あの日 俺達は全てを奪われた だから今度は…俺達が奴らから奪う番だ
神は鏖(みなごろし)だ
ひでぇモノローグで始まりました「神殺-かみそぎ-」です。作者爾弥餡丸先生はこれがデビュー作らしいですが、ジェットコースターのような勢いと構成力は新人とは思えません。ペンネームは全力でふざけてるんですが…w
日本(ひのもと)に突如侵攻を始めた神々。土着の妖をまとめ上げ、人間の国々を瞬く間に滅ぼしていきました。
その侵攻を受けた国のひとつ、聖国は燕姫ひとりを残して敗走していました。
「ここにもまだいたか 人間」
穴のような空間を越えて現れた異形の神と妖たち。燕はまったく動けません。
「本能が即座に私にこう理解させた 『人に神は殺せぬ』」
首に触手が巻かれる。
「…いつか必ず…お前達を殺す者が現れる…“神殺”の名に震えるがいい」
「愚かな…まだ解らぬか? 神を殺す力がなど存在せぬ」
嗤う神の…横っ面を蹴飛ばす男!
「…ようやく見つけた」
「…この国へ来てずっとお前らを探していた… ようやく…殺せる 天ツ神『天大苦嘛(あめのおおくめ)』
神の名を知るこの男は背中に…
「ヒルコ お遊戯の時間だ」
手も足もない女の子を背負っていました。その女の子が吐き出す異様な刀は妖たちをこともなげに撫で斬り。
「神は鏖だ」
顔の十字傷から血を流して嗤う男と、その背で無邪気に笑う女の子。
「成程 動きだけは大したものだ だが所詮は人の領域よ」
火球のようなものを吐き出して男をを追い詰める神。燕が男に話し掛けます。
「何者か存じませんが…そんな子供を背負ったまま闘うなんて無茶です…! 私が先導します!ここは一度避難を…!」
「黙れ 俺達に構うな」
…取り付く島もありません。
「俺達をお前ら如きと同等に考えるな この程度の神相手に尻尾を巻いて逃げられるか 弱い奴にウロウロされたらかえって邪魔なんだよ 解ったらとっとと失せろ!」
あまつさえ無茶苦茶な暴言吐いてますが。
その瞬間、背後から襲う特大の火球!咄嗟に燕を突き飛ばす男。命を拾った燕が見たのは女の子を捉えた神の姿でした。
その胎に宿る力に興味がある、と神。胎を裂いて中を見る、と。
燕が割って入ります。
「…その手を離しなさい…! たとえ貴方達神が如何に強大な存在であろうとも…私達人間の宿命…その主であろうとも…! このような幼き子供の命まで…奪っていいはすがありません…!」
燕に神を止める力などありません。彼女が刺し貫かれようとしたその時、逆に神が引き裂かれます!
「ヒル…コに触…るな 殺すぞ」
刀を咥えた真っ赤な姿。神を引き千切るその異様な姿。
「…貴方は…一体…?」
「神殺」
国を救う手助けをしてほしい、と頼む燕を無視して去ろうとする男。
「…にいや …おねがい…ひめさまなおはなし…きいてあげて ヒルコ…あのおひめさますき…♡」
ヒルコに懐かれ、男に“案内役”としての同行を認められます。
「お前が神からヒルコを庇った時僅かに…本当に僅かにだがヒルコがお前を認めたのかもしれん …とはいえ結局ヒルコを助けたのは俺だ!飽くまでもヒルコの一番は…」
…シスコンか!w ろくに名も名乗らないからにいや…「兄哉」が名前の代わりになってしまうしw
神々は人間の持つ「魂」が力の源。天上から神が降りてきたのは魂を収穫するため。
日蝕の時、その魂を捧げる事である神が降臨する。その神の名は『天光(あまてらす)』。 天上を統べる三貴神の一柱にして神々の最高神。つまり今回の地上への侵攻の元凶。 これを殺す事が出来れば…。
「…喜べよ燕姫 今日俺が奴を殺し…神の時代は終わる」
天界への道が開く山、修験道の頂上で待つのは虫の神「天鴛匪(あめのおしひ)」。
「芥のように殺してやる お前らが蔑む…“人間”であるこの俺がな」
悪鬼のようなあの姿で虫の神をバラバラにする兄哉。
「ごちゃごちゃ五月蝿ぇ …前座はもういい 時間だ “日蝕”が始まる」
天が割れる。巨大な目玉が覗く。
「こおろ こおろ こおろ こおろ」
ヒルコが歌い、兄哉が天の裂け目に飛び込んでいく。
「その後 兄はどうなったのですか? 燕様」
…時が跳んでます。片目片手を失った燕と成長したヒルコ(手足もある?)が話しています。
「心して聞くがいい 無謀にも…天光に挑んだあの男の話を …兄哉は その日死んだ」
凄いスピードで話が進みます。1巻で起承転結の転まで進んでしまったような感じw
“神が敵”なストーリーだと「アンデッドアンラック」とか、なろう系で話が煮詰まって来るとラスボス扱いで出てくる奴などか思い出されます。本作だと神側の幹部クラス「六道仙将」の話からも、人間を滅ぼす事が何か大きな流れの為に必要…と言う事のようです。 だからって黙ってやられる義理はありませんが。
ならば神殺の力とはどこから来たのか、神の計画を邪魔した後おそらくもっとヤバい事態に陥るけどそれをどうするのか…辺りが課題になって行くのかな、と思います。
…でもこれって第一部が終了して続編で…って感じのエピソードなんだけど…このスピードだと3巻あたりでやりそうだなぁw
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