カムヤライド  9巻

 オウス、モンコ、オトタチバナと天津神五体が暴れる場にヤマトヒメと黒盾隊も追いつき、その激戦にワカタケはその場を離れようとしますが…。

「尚更見逃せないわね」

 とヤマトヒメ。ヤマトのときとこちらの戦力は同じ、敵ば以前二体に対して今は五体。

「どれだけオウスちゃんが兵器として仕上がったのか 比較対照できるじゃない」

 マッドな表情で笑うヤマトヒメ。オウスが親戚とかまるで気にしてないですね。

 イシコリドメ…アマツ·ミラールの攻撃に身体を硬化させて耐えるオウス。しかしオウスの攻撃も通らない!

「この剣では威力が足りない もっと あの時のようなーー」

 蟹の国津神『ヨコザラシ』の埴輪を取り込み、更に形を変えるオウス。イシコリドメの腹を刺し、更に蟹のハサミで挟み込んでぶち切る!

 モンコと対するのはウズメ…アマツ·ダンサント。

「前回は三本目まで使ったっけ? じゃあそこから再開しよう」

 あれから色々思い出した、と対応するモンコに地面を抉り取って動きを封ずるウズメ。止めを刺そうと突き出した足が…止まる?

「成程 異形ではありますが関節の仕組みは人間と同じなのでごさいますね そうでありしたら私もやりようがございます」

 タケゥチがウズメの足を抑えていました。…生身で! 柔術の術理なのでしょうが、全く違う構造の生物に効かせられるのは凄まじい腕前と言わざるを得ません。更にウズメを投げる!

 モンコに話を聞く為、事態を収めたいのが本音のようですが、平気な顔で怪物を煽るその神経…タケゥチヤベぇ。

 空いたモンコにはコヤネ…アマツ·ノリットの音の攻撃が!

「目の色が違うな」

「うん あの時戦った僕じゃないよ この星に来て見る物全て下らないと思ってた」

「でも開けてみたら楽しかったんだ 全力を出したらもっと楽しい あの人がそれを教えてくれたんだ だから全力でお前を殺して! もう一度あの人に会う!! 開いた目であの人を見るんだ!!」

「だったらこっちも全開で応えなくちゃだな」

 …お互いの正体を知らずに殺し合う、変身モノのキツいところを突いてきました。

 イシコリドメを助けようと急ぐとフトタマ…アマツ·シュリクメに立ち塞がるオトタチバナ。

「そっちが神様だろうた何様だろうとお邪魔“盾”まつる!!」

 フトタマの鞭で打ち据えられるオトタチバナですが、そのダメージにはまるで構わず!

「『認知』?『予測』? そんなものが必要なのは『防御』を考えてる奴だけさ」

 メタルに食い込んだ鞭をそのまま抑え込み、セイバーを振るう!

 あ、タマノヤはノツチが合成した幻覚ガスで堕ちてますw てか効くんですね、その手のもの…。タケゥチの柔術といい、超能力はあっても基礎は同じなんですね。

「君の技の要点は腕よりもむしろーー地面を掴む足なんだね」

 基礎が同じということは理解すれば使えるということで…ウズメはタケゥチを目茶苦茶に投げつけます。

「私の仕事は情報収集でございまして」

 タケゥチは各地の地盤や水脈も把握している、と。

「ですから場所は知っていたのですよ あとはーー地面を叩く大きな槌が必要だったのでごさいます」

 地面が割れ、タケゥチはウズメと共に地下へ…。

「“勝てると思ってた”とお思いでしたか? まさかまさか 私は貴方の足止めが出来ればそれでーー」

「こンナンで…終わレルか!!」

 自らを引き裂くイシコリドメ。その下からは燃える身体が!

「この星ノ酸素濃度じゃア燃え過ぎチマうな…燃え尽きルマでに…手前ェを倒す!!」

 オウスの周りを駆け回る!

「こんなんで…!!終われないよ!!」

 音速の弾丸に対応され、バイクで打ち返されたコヤネ。やはり身体を引き裂き、風のような身体を見せます。

「この星の気圧じゃあ霧散しちゃう そうなる前に…お前を倒す!!やり遂げた僕を見せるんだ!!」

 バイクのスピードに追いつき、超音速の弾丸でバイクを破壊!

「まだやれる お前もだろ もっと来いよ お前を倒すにはまだ足りないんだよ」

 無事なエンジン部と車輪ひとつだけを身体に固定して走り出すモンコ。軽くなった分速くなる!追うコヤネは身体を破壊し、爆発的なスピードを出して追いつく!が、そこに飛んでいたのはエンジン部だけ。大きく弧を描く軌道の先でモンコは待ち受けていました。

「威力はいらない お前が持っているから 俺が全力を出すのは ただ一点を貫くーー針の穴を通すようなーー精密さ」

 果たしてモンコの…カムヤライドの腕はコヤネの顔を撃ち抜く!

 イシコリドメは片腕を千切ってオウスに投げつけ、カムナキラーの外装は吹き飛ばされて…。

「自慢の衣装は吹っ飛んジマったか? こっチは腕もう一本あルゼ?」

「気がすンダか?」

「はい ここでいいんです」

「そろそろ吹っ飛ばされたモンがーー」

「落ちてくる頃ですので」

 かつてモンコが使った手。投げ上げていた土剣がイシコリドメの肩から体内に潜り込んでいく!炎を吸収しながら剣はオウスの手に。

「手前ェ…やルナ…」

「貴方の炎 美味しく頂きました」

 炎を失い、人の姿に戻るイシコリドメ。オウスは更に異形の姿に…。

 何かの為に命を賭けて戦う姿に人も神も変わりありません。等しく尊いのにどちらかが退かねばならないのは悲しい事ですね。

 そして次々国津神を食ってどんどん形を変えて行くオウス。おそらく作中最強にも手が掛かる存在でしょうが、中身が一番空っぽなのも確か。このままヤマトでもコントロール出来なくなってラスボス化か?

 それもあまりに救いがないな…。

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