「Q.E.D.」シリーズ、「C.M.B. 森羅博物館の事件目録」等、今や押しも押されもせぬミステリーコミックの巨匠、加藤元浩先生の新連載はオカルト絡み? いえ、そんな単純じゃありません。
「ないない堂 〜タヌキ和尚の禍事帖〜」は森深い田舎町で起きた事件…人ならざる者が関わっているとしか思えない事件を人の手に取り戻し、解決していくお話です。一部妖しいのも居るには居ますが…。
古崎幸介。2回めの司法試験落選!彼は支援してくれた祖父との約束通り、僧侶になることに。
「田舎の山寺が廃れてしもて檀家さんが往生しとる 人助けや思て行ったってくれ」
「わかったけど条件がある 弁護士の勉強は続ける! 母さんとの約束だから」
やはり弁護士だった亡き母が言っていた事。何故悪人の味方をするのか、の問に
「真実は時に…生命が宿ることがあるからよ」
と答えた、その意味を知りたくて。
「そや!行く前に確かめておきたいんやが お前怖がりか?」
…えぇ〜。
そして幸介は「多貫(たかん)」の戒名をもらい、巨大な湖のほとりの小さな町にやって来ます。
無人駅やらコンビニがない、などカルチャーギャップに苦しみながらもお寺…七狸山万済寺に辿り着きます。
「ほなら念のために聞きますけど 和尚さん怖がりですか?」
鍵を預かってくれてた檀家のお婆さんもこれです。ホントに何かあるの?
更にお寺のふもとには鍵を咥えた狐を構えた「ないない堂」なる変な店が…。
「ないない堂店主 狐坂銀花です! 報酬次第迅速解決!特急料金ございます!」
失せ物探し、という胡散臭い仕事内容、森林内を自由自在に飛び回る驚異的な運動能力、探している内にフと答えの画像が浮かぶ「見通し」なる能力…ミステリーに出すにはかなりギリギリなキャラですね。
この銀花と「七狸山」だけに多貫を「タヌキ」と間違えられてしまった幸介ことタヌキ和尚が組んで不可思議な謎を解明していきます。
鍵のかかった井戸の中で溺れ死んだ女性の謎、有名画家の子孫が火の気のないところで焼け死んだ「油坊」の謎…。
そこには誰かを押し退けてでも利益を得たいと考える身勝手と、どうしても譲れない何かを護ろうとする真心とがありました。
隠された真実を明らかにする仕事は、母が言っていた「生命が宿る真実」に至る道なのではないかと感じる幸介。
「探し物があるなら探したろか?特別料金で」ともちかける銀花に
「いらない 自分でこの町で探すから」
と返す幸介…もといタヌキ和尚は、ひとつ迷いを解消したのではないでしょうか。
今のところ理数系に強いタイプがいなそうな「ないない堂」メンバー。これまでの加藤ワールドとは少々毛色の違った話になりそうですw
あと、どうでもいい話ですが「ないない堂」の舞台はおそらく滋賀県、「巨大な湖」は琵琶湖ですね。加藤先生の地元が滋賀県だそうですし、和尚と銀花が入り浸る「カフェ幻の湖」…これ多分伝説のクソ映画「幻の湖」から取られてまして、この作品の舞台が琵琶湖畔。ネタ元がマニアック過ぎない?w
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