タタリ 1巻

 「犬夜叉」「うしおととら」等ダークファンタジーに一家言ある週刊サンデーが出してきた新連載。人といれかわった化け猫のお話「タタリ」です。

「きっと人生ってのは歯車のようになっていてーー僕はその輪の中をぐるぐる歩き続けるんだと思う ただ、ユキだけはこの輪の中から出してあげなきゃ」

 親から捨てられ、病気の妹をひとり育てていた少年、成川タケル。不幸のどん底で、それでも笑って暮らしていた彼は…何故か殺された。少なくとも誰かに恨まれる筋合いなど無かった。

 しかし翌朝、

「おい、そこのお前!!姿勢が悪いぞ!!猫背を正せ!シャンとしろ!!聞いているのか!?おい!!お前に言ってるんだ!! 成川タケル!!」

 普通に登校してきたタケル。これはタケルと友達になった猫…実は齢千年を越える化け猫「タタリ」が変化した姿でした。封印から逃れたばかりで弱っていたタタリと助け合って生きていたタケルとユキの兄妹。あまりに理不尽に殺されたタケルの無念を晴らすため、犯人を探すタケル…タタリ。

 タケルを殺したのはプロの殺し屋。香港に住むマフィアのボスが危篤状態で、その遺産は子供たちに『等しく』分配すると遺言が発表された。その継承者のリストに何とタケルの名前もあった! かつてボスが日本に訪れたとき、水商売だった母親との間にできた子がタケルだった、と。

 歯止めの効かない継承者たちは遺産の取り分を多くしようと『間引き』を始めており、その一環でタケルも殺された…。

 タタリにとっては人間社会の金など必要ありませんが、ユキの病気の治療の為にも、まともな暮らしをさせるにも遺産は必要ーー。

「安心しろよタケル、友達のよしみだ お前の願いは俺が全部叶えてやる… タケルとユキ以外の人間なんざどうでもいい どうせマフィアの稼いだ金だーー手前らの遺産 根こそぎ俺が奪ってやるよ」

 貧乏故にイジメられていたタケルの立場を(少々やり過ぎながらもw)少しづつ挽回していったころ、

「あ、やっぱり生きてた」

 「タケルを殺した」という誤情報を疑い、確かめに来た者がいたのです。

「“マフィアの継承戦”八人の遺産継承者が一人『ベルター·ルー』 その『専属妖怪』セツナ·アンデルセンだ 以後お見知りおきを♡」

 マフィアでも高位の者は権力、財力、暴力だけではなく人外のモノも戦力として揃えているようです。

 戦いの最中、冷気を操るセツナがユキに手を出す素振りを。

「しかし『ユキ』か…『雪』ね! いい名前だ 私と仲良く…」

「馬鹿が “雪”じゃねぇ “幸せ”と書いて『幸』だ 誰よりも幸せでありますようにと…俺とタケルで名付け育てた あの子に指輪一本でも触れてみろ… 祟るぞ貴様!!」

 セツナの全身を切り刻むタタリの爪!セツナの身体は雪となって消え…。

「あ 死んだ」

 …香港のゲームセンターで格ゲーやってるセツナ。

「…あの『雪人形』 結構妖力こめて創ったんだけどなぁ…」

 どうやらセツナは分身を創って別行動させられるらしい。また今回の事はセツナの独断専行のようで、成川タケルが生きている(専属妖怪がいる?)情報は現状彼女しか掴んでいないっぽい…。

 一旦は襲撃の連鎖が切れましたが、バレるのは時間の問題。こちらから突っ込む算段をしなければ。 …とかタタリが悩んでいたら

「成川くん 私と…陸上やらない?」

「君がその気になれば 今度香港で開催されるアジアJr陸上に出場できるかもしれない!!」

 隠しきれなかった化け猫の運動能力を同級生、速水アオイに見初められ、陸上の香港遠征メンバーに…とんとん拍子だなw

 これで香港まで一直線…とは行きません。

「安倍晴華 陰陽師の末裔です」

 いきなり現れた転校生はタタリの正体を知っているようです。というか千年前にタタリを封印したのが陰陽師たちらしく…。

 まったくタタリの話を聞かずに殴りかかる晴華。専門家だけあって効果的なアイテムも豊富です。そのまま押し切られるかというところでタタリ反撃!

「ふざけやがってェェェ 誰の顔を殴ってると…? タケルの尊顔だぞ!? 争う気は無えって言ってんだろ… 聞けよ!!話ぃぃ!!」

「化け物らしくなったじゃないか 化け物」

 体力勝負の陰陽師だw 陰陽師って印結んでるだけの印象がありますが、アクションも行けますね晴華くん。

 妖怪の意識と人間の常識の間で振り回されているタタリですが、とりあえず理解者も増え、継承者戦争に参入する方向で行くようですね。人間たちに絆されていく「とら」パターンになるのか。

 ただ、タケルの遺体が割と雑に隠されているのが気になります。こういうの結構見つかって主人公側が居場所を失っていくの…ありますよね。「タコピーの原罪」とか。

 河野くんやアオイちゃんとタケル話を盛り上がりすぎて引かれるような平和な展開も見ていきたいですねー。

コメントを残す