巨神姫戦記 2巻

https://amzn.to/3p8JdQO

 魔獣“百本剣”を倒すための剣を鍛えんとするツチマルとホムラヒメ。

「カヌチの剣ですら斃せなかった魔獣に俺の剣が挑める機会は得がたきものです…」

「ツチマルが殊に励みしゆえ 私とて頑張(おもいはげ)まんとすなり」

 ヒメはよろこんでツチマルに手を貸していますが、やはり消耗は大きい。

「これでは次の新月に焼入れは難しいか…」

 そんな時、ハヤチヒコから吹子がプレゼントされます。

「私の風もそなたらの鍛冶の一助にしておくれ」

 タタラに不可欠な吹子!しかも神力入り!ホムラヒメの火は数倍の火力となり…新月の夜。

「月の在らねば夜はまこと闇きや…」

「ええ だからこそーー火の色もよく見える」

 あぁ、色で炎の温度を見極める為に、より暗い夜を求めたのですね。現代では分かりづらい感覚ですね。

 そして完成した剣はハヤチヒコの手に。

「御二柱もの御神力で造られた剣です」

「神の力はただそこに在るのみ それを用いて何かを造るは人の業 見事 神力を使い剣を造り上げたるはそなたの功だ」

 百本剣と対峙するハヤチヒコ。

 百本剣が吐き出すブレスをも切り裂き、距離をつめるハヤチヒコ!

 ブレスを裂いた剣には木目のような模様が…ダマスカス鋼か! 種類の違う鋼を何重にも重ねる事で強度と粘りを実現する…ツチマル一人で鋳造の歴史を何年進める気だ?

 ハヤチヒコの神力を込めた一撃は遂に百本剣の頭を貫く! 沸き立つ巫人たち。

「げに変な魔獣なりきやったな 頭に目あらずして尾に目ありける…」

 …ヒメ様?

「ッ…、なぜそれを早く…」

 百本剣の尻尾が動き、ハヤチヒコの肩を一撃! その尾には確かに目が!

 ホムラヒメは以前百本剣からツチマルを庇った時にこの目を見たらしい…。

 鸞を通して情報を聞いたハヤチヒコは一瞬で魔獣の後ろに回り、尻尾を切断!

「尾が本体であればいくら胴を斬っても斃せぬわけだ…」

 これに気付いたホムラヒメ。そしてこの剣がなければ頭同様尾も斬ることは出来なかったであろう。ハヤチヒコはそう断じます。

 ツチマルはツチマルで、二柱の神の力がなければこの剣は出来なかった…カヌチの剣にはまだまだ遠い、と自戒して…。それでも手応えはあったようです。

 カヌチの手掛かりがあると思われるアキツ巫へ向かう事になり、ウチフ巫とは別れる一人と一柱。

 道中、同年代?の女神カグルリヒメノミコトが戦っていた魔獣にホムラヒメが止めを刺してしまい…「どこ巫のモンじゃワレ」と因縁付けられてしまいますw

 どうも神格が成長するためには魔獣を斃す事が必要らしく、獲物を横取りとかすると揉める事になるらしい…。そしてそういう基本的な事をホムラヒメはまるで知らない!

「決闘(すもう)よ!」

 四股一発で土俵を作り出したカグルリヒメはホムラヒメに決闘を挑みます。負けたらツチマルはカグルリヒメの巫…ユガチで十年働く事に…!

 で、ホムラヒメとカグルリヒメで巨大女相撲…というある意味ニッチな嗜好の勝負が展開されますw ネット検索してみてもこの場面ばっかり出てくるもんなw

 カグルリヒメは大地神。地面に接している限り小揺るぎもしない、という相撲チートの持ち主。

「なれば…加減は不要や」

 ホムラヒメ、大喜びで張り手乱打!武神の面目躍如です。

 カグルリヒメが反転攻勢に出て体が浮いたところを押し切ろうとするホムラヒメ。土俵際で踏み留まりますが…ホムラヒメは土俵を踏み砕いてカグルリヒメを倒し! ホムラヒメの勝利です。

 …本来、神は先輩の神からいろいろ教わったり巫を分けてもらったりしていくものらしいのですが、ホムラヒメは荒野にただひとりで居たらしい。

「ツチマルはーー初めて私の名を呼びたまいし者や」

 つまり長いこと誰にも話しかけられない状態だったという事で…おそらくそれは異常な事です。ホムラヒメの出自にも関わる謎だと思います。

「とにかく アンタがこれ以上他所の巫に迷惑かける前に 私が神のとしての心得を叩き込む!」

 面倒見いいですね、カグルリヒメw

 そのまま「御柱式」にも二柱で出席。

 御柱式とは神が天に還る祭。地上に遣わされた若神は魔獣を狩り、成長して天に還る。その最後のサイクルが御柱式。幾つもの巫が集うにぎやかな行事です。

 大きな光の柱となって消え去る神。ホムラヒメもいつかこうして光になるのでしょうか。

「それより先に 私は寿命を迎えましょう」

 ツチマルはホムラヒメにぼそりと答えます。神と人のタイムスケールはかほどに違う。それは悲劇であるのか…。

 その御柱式の夜。たくさんの舟が集まる祭会場を魔獣の群れが襲います。

 最初こそ慌てはしましたがすぐに体制を整える神々。

「油断しないで!」

「かたじけなし」

 カグルリヒメとホムラヒメも防衛に参加します。そんなに強い魔獣はいないようですが…その中に神の姿が。赤い刃の矛を持ち、神を刺し貫く!

「ハッ ハハハハハッ ハハハハハハ!!」

 その姿は…魔神?

 ツチマルはその矛に見覚えが。

「赤い矛…錆ではない…なら赤い鋼…?? どんな鉄を…? それよりあの姿…!あれは…カヌチの…作…」

 魔神は呟きます。

「さあ 神も人間も 鏖だ」

 魔獣と神が対抗する関係である事がはっきりしました。魔獣が人間を食う事からして、人間→魔獣→神の順番で造られたのではないか…という推論はできます。そういうシステムだとしたら、カヌチは何がしたいのか?単純に均衡を壊したいのか?そしてそのサイクルから外れているっぽいホムラヒメとは一体何なのか?更に現れた魔神とは?

 いろいろわかってきたけど更に謎も増えています。ともかく、ホムラヒメが泣くような展開にならないように…。

 あとどうでもいいですが、ドリル巫出ましたよ!ムラごと地下を掘り進むとか…ユガチ巫行きてぇ〜w

コメントを残す