
現代知識を剣と魔法のファンタジー世界に持ち込んで、そのアドバンテージでウハウハ! というのが異世界転生モノのテンプレ。
その基礎たるファンタジーを履修している事が、この差異をうまく利用する為の必須条件であり…ぶっちゃけ生っ白いオタクを無理なく活躍させる為のガジェットだった訳ですが。
その辺とっぱらって、技術特化のファンタジーのファの字も知らない爺さんを転生させたらどうなるか? 「グランドワーフ」はそんな作品です。
「どっか(異世界)来ちゃった」
金属加工一筋に生きてきた町工場の職人、藤村匠70歳。大手の無理な要求に逆らって工場は倒産、自身も心臓麻痺で命を落としてしまいます。…が、直後に目を覚ます。若いドワーフの身体でw
近くにいた火傷痕と義手の少女フラウの義手を調整してやった事で仲良くなります。
「ま まるで伝説のドワーフのようですね」
彼女の話す勇者、魔王、魔法などまるで理解出来なかった藤村…フジムラですがフラウの振るう回復魔法を目の当たりにしてついにここが異世界である事を認識します。
「何70オーバーのおじーさんにゴリゴリの大冒険提供してくれてんだ〜〜」
大抵の転生者は最初は喜んで、後に理想と現実のギャップに苦しむんですが…。
即座に生活する手段を探り始めるフジムラさんw 現実的だわw
一緒に転移してきた工房で武器を作る!と決め、フラウの魔法の杖を(無理矢理)借りる。
いろいろ試している内に魔法具に使われている魔石の中央部…コアを取り出し、さらに加工する技術を手にするフジムラ。
なんかその過程でいろいろスキル獲得してるみたいなんですが(ステータスウィンドウにメッセージが一杯)、本人よくわかっていないw
杖を返してもらいに来たフラウの前に出てきたのは…銃?
「弾も銃身も俺オリジナルのコアメダル製でできた世界初の魔銃 やはり天才」
家宝の杖を…キレるフラウに大量の魔石を見せる。
「よく見りゃ岩ん中でも光って見えるし」
成分、強度、名称属性、コアの位置から加工箇所まで一目瞭然。
「何を言ってるんですか 誰も持っていませんよ そんな神のような眼」
ああ、やっぱりユニークスキルの類か。
魔石の匂いにつられてやって来た大型モンスター「メナシ」に
「そんな危ねー奴ならさっさと退治しねーとな」
フラウに銃を握らせるフジムラ。
「む…無理です…私は回復職」
「恐いんです こうやってただ立ってるだけでも」
「大丈夫 信じろ 52年間ぶっ叩き続けた俺の技術を」
その一撃はメナシを一蹴!
「出力反動安定 完成だ」
「まーこの3か月だいぶ試作を重ねたからな 子供から年寄りまで誰が使っても安心便利 俺の理想の道具だ」
メナシを狩ってひたすら調整を続けていたらしい…アフターケアまで完璧かw
「喜べ 俺がお前を世界最強の勇者にしてやろう そして俺の技術を世界に証明してやるよ 獲物は頂点 魔王 わかりやすいだろ?」
片腕のヒーラー、フラウは魔王討伐の旅に出る事になりました。
まずはこの国レロッソに新しく出現したダンジョンに最初に挑める権利“ファスト”を得る為、王都キャルドニアへ。
選抜会にはフラウの元いたパーティ、「シデン」も参加していました。フラウはこのパーティに使い潰された感じなのですが、シデンのリーダー、ヴァルクは悪事が露見しないよう、彼女が戦闘中に仲間を見捨てて逃げ出した…という噂を立て、彼女は「裏切りのフラウ」の二つ名でつまはじきにされていました。
選抜会会場。突然キャルドニアの街を襲う魔物の群れ! ヴァルクの進言もあって選抜会はモンスター討伐に変更。
ヴァルクを先頭にモンスターに襲い掛かっていく冒険者たち。しかしフラウはケガ人の回復に向かいます。
「私はヒーラー 目の前で倒れてる人を放っとくことなんてできません」
シデンは他の冒険者たちを盾にしつつボスモンスター、ゴブリンロードを相手取っています。
「あいつをバラせばわかりやすくファストだ」
負傷し、死にかけた冒険者たちを次々救っていくフラウ。
「大丈夫か嬢ちゃん 魔力量ってのも限界があんだろ そんなガンガン撃ちまくったら嬢ちゃんの命が持たねーぞ?」
「それでも私は 撃ち続けます」
ゴブリンロードはヴァルクがトドメを刺し、討伐完了。その過程でシデンのメンバーのエルフ戦士が瀕死の重傷を負い、
「ホント使えねー奴 クビだな」
あっさり見捨てようとするヴァルク。
…フラウはそのエルフすら回復して自分は倒れてしまいます。
ファストの発表。撃退戦の功績によって決まる…とのことで、下馬評ではシデンで確定。
ですが
「フラウ·フォン·フレイア 前へ」
冒険者たちは見ていました。自分たちを盾にしておいしいところだけ取っていくヴァルクを。自分の身を顧みずたくさんの仲間をたちを助けていったフラウを。その冒険者の中にはお忍びで紛れ込んでいたレロッソ国国王ガンドルフの姿も…。
「確かにお主は強い だがそれだけではいかんのだ 心なくしては全ては虚しきもの ワシがこの国のファスト…いや真の勇者に求めるものは一つ それは自身よりも他者のために強くなれる義心 決して折れず諦めず己を貫く 気高き信念を持った魂」
フジムラが肩を抱き
「たいしたもんだ 結局一発も攻撃しねーで選ばれちまったんだからな」
「まー今までいろいろきつい事もあったろーが胸を張れ お前がやってきたことは正しかったんだよ」
お約束を微妙に外した導入からの流れるようなザマァ系展開w こういうの、気をつけないと追放した側もされた側も胸クソ悪い、読むのに努力の要る展開になったりするのですが、フラウが非常にいい子なので爽やかな印象になっていますね。
フラウに積極性が足りない分、フジムラが昭和オヤジっぷりを発揮してガンガン引っ張っていく訳ですがw ネクタイ締めた作業服姿でレンチで殴ってくるドワーフってビジュアルでまず勝ちですわw
連載分では別の転生者(これもお約束)の存在が匂わされていますが、そっちも何かの職人?
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