阿鼻王地獄を出る 1巻

 地獄から逃げ出した亡者を連れ戻す「阿鼻王地獄を出る」、ありがちなネタですがいろいろ仕込みがあるようで…。

「お前 宗次郎か…?」

 閻魔大王が問いかけるのは獄卒の少年。地獄から罪人が逃げたので回収に行く、と。

 文官が怒り狂いますが、閻魔大王は「お前が行くなら任せよう」と。

 大王様、宗次郎の事知らなかったっぽいのにすごい信頼っぷりです。

 現世に現れ…神社に潜り込んで雨露をしのいでいた宗次郎w 参拝に来た女の子の言葉を聞きます。

「…昔 ここによく遊びに来ていた女の子を覚えていますか 名前は白石玲奈 一週間前から行方不明です 寂しがりで 連絡が途絶えたのは初めてです 事件とかに巻き込まれてないか心配です 会いたいです…」

 この少女 岩槻りずなに話しかける宗次郎。

「子供 失踪…詳しく話を」

 拝殿からにじり出てソレはほぼ怪談だw

 逃げ出すりずなを追う宗次郎。腰を抜かすりずなに…

「説得力がなくなりましたが本当に害意はありません ただ事件の話を聞かせてほしい 私は化野宗次郎 地獄から来た処刑者です」

 玲奈の行方をたどり、りずなたち4人の秘密基地へ。そこで見つけたのはマンダラゲ…別名チョウセンアサガオの種。毒草です。

 …現世で死者なり生者なりの身体に取り憑いた地獄の罪人は、地獄で責め立てられた鬱憤を晴らすため、現世で悪事を働く可能性が高い。

「白石玲奈は早く見つけた方がいい もし地獄の罪人が関わっているなら急がなければきっと死にます」

 結論から言えば玲奈は既に亡くなっていました。マンダラゲの毒で麻痺した彼女の首を切って殺したのは秘密基地を知る友人に取り憑いた罪人でした。

罪人の魂を引っ張り出す宗次郎。

「先代閻魔の言った事には 宗次郎は『地獄』と共に生まれた最初の地獄者 現存する魂への干渉法はほぼ全てあれの開発だ 特には肉体と魂の強制分離 即ち祟払い」

 更には人の身体を捨て異形と化した罪人を焼き尽くす!

「地獄は阿鼻から始まった 阿鼻を地獄に変えたのがあれの火だ 先代閻魔は畏怖を込めてあれを阿鼻王と呼んでいた」

 罪人を焼き尽くし、魂を地獄に強制送還する宗次郎。

 玲奈の死体も今ここで焼いてしまおうとします。死体が発見されれば友人が殺人犯になる。死体がなければ事件自体を消せる。

 …乱暴ですが丸く収まる手です。現世の法ではどうせ裁けないのだから、全てなかったことにするのもアリなんでしょう。

 りずなにも「任意の記憶を消去できる」となかった事にする道を示す宗次郎でしたが、彼女はそれを断り。

「あれからだんだん落ち着いて 本当に玲奈が帰ってこないまま日が経って 何度も現実を疑って 何度もあの日とあんたのことを思い出した 玲奈のことは今も辛いけど やっぱり記憶は消さなくて良かった」

 つらい事も飲み込んで生きる、それも生き方でしょう。そしてこんな目に会う人を減らす為、りずなは宗次郎を手伝う事に決めたようです。

 現世の事をまるで知らない宗次郎と現代を生きるJKりずなが組んで、隠れた罪人たちを炙り出していきます。

 罪人に超能力はあれどそこまで万能ではなく、とうやって犯罪を犯しているのか、誰に化けているのかは割と理詰めで暴ける作りですね。

 また謎と言えば、罪人たちが怪物じみた姿になっているのも宗次郎の想定外だったようで。

「蜘蛛の糸が垂れてきたから摑んだだけ」

 なんて言ってる罪人もいて…それはつまり「糸を垂らした奴がいる」ということで、何か黒幕がいる気配があります。

 まずは同じく現世に派遣されてきた獄卒、天晴と由雛と仲良くなる事でしょうか。この二人、今のとこやりたい放題してるだけだからなぁ…w

コメントを残す