップ。ミス·モスクワの呼び声も高い…が彼女に会うのに金が要る。

「スターシャは誰にでも股を開く売女じゃあない 一流の女優なんだ あの子はあんたを甘やかしすぎてるね あんたみたいな一山幾らの一流の掃除屋なんて吐いて捨てるほどいるんだよ」

 座長のマダム·ピスケンです。掃除屋として名を挙げても所詮こんなもの…いろいろやるせない事情が一度に察せられるセリフの応酬です。

 やるせない事情が滲み出ているのはソフト関連もですね。サイボーグ化が可能(コストは大分かかりそうですが)なほどハードウェアが発達しているのに、ダニーラの妹《電脳屋》マリーヤが使う端末はスーツケースみたいなデカい機器。しかも受話器をカプラに置いて通信…WiFiじゃないどころか懐かしのアナログ音声だと!?

 更に情報は小型のプリンタで印刷して手渡し…スマホまで行かなくとも個人端末すらない、ということ。

 おそらく東西で通信網の接続が出来なくてwwwの発展がほとんどなかったのだろうと思います。この状態で義体の制御とかどうやっているのか不明ですが。

 情報通信系は独特の発展を遂げたものと思います。結果的にサイバーパンクとは違う、スチームパンクに片足突っ込んだ油臭い世界観の構築に成功していますね。

 なんたってダニーラのメインアームの機関銃がストックに打撃用刃がついてたり銃身に硬質ブレードの端材巻き付けてあったり格闘上等のカスタムが施してあって、しかもドラムマガジンw コンセプトが正面衝突してる趣味全開のブツですw いやこういうの大好きなんですが。

 『水族館』軍参謀本部情報総局と経済局の予算削減にまつわるゴタゴタで命を狙われた議員の護衛として雇われたダニーラ。特殊部隊スペツナズと、最新型スーツに身を包んだ謎の暗殺兵シャスチ·ルサールカ少尉に襲われます。

「端材で補強した機関銃…!? 時代遅れのがらくたでよくも私の邪魔をしてくれる…!!」

「今朝がた知り合いから古臭い上に間抜けと言われたばかりでね…!」

 あぁ、やっぱりあの機関銃骨董品なのねw

 “玩具屋の隣”『機関』KGBの鼻先に転がり込む事で情報総局が手を出せなくして逃げる、というソ連ならではの複雑な権力関係を利用した展開も見事。

 冷戦に疲れ切ったモスクワのディストピアっぷりがこれでもかと詰め込まれて退廃的な雰囲気がたまりません。

 どこかで見た事あるような…と思ってネットを見ていたら「シャドウランそのもの」という意見を見て「ああ!」と腑に落ちました。

 自分の体にサイバーパーツを埋め込んでガシガシ銃を撃ちまくるw あとは魔法かあれば完璧w

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