劇光仮面 4巻

「おまえら… イタズラだな」

 藍羽ユヒトが変じたイソギンチャクのような“あれ”。実相寺たちは手に負えない、とレスキューを呼びましたが現場には既に“あれ”はなく。

「警察を呼ぶなら呼んでください! 本当に人が消えたんだ!」

 社会的に死んでも事を公にしようとした3人でしたが結局取り合ってもらえず。

 放っておく事も出来ず、3人は“あれ”が何なのかの考察から始めます。これが実際の現象なのか特撮なのか…そこから議論が迷走…無理もない。

 そんな中、地下アイドル「むるっち」とそのファン数名が廃墟となったロープウェイ駅で行方不明になる…という事件が発生。犯人は「身体がガラス化して爆ぜる少女」と「人間を折り畳める怪力男」。

 この少女の方は都市伝説「炙り少女」として一部で知られる存在でしたが、この事件は関係者全員始末された事で集団行方不明事件として処理され、忘れ去られて行く筈…でした。

 藍羽ユヒトを慕う少女、比留間りえ…マリエッティが実相寺と知り合い、「むるっち」が彼女と一緒にユヒトに助けられた…という事実を実相寺に話すまでは。

 2つの事件に関連があるかも知れない、と感じた実相寺たちは撮影会の現場…ロープウェイ駅を特定、調査に向かいます。

「見事だわ!これってまるで」

「特撮スタジオすね!」

 古びたロープウェイを見て心踊らせる真理と芹沢。少々不謹慎な感想ですが…。

「芹沢、僕らはそれでいいと思う “ない”ものを“ある”と思わせる特撮の視点を持っていた方が良い 警察も世間も信じてくれない怪異 そういうものに立ち向かうなら空想の翼も使わないと追いつかないんじゃないか」

 現場を探し回り、鉄製の手首を見つけた芹沢。真理は「炙り少女」の都市伝説を思い出します。腕がガラスなら手首もダミーなんじゃないか?

 一方、“あれ”の調査は科学的にもオカルト的にも行き詰まったところ、芹沢の別方面からのアプローチで思わぬ情報が。

 “あれ”の写真を粗大ゴミとしてネットに出し、情報を募ったのです。

 住人が行方不明になったアパートに同じ様なモノがあった、と…ビンゴ!

 清掃を請け負った業者を訪問し、担当した清掃員、鹿角亜門に話を聞きます。しかし鹿角はのらりくらりと話をかわすばかり。“あれ”についても知らない、と。

「あの!仮面被ってますよね?」

 突拍子もないことを言い出す実相寺。それにはちゃんと考えがあって…。

「突然あんなことを言われたのに 彼の瞬きの回数はメトロノームみたいに一定だった」

 瞬きの回数は思考とリンクしているから、あの場面では瞬きのスピードが変わらなければおかしい…。

「僕にはあのヒトが 瞼に“機電”を仕込んでるように見えた…」

 実際、鹿角はロープウェイ駅で人を折り畳んだ方のオトコであり…。

 クリスマスイブの夜。実相寺はロープウェイ駅で座り込んでいました。ミカドヴェヒターと同じ重量40kgの装具を身に着けて。

 スーツの重さとマスクの閉塞感に慣れるため、よくこうやってキャンプをした…と切通の脳内イメージと語り合う実相寺。

 …端から見たら廃屋で一人ぶつぶつ呟いてる訳で、相当危ないヒトですが…。

 そこへ突然現れる鹿角。そんな偶然はあり得ない!

「ストーキングしましたよね? 僕を」

 鹿角は“あれ”について何か知っている! 確信を持つ実相寺。

「ニ矢工房 くり二号受容体 それが“あれ”の名称だ」

「『人雷』とも言う」

 実相寺の腰から何かが飛ぶ! DVDに偽装したスチール円盤。それをミカドヴェヒターの抜刀装置で飛ばした! 鹿角の顔に刺さる!

「僕はこれから電波の届くところに移動して 警察に『人を刺した』って通報します それで僕は傷害罪で拘留されるけどあなたも事情聴取される」

「あなたには赤い血が流れてる だけど犯罪者だ 藍羽ユヒトを爆弾に変えた犯人 もしくは犯人の一味なんだ」

 鹿角の舌が落ちる。落ちた舌が膨れ…爆ぜる!

「消しに来たんだな 僕を」

 銃まで用意して実相寺を始末しようとする鹿角。既に顎と舌は再生している!

「狼煙ってわかりますか? 昔は遠くの人に何かを報せる時は火を焚いて煙を上げたんですよ」

 自らに火をつける実相寺。

 簡易素材のコートとリュックは燃え尽き、防炎仕様の劇光服が残る。

 ミカドヴェヒター「漆黒」。まさに“変身”!

 実相寺…狙ってたな。てか自分で囮になったな…。劇光服まで用意して。

 対して鹿角は服を脱ぎ…人の皮も脱ぐ!硬い外皮を露わに!

 ブドウ七号適合体「人龍」。

 これが本物か。

 本物の怪人、現れました…。第一話の時点では思いもよらないところまで来てしまってます。

 頻発する怪異が都市伝説に紛れて薄められている様子、警察始めとする公権力に信じてもらえない事実、そこにヒーロー願望がないまぜになって、怪人に実相寺たちが対するしかない状況が丁寧に作られています。

 一年近くプロローグ描き込んで来たのは伊達ではない!w

 と言ってもまだまだ全容は見えないんですがw 怪人側の目的も何考えてるのかもまったく不明。人龍に空気軍神で対抗出来るのか?も分かりませんし。

 敵の力を手に入れるのはヒーローの基本…実相寺が「適合体」になる目があるか?

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