接客無双 1巻

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 「剥き出しの白鳥」「ミタマセキュ霊ティ」等、割と無茶する系ギャグマンガ家鳩胸つるん先生の最新作は…おもてなしがテーマ。

 …なんですが、この人がマトモに描くわけありませんwクレーマーを接客でなぎ倒す「接客無双」です。

 町中華あじまる。シャッター街にただひとつ残った店舗。

「うちの店大丈夫なのー?」

「なんとかギリギリ…アウトだ」

 看板娘れんげと店主厳の会話です。アウトじゃダメじゃん!

 そんなあじまるの前で行き倒れていた変な男。

「驚かせてしまいすみません 俺はナスノスケ 怪しい者です」

 あ、自分で言っちゃうんだ。

 俺はさすらいのウエイター…とか説明を始めましたが腹の音がうるさくて聞こえない!

 しょうがなく厳が賄いのタンメンを出すのですが…。

「何の対価もなくこれを口にして 俺の良心はこのスープのように透き通っていられるだろうか」

 …とりあえず無料で食っては申し訳ない、と思っているらしい。

「こうしましょう」

 いきなり外でタンメン食い始めるナスノスケ。店内へ戻そうとする厳を避けながらタンメンをすする様は正にパフォーマンス!…なんだそれ。

 ストリートパフォーマンス(?)につられてギャラリーが集まって来ます。

「ナスノスケ 一気いかせて頂きます」

 スープをシャンパンのように一気飲み!

「史上最高のタンメンよいしょお!」

 何が何だかわからない盛り上がりのまま店になだれ込むギャラリー!あじまるは大入満員です!

「これがメシ奢ってもらう方に対する俺なりの礼儀です」

 さらにナスノスケがホールに入ると凄まじいスピードの接客とパフォーマンスで客を盛り上げつつホールを回す! ですが

「こっちお冷やまだかねェ 席着いてもう16秒も経つんだがねェ」

 やたら細かい文句をつけてくる客。

 通称“ストップウォッチの関口”。商店街のブラックリストにも載っているクレーマー!店のあらゆる接客を逐一計測してクレームを入れてくる要注意人物! …ヒドいにも程があるw

 一瞬でお冷やを出すナスノスケ。

「お待たせしましたお客様 ご注文はお決まりですか」

「では 冷やし中華を7分以内にお願いします」

 時間切るのか、根性悪いな。

「では提供までの時間を計測させていただきますね よーい…」

「お待たせしました 冷やし中華です ごゆっくりどうぞ」

 一瞬で出てくる冷やし中華w 関口が店に入った瞬間から「急いでいる」「猫舌」などのプロファイリングから「冷やし中華を注文する」事を予想し、あらかじめオーダーを通しておいたのです。ねーよw

 ですがれんげは「なんて洞察力なの…?」と素直に驚愕していますw

「店員叱りつけてストレス解消に来たってのにこれじゃクレームいれられねえじゃねぇか…ッ」

 最低のモノローグかましてくる関口。天罰と称して持参したカナブンを皿に…!

「キュイエエエエ カナブンはいってんじゃねぇかァああ」

 盛大にクレームつけ始める関口。ホント最低だ!

「体調は大丈夫でしょうか…カナブン様」

 カナブンを接客するナスノスケ。ヤバいぞこいつw

「なんてヤバい店なんだーっ」

 リアルタイム動画配信を始める関口!現代はこれがあった!

 動画に撮られている中でカナブンを磨き上げ、踊り始めるナスノスケ…?

 カナブンの輝きで「ご来店ありがとうございます」の文字を描き出す!当然動画は大バズり!

 旗色悪しと見て帰ろうとする関口にカナブンを突きつけるナスノスケ。

「お客様 お忘れ物です お客様のものをぞんざいに扱うことはできませんから踊らせていただきました」

 ナスノスケはカナブン乗せの瞬間を捉えていました。鏡のように磨いたお盆に写して!

 逃げ出す関口。逃げながらSNSにあじまるの悪口を書きまくって評判を落とそうと…最後までセコい!

 追うナスノスケのフライング頭突き!

「おもてな式奥義…“本日はご来店頂き誠にありがとうございました”」

 確かに頭は下げてるけどさ…。

 クレーマーを退治したナスノスケ。金もないのであじまるに住み込みで働くことに。

 ですがそれはあじまるがクレーマーの標的になる事でもあり…てかプロのクレーマー組織“九礼無”に目を付けられる事になります。

 九礼無の依頼主は大企業ヘヴンアンドアイホールディングス。商店街をショッピングモールにする為、未だ頑張っているあじまるを潰してしまおうとしていたのです。…ここだけ妙にリアルでなんかヤダぞ!

「しかし仮にも名の知れた大企業がクレーマーを使ってお店を潰すのはいかがなものか」

 ナスノスケがまともな事言ってるのが凄え違和感。

「例えば この商店街をまるごと復活させたら? ショッピングモールに負けないくらい集客できたら撤退せざるを得ないですよね」

 更にまともな事言ってる〜!?

 変態クレーマーを飽くまでおもてなしして撃退する変態ウエイターの話…なんですが、実はバックボーンがしっかり考えられていたりする。おかげで馬鹿に変な説得力があったりするのが困ったところw

ナスノスケにも凄絶な過去とかある気がしますね。もちろんバカの下地になることは間違いないんですがw

 連載分ではジャンプ伝統の大会…接客力を競うおもてなし大会が開催されています。

 接客ネタ一本でどこまで行けるか、「遥かなるマナーバトル」にも通ずるアイデア勝負、頑張って頂きたいです。

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